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SAIGAN TERROR インタビュー #SMDfest2017

いつだって歪んだギターの刻みは心に火がつくし、高い技術で披露されるギターソロにはちょっと笑ってしまうこともあるが必ず釘付けになる。目にも止まらぬ早業で繰り出されるドラムの2ビートやブラストのストップ&GOには、拳が自然と上がってしまう。ハードコアやメタルなどファストでラウドでスラッシーな音楽、そして中でもとりわけクロスオーバーと呼ばれるジャンルには、少年たちのハートを奪ってやまない要素がてんこ盛りだ。これが少し歳をとってくると何故だか余計に身に沁みるのだ。

しかしクロスオーバーというだけあって、ハードコアやパンク、グラインドを含め色んなジャンルの要素が重なり合っているジャンルなわけだが、これまた危険と隣り合わせな混ぜ物なのは賢明な読者であればお分かりになるであろう。少し近いところでは「速きゃいいんだよクソッタレ!」なんて名フレーズもあるが(これはこれで一つのジャスティス)、前回のSSインタビューと同じくアイデア、センス、スキル、パッションにそのバンドのキャラクターやスタイル的なものも合わさって、初めて最高だな~と思えるようになるもので、最早そんなものは競馬でいうところのインブリードみたいなもんで、只の奇跡でしかないのである。

だがそんなややこしい配合を特に意識することなく、東京・高円寺というバンドマンの聖地ともいえる土地で、エクストリームミュージックの黄金比ブレンドな奇跡をフルバーストで起こしまくってしまったのが、恐らくwebでは今回が初インタビューとなるSAIGAN TERRORだ。結成からは約20年にもなる大ベテランであり、その実力やプロップスの高さから考えると、極端に露出が少なく謎多きバンドでもある。今回は遂に謎の東京OGバンドの全貌が明かされるということで、昨年より新たにベースとしてメンバーに参加している我らがH8MONGER先輩を通じて、少し意外なまでのメタルではなくハードコアやパンクへのこだわりなど、かなり貴重なメンバーの声を聞くことが出来た。今回のゲストバンドインタビューの中では唯一ともいえる会話的な内容で、情報量過多気味な大変興味深い内容になったので最後まで是非読んでみて下さい。

― 『おじさんが中学生の頃から忘れられない音楽』の集大成 ―

エ:まず、SAIGAN TERROR結成からの成り立ちについて
シヅル(Gt):うわぁ、マジかぁ~?なんかメチャメチャめんどくさい話じゃない?結成はねぇ、え~っとねぇ、'96年だったか?'97年だったか?どっちだっけ?
MISTER SAKI(Vo):'96年ってことはないでしょ。
シヅル:じゃ'97年か!?そっか!そっか!

エ:現在に至るまでの経緯は?
シヅル:ん~、おれ以外のオリジナルメンバーはみんなデストローイ!!で、色々あって現在に至る、と。

エ:今までにリリースした音源について
シヅル:最初はデモテープで、その後PUSHEADのレーベルのBACTERIA SOURからリリースして、そんで、CHANIWAのアタロー君がやってたBOOZ RECORDSから2nd CDをリリース。あとは『SKELETAL CARNIVAL』っていうBACTERIA SOURのオムニバスに参加。それからS.O.D.のトリビュート(『SPEAK JAPANESE OR DIE』)にも参加して、あとFUCK YOU HEROESのオムニバス(『…OUT OF THIS WORLD 4』)にも参加してるよね?
discogshttps://www.discogs.com/ja/artist/1587423-Saigan-Terror

エ:PUSHEADとの出会いは?
MISTER SAKI:面白い話はあるけど、ソレは長くなるからまた今度で!

エ:自分たちの音を説明してみてください
シヅル:ん~『おじさんが中学生の頃から忘れられない音楽』の集大成。まぁ、SAIGAN TERRORサウンドだな!
MISTER SAKI:CROSSOVER GRINDER!
アユミ(Dr):TRUE DEATHRASH!
シヅル:えっ?えっ?なにその難しい言葉?
H8MONGER(Ba):おれにとってのSAIGAN TERRORはスラッシュメタルやデスメタル、グラインドコアのカッコイイ部分を掛け合わせて、うざい、くどい、しつこいっていうパートを全てカットしたハードコアパンクバンドっすかね。
シヅル:(曲の長さを)省略に省略してね。
MISTER SAKI:で、ギターはイングウェイ・マルムスティーンを昇華して今に至る、と。
シヅル:あと、ウリ・ロートリッチー・ブラックモアゲイリー・ムーア!そして、ちょろパンク!まぁ、こういうの全部言い出しちゃうとキリないからねぇ。
H8MONGER:曲は短いけど、話は長いんで。

エ:高円寺という街について。
シヅル:えっ?なんでまた高円寺?SAIGAN TERRORって高円寺のイメージついてるの?
全員:いやいやいやいや…
シヅル:えっ?えっ?マジ?そんなに高円寺アピールしてないんだけどなぁ。
H8MONGER:何言ってんすか!?こないだ自分で言ってたじゃないすか!?

MISTER SAKI:DISCOGSですら、『from Tokyo, Japan』って書けばいいのに『from Koenji, Tokyo, Japan』ってわざわざ書いてあるくらいだから。
シヅル:そっかぁ、高円寺かぁ~。ん~、なんだろうなぁ…高円寺はねぇ、結構…雨降っても阿佐ヶ谷ほど冠水しない街!

エ:現在お気に入りや、チェックしているバンド、グループ
シヅル:ん~、中学の時から変わらないんだよなぁ。当時のヒットチャート系かなぁ。最近は息子にEDMばっかり聴かされてるけど。
MISTER SAKI:それカットで!シヅルさんは『Yngwie MalmsteenR.D.P.DRILLER KILLER』でしょう!
シヅル:いや、でもイングウェイとかもう何十年も聴いてないよ。
MISTER SAKI:おれはTeeCee4800
アユミ:おれは東京の怒号っていうブラックメタルバンド。
H8MONGER:最近ではDOMINATEのライブが最高っすね。

― 鮭が産卵する時に、オスが最後にザーメンをブッかけるエッセンス ―

エ:メディアへの露出などが少なく、謎な部分が多い気もします。これは意図的なのでしょうか?
シヅル:メディアからは注目されてないと思うけどね。知られてないっていうか。
MISTER SAKI:むしろ触れちゃいけない…相手にすると話が長くなるから、そっとしておこう的な。
シヅル:ソレおれじゃん!
MISTER SAKI:WADA的な。
アユミ:確かにそっとされてる感はありますよね。
シヅル:志茂田景樹のプライベート的な?

エ:面白いマーチが多いですが、何か心掛けていることは
シヅル:自分たちが欲しいものを作る。
MISTER SAKI:本当に周りにいる友達がやってくれてるやつだから、金を払って誰かにデザインしてもらってるとかではないね。

エ:これまでの印象的なライブ
シヅル:全部印象的だよ。けど、記憶が断片的に…なんか混じっちゃってる場合があるんだよねぇ。『アレ?ソレってあの時だっけ?それとも別の時の話だっけ?』っていう。全部お酒のせい…。
アユミ:おれは2012年の12月22日に出た、高円寺DOM STUDIOの『地獄のコミュニケーション』。アレはメチャメチャすごすぎた。

H8MONGER:今年も『地獄のコミュニケーション』やるんすよね?あの時『数年振りの新曲』つって、まだちゃんとした音源になってないのもすごいけど。
MISTER SAKI:おれは千葉のWANNABEESの周年イベントかな。川崎クラブチッタでやったやつ。日本中のウェッサイが集まる中で、最前列もフルウェッサイだらけで。『おいコラァ!もっとかかってこいよオラァ!』とか言われながらやったのは始めてで。
H8MONGER:確かに。おれは自分でプレイしたやつより客で見てた時の方が印象的なライブが多いっすね。
MISTER SAKI:懐かしの『TERROR JAM』?
H8MONGER:そっすね。『AIR JAM 2000』の裏番組的な。今思えば、アレがおれとSAIGAN TERRORとの出会いだったっすね。それまでやってたPIZZA OF DEATHの仕事を外れて、当時、立ち上げたばかりの自分のレーベルから初リリース予定のNO CHOICE IN THIS MATTERが『TERROR JAM』に出るっていうから、あの日、幕張メッセから高円寺20000Vにハシゴしたんすよ。でも、まさか十数年後に自分がメンバーになるとは…。
シヅル:えっ?そうだったの?『TERROR JAM』またやりたいねぇ。
H8MONGER:じゃ、今度は名前になんとかテラーって付くバンド縛りってのはどうすか?
シヅル:じゃアレだね!なんだっけあいつ?あいつも呼ぼう!えーと、あいつあいつ!テラ…テラ…テラ…テラサワ?

エ:CROSSOVERやTHRASH METALを知らない人に良さを伝えるとしたら
MISTER SAKI:クロスオーバーは掛け合わせが自由。
シヅル:クロスオーバーかぁ~。ん~、おれはあんま意識したことないかもなぁ。意図的に掛け合わせようとして作ってるわけじゃないからねぇ。みんなの趣味がエッセンスになってこうなったというか。あの~、鮭が産卵する時にさぁ、オスが最後にザーメンをブッかけるエッセンスみたいなさぁ。
アユミ:おれもクロスオーバーは全然意識してないですね。
H8MONGER:でも、世間的にはそういう認識なんじゃ?
シヅル:ん~、ちょっと変な言い方になるかもしれないけど、おれはハードコアとかパンクって言われると嬉しいんだよなぁ。
H8MONGER:そりゃシヅルさん、根っからのパンクスっすから!
シヅル:メタルが嫌だってわけじゃないんだけどさぁ。ん~、なんかなぁ~、違うんだよなぁ。
MISTER SAKI:大丈夫す。全然メタルじゃないんで。
シヅル:おれ、メタルのイメージ付いてるっぽいんだけど、LAメタルとかああいうのはぶっちゃけあんまり通ってないんだよねぇ。
H8MONGER:スラッシュメタルもすか?
シヅル:ん~、スラッシュメタルも今となっては聴いた事はあるけど、当時はそんなにハマんなかったなぁ。ん~、難しいよね、こういう話は…。なんだろう…自分でも何言いたいのかわかんなくなってきたから、次!

エ:最年少のハードコアやメタルのボーカルだと話題の子について

MISTER SAKI:3代目のSAIGAN TERRORのボーカルで名前はBS、小学2年生。Freddy MADBALLが始めたのより若い時からやってる。
H8MONGER:ハードコアの英才教育。
MISTER SAKI:BSは初代ベーシストの息子。
アユミ:おれのドラムスクールの生徒。
シヅル:アイツが将来なりたいのはプロレスラーじゃない?
H8MONGER:でも、学業もあるので。
MISTER SAKI:スペシャルな時にだけしか。

エ:SMDcrewについて
シヅル:えっ?えっ?エス?エム?ディー?なにそれ?
H8MONGER:今回、SAIGAN TERRORを大阪に呼んでくれる人たちっす。
シヅル:あ、お世話になります。よろしくお願いします。

エ:今後について
MISTER SAKI:12月にFIGHT IT OUTとスプリットEPを出して(※内容ホントに凄いです…!)、2018年にはアルバムをリリースして全国ツアー予定。
シヅル:ツアー行きたいねぇ。沖縄とか北海道とかさぁ。行ったことないから色んなとこ行ってみたいねぇ。
H8MONGER:アレ?飛行機乗れないって言ってませんでしたっけ?

エ:最後にSMDfestへの意気込みを
MISTER SAKI:突然、何の脈絡もなく呼んでくれてありがとうございます!
シヅル:おれはねぇ、正しい酔い方で、間違えないように頑張ります!今回ってKING COBRAだよね?おれさぁ、前に大阪行った時、あそこの目の前の公園で拾い食いして、それで食当たりして大変だったんだから。ゲロとゲリで。
アユミ:フライドポテト拾い食いして…。
MISTER SAKI:しかも昼の三角公園で全裸で…。
H8MONGER:あそこの隣…交番じゃ?今回のSMDfestだけじゃなくて、12/9にもKING COBRA(CYCOSIS企画!)でやるんだから本当にお願いしますよ!
シヅル:いや~、気をつけないとね。楽しみだなぁ大阪!!


SAIGAN TERROR

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