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#7 リズムトレーニングの話「歌手用初級編」

約20年以上現役クラブ歌手の平山てりです。

大学時代にオリジナルポップスバンドを結成、活動していました。ドラム、ベース、ピアノ、キーボード、ギターとバンドらしい編成でした。
この頃、大学の音楽クラブ仲間で、ジャムセッションを度々していました。大抵はピアノを弾いてました。この時、歌でジャムセッションは苦手でした。
ピアノは、小学生から習っていたし、指は動くので、簡単なブルースセッションをして、テンポについてや、グルーブの話などをして楽しんでいました。

ある日、同級生の上手いベーシストS君に「君の歌にはノリがないね」と言われました。ショックと悔しさで、その日悔しくて飲んだくれたのは言うまでもありません。汗。

この日から、リズムに対する姿勢が変わりました。

ノリを感じられるバンドやシンガーを聞きまくりました。なぜそんなにカッコイイのか。なぜこんなに魅了されるのか。その当時の私には全くわかりませんでした。
でも、歌姫と奢ることなく、シンガーでも1人のミュージシャンとして、真剣にリズムのトレーニングをすべきだということを実感しました。
卒業後、赤坂の歌楽歌良屋に入らせていただけるようになった時、プロのピアニスト、ベーシスト、ドラマーに伴奏してもらえる事に大感激でした。
そこで、私のリズムの師匠にお会いすることとなります。その当時のベーシストKさんです。
とにかく、ベースのノリが素晴らしく、歌楽歌良屋のオールジャンルの曲全てを、ノリ良く弾いてくださり、上手く歌わせていただきました。
ジャズを歌いたかったのですが、まだ早いと、オーナーに却下されたので、ロックやポップスを担当していました。それで8ビートと16ビートを習得したいと思い、彼のリズムが教室を行きました。

彼のリズムの根底にはブラジル音楽がありました。
若い頃にブラジルからやってくるミュージシャンとツアーを回る事が多く、そこで色々学んだそうです。
いつものように、皆で食事しようとレストランに入ると、1人のブラジルミュージシャンが、灰皿を二つ、持ってこすり始めました。
そこから出る音が、サンバのリズムでした。他のミュージシャンもそれに合わせて、テーブルを叩いたり、スプーンやフォークをならしたり、声でスキャットしたりと、サンバがはじまったんだそうです。
「生活に根付いている音楽、それこそが本物だ、かなうわけないな。」と思ったそうです。
今から50年ほど前のブラジルはまだまだ貧しく、楽器を買える人はほんの一握り。だからベースを持っている日本人Kさんにベースを弾いてもらうことが必要だったんですね。

リズム教室でKさんに教えていただいたのは、音数3音でスキャットするというもの。彼がスキャットするとシンガーではないのに凄くかっこいいんです。グルーヴしているからなんですが、グルーヴってどういうことなのでしょうか?

Kさん曰く、「音の入る位置は意識するけれど、音の切れ目は意識しないよね、この切れ目をどこで切るのかが大事。」という事でした。訳がわかりません。汗。

それがわかるようになるには、まず、メトロノームに合わせられるようになることと、そのテンポをキープできるようになる事が必要でした。
「合わせているから、合っているはずだ。」と思っていた私は、ズレていることを指摘されても分からないほど、わかっていなかったのです。せめてズレてることが分かる自分になりたいと思い、メトロノームを鳴らしながら歩く、ということを始めました。ポケットに入るくらいの小さいカードメトロノームをいつも持ち歩き、イヤフォンで聞きながら歩くのです。今やるとしたら、スマホのメトロノームアプリを使えば簡単にできます。
このビートの裏を感じて、その裏に合わせて歩くという方法です。まず、裏をとるのが難しいのですが、集中して半年は続けたでしょうか。(これをメトロノームウォークと勝手名付けて呼んでいます。笑)
リズムのズレが分かるようになり、リズムが見えるようになったと実感するのは、それから、5年ほど後になってからだと思います。本人が自覚するのはかなり後になってからという事が多い気がします。
実感できるまでは、かなりの時間がかかりました。リズムも奥が深いんですよね。

 ではここから、具体的なはメトロノームウォーキングのやり方を解説いたします。

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