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中小企業診断士2次筆記試験の再現答案

令和5年度、中小企業診断士2次筆記試験。再現答案と、解答の時に何を考えていたか。解答の再現率はそんなに低くないはずだけど、メモをもとに再現したから文字数は不正確。
中小企業診断士試験は合格しました。おめでとう!

基本スペック(←僕の)

◎専業ライターなので読解力はたぶんある。文章も書ける。
◎コンサルタントの経験はない。
◎銀行員経験があるので事例4は得意。
◎中小企業診断士試験の勉強を本格的に始めたのは2023年(令和5年)の2月。その年の1次試験を通過して、その後に2次試験対策を始めました。1次試験の勉強は6ヶ月、2次試験は3ヶ月くらい掛けた計算。資格学校には通ってません。

【事例1】

https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/2ji2023/A2JI2023.pdf

※ここから下は、
設問文の要約、再現答案、当日何を考えて解答を作成したか、の順に書いていきます。

設問1 A社の強みと弱みは?

(再現答案)
強み:①共通目的を共有する良好な組織文化②サービスの質の高さ③原材料を厳選した拘りの蕎麦。
弱み:①原材料費の高騰及び常連客の高齢化②最寄り駅から離れた立地。

(当日の考え)設問3, 4でX社との統合後のことを聞かれているから、 設問3, 4にも効いてくるような解答を意識。あと、診断士ラボさんの動画で、強みと機会を混同するような解答はまずいかもって言っていたのが印象的だったから、SWOTの理解不足と思われないように注意。たとえば「原材料業者の高齢化」は外部環境色が強いので原材料費の高騰っていう言及に留めておいたり(それでもちょっと違和感あるけど)、キーワードをモリモリ盛り込むことよりもロジック重視で解答を組み立てたり。

設問2  先代経営者との差別化の内容と狙いは?

(再現答案)
現経営者は①ターゲットを地域住民の中で特にファミリー層に絞り②総花的なメニューだったが、看板メニューや蕎麦への資源集中を行い競合と差別化した。狙いは、人的資本の集中投下及び商品差別化で競争優位を獲得するため。

(当日の考え)誰に・何を・どのように・効果の「だなどこフレーム」を下敷きにしつつ、「狙い」は明示的に聞かれているから厚めに解答。

設問3  X社との経営統合に先立つ留意点は?

(再現答案)
留意点は①薄利多売の操業で接客サービスは省略しておりA社とはビジネスモデルが異なる事②X社従業員同士の繋がりが希薄で士気の低下及び離職率の上昇が発生している事③X社の競合に押され、またコロナ禍の影響もあり売上高が減少している事。

(当日の考え)経営統合に「先立って」と聞かれているので、A社とX社が交わる前の状態を答えたい。そうすると、A社とX社を比較していくのが妥当と考えた。2社を比較するとなれば①X社の方が優れている点②X社の方が劣っている点③優劣はつけられないけれどA社とX社で違う点の3点を意識することになりそう。今回は留意点を聞かれているので①は書かず、X社のダメな点と、2社で違う点を答えたらいいのかなっていう思考プロセス。その上で、留意点なんて挙げればキリがないからキーワードをなるべく詰め込んでおこうと考えました。留意しなくてもいい点なんてないから、設問無視してる認定される可能性は低いですし。

ちなみに(!)、ひとつでも多くのキーワードを解答に盛り込むために、「客単価を抑えて顧客回転率を高めるオペレーションであった」ことを短く言い表せないかなあと考え抜いた結果、「薄・利・多・売」の四字熟語が浮かんできました。薄利多売のワードが頭に浮かんできた瞬間に「勝った…!」と思ったことを覚えてます。やったね!

設問4の1つ目  X社との統合はどのように進めるべき?

(再現答案)
①X社の従業員の雇用を保証してノウハウを継承し②両社の従業員の人事交流を促進してコンフリクトを軽減しつつ順機能を用いてアイデア創出や組織活性化を図るべき。

(当日の考え)どのようにって聞かれてるけど、何を答えてほしいんだろう?PMI施策のフレームワークって何だったっけ。必死に考えてもバチっとハマる答えは見つからず、最終手段として、「コンフリクトには順機能もあることを理解してます、僕は勉強めっちゃしてます!」アピールをしてみた。これじゃない感がある解答ではあるものの、みんなが「むずっ」と思ってそうなので時間をかけ過ぎずに次っ!

設問4の2つ目  競争戦略や成長戦略の観点から今後展開すべき事業は?

(再現答案)
展開は①食べ歩き目的の外国人観光客や若者をターゲットとして新市場開拓し②HPやSNSでオリジナルメニュー等を訴求して差別化し③共同仕入やX社の立地も活用してシナジーを発揮。以て販路拡大及び売上伸長を図る。

(当日の考え)予件文の最終段落が明らかに誘っているので、それを基点にしたい。その上で設問1とのバランスも取っておきたい。競争戦略と成長戦略を聞かれているから、ポーターとアンゾフのことだと理解していますってアピールできるワードも入れておこう。最終問題かつ提案を求められているから効果も盛り込んでおきたい。もりもり。

【事例2】

https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/2ji2023/B2JI2023.pdf

設問1 B社を3C分析せよ

(再現答案)
顧客は、近隣の住宅街に住む、少年野球チームのメンバー、保護者、監督。競合は、低価格で販売する大型スポーツ用品量販店及びサッカーやバスケットボール用品専門店。自社は、高評価を支える品揃えや提案力、ユニフォーム加工技術や次期社長のITスキル等が強みだが、買い替え負担の軽減や女子野球人口の増加が課題。

(当日の考え)3C分析だから顧客・競合・自社について書かないといけないけれど、顧客と競合は本文から明らかだからこれで差がつくことはなさそう。自社にどれだけ盛り込めるかが勝負だと考えて気合を入れて詰め込みました。

設問2  プライシングの新しい流れを考慮した販売方法は?

(再現答案)
野球用品の買い替え需要を持つ保護者に対し、個別に商品カスタマイズを提案しつつ、野球用品のサブスクリプション型の販売方法で対応すべき。以て、買い替え負担軽減及び愛顧向上によるLTV伸長を図る。

(当日の考え)「ああ、サブスクね〜」と思いついたので、この設問の核は外さないと考えました。無難に「だなどこフレーム」を当て込めば6, 7割は堅いと考えて、ささっと解答を作成。

設問3  女子メンバー獲得のために B 社が取るべきプロモーションやイベントは?

(再現答案)
プロモーションは、女子野球メンバーや保護者のニーズを聞き取り品揃え及び提案力強化に活用し、ユニフォーム加工などの魅力を発信。イベントは、河川敷の野球場を活用して、B社がスポーツ用品を提供し、女子野球の体験会を開催。

(当日の考え)プロモーションとイベントって横文字で文字数は嵩むし2つも論点書かなきゃだし、プロモーションは双方向コミュニケーションが原則だし、イベントは協業が原則だし、そのわりに100字制限だからそんなに受験生の間で差は開かなさそう。6割くらい取れればいいので本設問もサクっといきたい。はい次っ!

設問4  ICT利活用による関係性強化策は?

(再現答案)
各少年野球チームの監督に対し、次期社長のITスキルを活用して、各チームのデータ管理、メンバーや保護者の要望の情報把握、アドバイスに使えるアプリの開発・提供や、ホームページやSNSで自社の品揃えや提案力を動画で発信。以て、関係性強化で愛顧向上、LTV伸長を図る。

(当日の考え)次期社長はICT企業出身だっていう予件文中の明らかな誘い文句は使うしかないでしょう。第1から第4まで綺麗に整理してくれているから見落としがないように丁寧に拾っていくでしょう。そして、キーワードもりもり盛り込んで、「だなどこフレーム」で勝負でしょ。書き方としては、次期社長のITスキル利活用は解答の最初に出しておいたほうが採点者は安心してくれるかな。
というか「ICT 企業に勤めている30 代の長男」は次期社長って書いていいのかな。事業承継をする決意をしているもののまだ決意だしなあ。でも他に書きようがないからこれで行こう、書こうとしていることは同じだから減点されても1点で済む。

【事例3】

https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/2ji2023/C2JI2023.pdf

設問1 生産面での強みを2つ述べよ

(再現答案)
①経営者及び工場管理者のホテル等での料理人経験②高級感のある和洋の惣菜の企画力のある人材の存在。

(当日の考え)生産面って何を指していて何を指していないのだろう。商品企画は生産面に入るのか?でも他に書くべき内容は見つからんし後の設問でも使うからこれでいこう。1つ目は合ってるはずだから大外れしても響かないだろうしそもそも設問1は10点満点だし、時間切れにならないように次の設問!

設問2  受注増に対する生産面での対応策は?

(再現答案)
対応策は①製造工程の機械化②ベテランパート従業員からの技術・ノウハウ継承③作業のマニュアル化及びOJT等の社員教育の実施④人材融通等の為の多能工化⑤メモやノウハウのDB化。

(当日の考え)ま、また、「生産面」縛り。。 とにかくキーワードを盛り込んで部分点を狙いたいけど、生産面とは違うものを入れたら設問無視って認定されかねないから、怪しそうなものは削ぎ落とす。欲を出しすぎない!

設問3  収益性低下への対応策は?

(再現答案)
対応策は①価格決定力の掌握や確実な納品による売上改善②レシピや在庫、受発注等の情報をデータ化し、販売先料理長とのやり取り合理化に活用しつつ社内情報共有体制の確立で生産計画及び受発注、現品管理等の生産管理の一元化及び最適化でコスト削減。

(当日の考え)収益性を上げるためには、①売上の増加と②コストの低下の2点から書けばいいんだと考えました。そのうち②コストの低下のためには効率化が大事で、つまりはムダの排除が必要で、そのためには生産管理の中の生産計画と生産統制の検討が求められ、生産統制は進捗管理と余力管理と現品管理に分けて考えるのがセオリーだから、要するに生産計画と進捗管理と余力管理と現品管理を網羅的に検討しつつ同時に①売上向上に繋がる施策を考えればいいのか! たいへんだ〜、けど道筋は見えやすいので、この問題には時間を掛けていいと判断。

改めて解答を見ると、網羅的に考えた形跡と、網羅的に考えましたよっていう小賢しいアピールが透けて見えるね。でもこういった小賢しさは大事だと思うよ、ナイスプレー!

設問4  受託生産のC社が製品の企画開発を進める方策は?

(再現答案)
方策は①営業力を強化し顧客ニーズを把握し②営業部と製品開発部との密なコミュニケーションにより顧客ニーズを商品企画に活用し③製品開発部の外部人材の前職での実務・管理経験を活かしつつ、その経験を基にマニュアル作成を行う。以て売上伸長を図る。

(当日の考え)自社での企画に必要なのはニーズの把握!ニーズの把握といえば営業力強化でお客様とか市場の声の吸い上げ!吸い上げたニーズを製品開発に活かすためには営業と製造の連携!  優秀な人がいたら①その人が活躍できる職場づくり②そのノウハウを他の人にも広げる!  こんな感じの原理原則に従って奇を衒わずいこうと考えました。

「外部人材」って書き方はどうなんだろう。だってもう外部人材じゃないのにそんな書き方したら可哀想じゃん。でもきちんと書くと字数が伸びちゃう…ごめんねえ泣 せめて「前職」と明記してあげることで「もうC社の一員だよ、一緒にがんばろうね!」という思いを込めました。新卒も中途も、みんな仲間!

設問5  X社との共同事業(惣菜づくり)のための工場増設および専用生産設備導入の、妥当性とその理由および留意点は?

(再現答案)
妥当性は高い。理由は①既存事業とのシナジーが期待でき②C社の強みを活用でき③企画ノウハウ蓄積により一貫体制構築に繋がり④将来的な販路拡大に繋がる為。留意点は①営業の専任化による営業力強化②食品衛生管理体制の確立③既存工場との連携を加味したレイアウト④納期遵守の体制構築。以て売上伸長及びLTV伸長を図る。

(当日の考え)「妥当ではない。留意点は…」っていうロジックは成立しないので、設問を読んだ時点で「妥当性は高い」から始めたいなあと考えてました。実際に企業様を訪問して「いやー、妥当じゃないっすね」というのはコンサルタントとしてどうなの?(という趣旨のお話を金城先生も話してたなあというのが試験中に頭に浮かびました)。社長さんが乗り気なら、それをなんとか応援してあげたいのです! 理由についてはC社状況をふまえて手堅く述べる。C社が抱える課題は丁寧に洗い出して対応する。そんな感じで解答を作りました。設問1とのシナジーも考えたけれど字数の関係で入らなかったので、「C社の強みを活用」という文言を入れてSWOT活用しているアピール。っていうか改めて見直すと依存回避・リスクヘッジの要素が入ってないね。これは入れたかった。

【事例4】

https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/2ji2023/D2JI2023.pdf

設問1の1  悪化した指標2つと改善した指標1つを述べよ

(再現答案)
①売上高営業利益率②有形固定資産回転率③自己資本比率(数値は再現不可)

(当日の考え)安全性・効率性・収益性に狙いを定めて電卓を叩くだけ。(銀行員の経験があるので、事例4は得意です)

設問1の2 悪化した指標のうち1つの原因を述べよ

(再現答案)
売上高営業利益率の悪化の原因は、顧客の健康志向及びアンチエイジング志向の高まりを受けて他社が新製品を市場に投入し競争激化して、売上高が低迷し販管費も嵩んだため。

(当日の考え)利益率を論じたほうがいいだろうなあ。なぜなら、D社は固定資産がそもそも少なくて、もう1つの悪化した指標である有形固定資産回転率を論じる重要性があまりないから。確かに前期よりも固定資産額は増えていますがBSの資産額から見れば重要な増減ではないので、ここを熱心に論じてもなあ・・・ それならPLの説明に終始すべきだと判断(論じやすいですしね)。PLを頭に浮かべつつ、売上高とコスト(売上原価、販管費)の両面から検討して解答。シンプルイズベスト。

設問2, 3は割愛

メモしてないです。

設問4の1つ目  OEM生産(委託側)の財務的利点は?

(再現答案)
①取引が定期的なので売上が安定する②営業に注力する必要がなく販管費を削減できる。

(感想)これは痛恨のミス。OEM供給側の立場で書いてしまいました。やってしまった。。

設問4の2つ目 新製品開発(男性向けアンチエイジング製品)の財務的利点は?

(再現答案)
①売上の伸長②既存事業とのシナジー効果で利益率向上③先行者優位で成長性向上。

(当日の考え)財務的、とは…?  逆に、財務的ではない利点ってなんだ?  うーん分かんない、分かんないけど、ここで時間を使うわけにはいかない。BSとPLに与える影響に収斂する形で解答作ろう、といった思考回路でした。


【全体の戦略】

点数目標としては、240~280点の間。基本方針は、高得点を狙わないこと。繰り返しますが、300点とかの高得点は狙っちゃダメです(と自分に言い聞かせていました)
それを達成するために、全部の小問で7~8割を狙うイメージで解答しました。そうすると6~7割で落ち着いてくるはず。それぞれの事例で1問くらいは5割前後になってしまうことを折り込んでも総合点で60点に乗る算段でした。
それを達成するための時間配分として、最初の10分間で設問解釈、次の10〜15分間で予件文の読解(ここまで20〜25分)、30分間かけて解答メモ作成(ここまで50分)、その後に清書と見直しをすると決めました。設問解釈の時間が少し長めですが、設問無視を避ければ60点には乗ると考えた結果の時間配分です。読解と解答メモの時間はタイトですが、高得点を狙うわけではないので問題ありません。キーワードが多少漏れたとしてもロジックさえ大外ししなければ6割は十分乗ります。
ここまでは事例1〜3のお話。事例4は別です。
事例4は大問1と4で20分、大問2と3で25分ずつ、見直しは5分から10分。この時間内で脳筋で電卓を叩きまくる方針。見直しするって思うと計算が雑になるので(というか見直しの時に数値が合わない場合にどうしたらいいか分からないので)、見直しは単位間違いと転記ミスの確認だけにしました。その代わり、電卓のメモリ機能は極力使わず、計算過程を細かく書いて、次の設問に移る前に計算ミスがないかをチェック。

【試験終了後の感想】

指が攣りそう。前日寝れなかったから眠い。1年間支えてくれてありがとうございました。

手応えとしては、これなら大丈夫かなと率直に思いました。
事例1, 2はマイベスト解答。要素としても7割以上は入っている感触。
事例3はなんとも言えなかったですが、悪い方に転んだとしても事例1と2でカバーできるだろう、くらいの感触。
事例4で小問1つ吹っ飛ばしたことに気付いたときは「あーあ。。」と切なくなりました。

予想としては、
事例1 75点
事例2 75点
事例3 50点
事例4 60点
合計 260点
くらいで着地しているのではないかと。

追記:
実際の着地は
事例1  63点
事例2 69点
事例3 61点
事例4 65点
合計258点
でした。
事例1が下振れしました!

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