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従業員が不正を目の当たりにしたときに、迷わず声を上げることができるようにする方法

不正が発覚したときに、「周りは見て見ぬふりをしていた」と批判されることがあります。でも人間ってそういうもの。人間の性(さが)にあらがって正しい行動ができるように、どうすればよいのでしょうか?


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

企業の不祥事があいかわらず多いですね。それも「不正」と名の付くものが大半です。

不正はそもそも発生しないようにしておく必要はありますが、それと同じくらい継続できないようにしておくことも重要です。
多くの巨額不正は、小さい金額からはじまって徐々にエスカレートしています。
不正が長期間にわたっていれば、ほかの人が気づいたり違和感を持つ機会も多いはず。しかし誰も行動を起こさないから継続してしまいます。

今回は、不正に気づいた人、何かおかしいと思った人が、見て見ぬふりをせずに声を上げることができるようにする方法を考えます。


従業員が不正を目の当たりにしたときに、迷わず声を上げることができるようにする方法

❶ 不正に気づいたら対応しないといけないと「洗脳」する

企業の経営理念や行動規範には通常、従業員の正しい行動を促す内容が含まれています。
しかし、額に入れて壁に掛けたり、カードにして持ち歩かせてもすぐに忘れられるのが普通。

研修やトップのメッセージなど、手を変え品を変え、何度も何度も何度も何度も幻聴が起こるほど繰り返してようやく浸透しはじめます。
ほとんど洗脳ですね。

  • ついつい正しいことをやってしまう

  • 考える前に体が適切に動いている

  • 正しくないことに出会うと強烈な違和感があり耐えられない

これくらい浸透すれば、不正を見た人の中で行動する人が一定数出てきます。

❷ 不正の情報に対して、組織としてしっかりと対応する

同僚の不正を知り、思い切って上司に報告したのに、何も起こらなかったらどう思いますか?
次からは絶対に報告なんてしない、と思いますよね? 不正を放置する会社に幻滅もするでしょう。

「しっかりとした対応」には、不正実行者を厳罰に処すことも含まれます。
かなり悪質な不正のはずなのに、口頭注意で終わり。こんなときも、がっかりします。

「うちの会社は、不正を決して容赦しない」。従業員がこう思えるようになると、自らも不正を起こしてしまわないように気を引き締めながら、安心して働くことができます。

❸ 内部通報窓口への相談のハードルを下げる

不正が発覚するきっかけの中で、内部通報はかなりの割合を占めています。
内部通報は、不正の継続を阻止する手段として有効だと言うことです。

公益通報者保護法により、一定規模以上の会社には内部通報窓口の設置が義務付けられています。ところが、通報実績がほとんどないような会社もあります。
本当に通報することが何もないのであればよいのですが、それよりも内部通報が機能していないことが疑われます。

機能しない理由として、次のようなものが考えられます。

  • 内部通報の制度があることを知らない、どこに通報してよいのか分からない (A)

  • 通報することで不利益をこうむるのではないかと不安 (B)

  • 不正を通報することがそれほど重大だと考えられていない (C)

(A) 知らない、分からないということのないように、社内で何度も周知しないといけません。不正を気づいたときに内部通報制度を思い出すことが重要ですので、毎年の研修など従業員の目に触れるようにしておくべきでしょう。
(B) 通報者の保護は内部通報制度の大前提ですが、実際に保護することは当然として、法律に準拠してしっかり保護されることの周知もしないといけません。
(C) 不正を見たら通報する、これは「❶ 不正に気づいたら対応しないといけないと『洗脳』する」を徹底する必要があります。


おわりに

企業の不正リスク対応は、企業自身を守るとともに、従業員が犯罪者になることを防ぐことにもなります。従業員のことを大切に考えている会社こそ徹底するべきだと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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