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梅干し作り 土用干し

ここ海士町の崎地区にはブランド梅干し「蘇婆訶梅」がある。
6月の収穫から塩漬けと一緒に作業させていただいてきたが、
8月に入り梅干しの「干し」の作業をすることになった。

三日三晩、外で干す土用干し。
土用干しをする理由の1つとして、種からの身離れを良くする効果があるそうだ。

一粒一粒甕から取り出してはザルにあげて、一度水気を切る。
塩漬けするときの梅は固かったのに、漬けているうちにほわほわと柔らかくなっている。

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その後外に出て、太陽の日差しを受けながら、これまた一粒ずつ間隔を開けて並べていく。
漬かった梅に表と裏があるので、一粒ずつ形を見ながら座り良いように並べるのがポイントだそうだ。

最初に見本を見せていただき、その後自分たちで同じように並べていった…つもりだったのだが、間隔が狭かったようで、再度教えていただきながら修正。
梅はずっと同じ状態で干しっぱなしにするのではなく、1日に2回、午前と午後に表と裏をひっくり返すことで満遍なく日に当てるため、返しやすいよう間隔を開けて並べると教わった。

干しているうちに少し乾いてきた梅。
少し緑がかったり黄色かったり色々な色が混じっている。
太陽光の下で自然の綺麗な色をしばし楽しんだ。

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作業終わりに干す前の梅を一粒食べさせていただいた。
完成した「蘇婆訶梅」に比べるとずっと水分が多く果肉感と塩味が印象に残った。

そして数日後、天気の良い日に干した梅を甕にしまっていく。
外に並べられた梅は、オレンジがかった色に変化していた。水分が飛んで少ししわが寄りながらも全体的にしっとりして、少し温かい。

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干したときと逆の手順で、まずザルに梅を移し、その後一粒ずつ甕に入れていく。
最初に塩漬けしたときは間隔が開かないように梅同士を詰めて並べていったが、
保存する際は梅が潰れてしまわないように間隔を少し緩めて入れていった。

帰ってから干し終わったばかりの梅を一粒食べたら、干す前と比べると少し塩味の角がとれて丸くなったように感じた。梅干しは完成したものを食べたことしかなかったが、工程ごとの梅の状態の違いを実際に食べて経験出来るのが面白い。

ここからさらに3年間熟成したものが「蘇婆訶梅」として販売されるとのこと。
手間も、梅の感触や色の変化も多くを学ばせていただいた梅作業だった。

(文:西村)