世紀末の物語

考える人がいる
愛を説く人がいる
バカな思い込みに左右される人がいて
自分は間違っていないと信じる人がいる
間違ったことを間違っていると知ったうえで
何が正しいのかさえ考えることもない人がいて
間違っていることを「間違っている」とは知らずに
ただ間違ったことをただただ続けてゆく人がいる

抽象論はやめた

空からおっぱいが降ってきた
柔らかいお餅のようなおっぱいは
食べても食べても腹が満たない
満たない腹を落ち着かせようと
男は言葉をいじくりだした
丹念に 丹念に
言葉を外側から撫で回し
もっともらしく かつ あやふやに
人々に語り出した
腹を空かせた人々は
男の言葉に突き動かされ
ウイルスが増殖するように
不和の因子が増大した
これが
世紀末の物語

Fin


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