東日本大震災と編み物の話
コロナ禍で出かけることが少なくなったので、編み物を始めたが存外楽しい。編んでいると余計なことを考えないし、触れている手も心地良い。
編み物と関連する書籍や活動を見ていく中で、先の震災と編み物の関係が面白かったので簡単に紹介する。
編み物文化があった気仙沼
「おかえり、モネ」で知った方も多いかもしれない。
気仙沼は編む人たちが多いそうだ。
漁師さんたちは網の繕いに留まらず、ニットを編む。そして港町に待つ女性陣もまた、編む。
そんな編む人の多い気仙沼に手編み事業を起こす震災復興支援活動が2つもある。
すっかりブランド化に成功した感のある
「気仙沼ニッティング」
地域名もばっちり入っているこちら、手編みのニットを販売する会社。オーダーメイドのアランカーディガンをフラグシップモデルとしつつ、レディメイドのセーター、マフラー、帽子も作っている。
決して安くない。当然だが、機械編みと比べるととても高い。それでも、フラグシップモデルのカーディガンはオーダーしてから完成まで2年待ちの大人気商品だ。
安くない商品を継続して売り続けられるのは、ビジネスデザインがしっかりしているからだし、商品にストーリーがあるからだと感じる。
ニットには手が出ないという方でも、ぜひ書籍を手に取ってそのストーリーを感じて欲しい。
ちなみに、この企業の主催する合宿にいつか参加したいというのが私の密かな野望のひとつ。(1週間ぐらい気仙沼に滞在して、土地のものを食べたり観光をしながら、セーター1枚を編み上げるという骨太の合宿)
梅村マルティナさん主催のKFS
震災で仮住まいを余儀なくされた方々に、編棒と毛糸を寄付した人がいる。Opalという毛糸を使ったニット作家の梅村マルティナさんだ。
マルティナさんは「編み物セットなんか送っても良いのかな」と少し迷いながら寄付したが、受け取った被災者側からは「編んでいるとほっとした」「もっと送って欲しい」と喜びの声が次々と届いた。
それなら!と少しずつ寄付する量を増やしつつも様々な方面へ働きかけ、支援団体KFSを作り、毛糸メーカーとタイアップした支援システムを立ち上げたり、ご自分も気仙沼に足繁く通ったりと、とにかくそのバイタリティと深い愛情に驚愕するばかり。
「毛糸に触れると、みんな幸せ」を合言葉にして、マルティナさんの取組はまだまだ続いている。(ちなみに、編み物ができない人でも簡単な毛糸を使ったぬいぐるみを作って販売できる取り組みもある)
毛糸の繋ぐ縁の力
今回は気仙沼にフォーカスした編み物の話をご紹介しました。編み物を始めてまだ2年目。編みつつもまだまだ知らない編み物ストーリーを追いかけるつもり。
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