Yokut

ビジネス書編集者の詩を残すメモ帳。

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誠実さのかけらもなく

いちばん欲しいものは いちばん手に入れたくないもので それはそこにただ在るから 美しい 手に入れたらそれまでだから 欲しい欲しいといつまでもつぶやいて きっと君を困らせるだろう なにが大切かなんてわかるわけがない クソみたいな真実が僕の世界 そんなものがあるとすれば だが 君が僕の世界に迷い込んでから 事態が悪化した 人生の問いは単純なもの 何を求めているのかすら忘れさせる唯一のもの ここで「答え」を求めては君も僕も負けだ 答えなんかありはしない いや ない 人生は短く 

    • 世紀末の物語

      考える人がいる 愛を説く人がいる バカな思い込みに左右される人がいて 自分は間違っていないと信じる人がいる 間違ったことを間違っていると知ったうえで 何が正しいのかさえ考えることもない人がいて 間違っていることを「間違っている」とは知らずに ただ間違ったことをただただ続けてゆく人がいる 抽象論はやめた 空からおっぱいが降ってきた 柔らかいお餅のようなおっぱいは 食べても食べても腹が満たない 満たない腹を落ち着かせようと 男は言葉をいじくりだした 丹念に 丹念に 言葉を外側

      • あなたのメタファー

        有機野菜と上質な食肉で調理された 老舗ビストロのアラカルトの一品のような 横断歩道の真ん中で立ち止まって 2日前の約束を思い出して焦る老婆のような 恋に恋する女に恋する男の母親のような おなかいっぱいでも「デザートは別腹」といって ペロリとたいらげるフロマージュのような 宇宙へ飛び立つ宇宙飛行士が地上で 「最後に会いたい」と願ってやまない女のような 会社が倒産して借金の取り立てに苦しみ 首つり自殺を図る町工場の社長が 首をつる直前に連絡をする女の携帯番号のような

        • 無題の詩あるいはささやかな震え

          ポストボックスの陰茎に刺さったあなたの良心が ひどく健気な中学生の入学式に没入した 校長先生の苦悩にも似た教頭のハゲ頭に 唾を吐いた中小企業の社長が吐いたひとこと 震えるほどの怒りを覚えた葛西臨海公園の近くに住む主婦が 子供の夜泣きに耐えかねてタオルケットを蹴飛ばしながら 子供を殺した自責に念に駆られて自殺したというニュースを観て バンド練習のために秋葉原に向かう途中のブルース奏者が 「おれもブルースやめて働くか」とひとり肩を落とした姿に ガールズバーが肌に合わなくてコスプレ

        誠実さのかけらもなく

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          あいうえおの詩

          あなたのことを いつまでもいつまでも うえからしたまで えんりょなく おかしいほどに かんがえています きがくるっても くるまがなくても けんかがたえなくても こうおもいます さびしいときに しあわせなときに すばらしいときをゆめみて せなかがまがるまで そばにいたい たいくつなときには ちからとなり つらいときには てをつなぎ とりのように なみのよう に ぬぎすてきれぬ ねまきを のはらにすてて はじめます ひとりじゃなく ふたりっきりで へんなかおでもいい ほんとうのこ

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