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第2回 「2020年 阪神ドラフト指名選手紹介」

1.はじめに
 2020年のドラフト会議が終わりました。
 今年はどの球団も上位から下位まで良い選手を多く指名でき、本当に大豊作なドラフト年だったと思います。後世でも語り継がれるようなドラフト年になる予感さえします。
 そんな大豊作年に阪神が指名した選手を紹介します。紹介すると言いましても、各選手の能力や特徴は各メディアで紹介されていますので、私は各選手が阪神というチームにどうマッチし、どういう起用されていくのかという視点で考察し、紹介します。
 ※私の独断と偏見で考察していますので、チームがどう考えているかは分かりません。



2.選手紹介

1位 佐藤輝明

1999年3月13日生 仁川学院高-近畿大 外野手・三塁手 右投左打 187cm 94kg
★特徴:三振が多いものの、飛ばす力は随一。日本人離れした圧倒的なスイング力でホームランを量産する。まさに助っ人選手という感じ。打球が速く、スカウトが打球を見失った事があったという。また、走守も高いレベルにあり、外野、三塁、一塁の守備が出来る。
★課題:三振率の高さ。縦の変化球には脆さがある。腰の使い方などスイングの修正が必要である。しかし、当てるようなスイングにして欲しくない。
★即戦力度:打撃面はプロの配球に苦戦する事が予想される。ただし、走守が高いレベルである為、1年目からレギュラーを取りやすいタイプである。
★来年の使われ方:一軍で使いながら育成する。まずは走守を活かし、広いライトでスタメン起用しながら、下位打線で育てるのではないか。
★将来の使われ方:クリーンナップで一発が期待される。3番大山、4番井上が返せなかったランナーを佐藤の一発で返すような5番の役割を期待したい。
★俺が考える選手タイプ:攻→ブライアント、走守→糸井嘉男(日本ハム時代)


2位 伊藤 将司

1996年5月8日生 横浜高-国際武道大-JR東日本 投手 左投左打 178cm 85kg
★特徴:特別速いボールはないものの、ボールの出所が見づらく、コントロールで勝負する投手。投球モーションにも緩急を付け、打者を翻弄する。基本は打たせて取るタイプだが、独特なカットボールやフォークも駆使し、三振を奪える。非常にクレバーな投手。先日のNTT東日本戦では9回1アウトまでノーヒットノーランの好投を見せつけた。
★課題:コントロールが良い割に、四死球が多い所。
★即戦力度:左の先発として、すぐにローテーションに入れる。
★来年の使われ方:既存選手の先発投手次第ではあるが、開幕から一軍ローテーションに入れる投手。先発投手として、1年間起用する事が考えられる。
★将来の使われ方:先発左腕としてローテーション入り。
★俺が考える選手タイプ:成瀬善久(栃木ゴールデンブレーブス)


3位 佐藤 蓮

1998年4月11日生 飛竜高-上武大 投手 右投右打 186cm 100kg
★特徴:剛腕投手。186cm、100kg、筋肉隆々の恵まれた体格から155kmのストレートと140kmのフォーク、パワーカーブで打者から三振を奪う圧倒するピッチング。ドラフト2位の伊藤選手が「柔」に対し、佐藤蓮選手はまさに「剛」のタイプ。故障をしていた為、大学4年間で公式戦は4年生時のみの出場の未完の大器。まだ球速が上がりそうな、これからの存在。打者としても一発を秘めている。
★課題:コントロールと実戦感覚。
★即戦力度:ある程度コントロールに目途が付けば、一軍ですぐに使える。
★来年の使われ方:藤浪の先発転向やスアレスの去就と佐藤蓮のコントロール次第であるが、彼らが中継ぎから抜けた場合、それに代わる起用として、一軍中継ぎ起用が考えられる。コントロール次第では、2軍でコントロールの課題に取り組む事も考えられる。
★将来の使われ方:中継ぎやストッパーとして、後ろを支える存在。将来の抑え候補筆頭。
★俺が考える選手タイプ:沢村拓一(ロッテ)


4位 栄枝 裕貴

1998年5月16日生 高知高-立命館大 捕手 右投右打 178cm 85kg
★特徴:強肩が売りの捕手。矢のようなスローイングと正確なコントロールで盗塁を阻止する。投手がフォームを盗まれても、ランナーを刺せる。5位以下の指名なら社会人と伝えた結果、阪神が4位指名した。肩はプロトップクラスであるものの、ブロッキング能力に課題がある。しかし、その課題以上に肩の魅力で惹かれる。
★課題:捕手としての経験値。大学で試合に出だしたのが4年生時のみである為、捕手としての経験値が足りない。また、プロで通用する打力も足りない。
★即戦力度:控え捕手としては即戦力。捕手としての経験値や課題の打撃面を考慮した総合面では即戦力とはならない。
★来年の使われ方:プロのインサイドワークやブロッキングを学び、課題の打撃向上にも取り組むため、二軍の試合に多く出場させ、鍛えていくのではないかと考える。
★将来の使われ方:梅野の次期正捕手候補。強肩の栄枝、インサイドワークの坂本という併用もある。
★俺が考える選手タイプ:小林誠司(巨人)


5位 村上 頌樹


1998年6月25日生 智弁学園高-東洋大 投手 右投左打 174cm 76kg
★特徴:智弁学園時代にセンバツ優勝した事で高校から有名な投手(5試合全て完投勝利、決勝は自らのサヨナラ打で決める)。高校時代もプロが注目していたものの、大学に進学。大学1年からチームの主力として投げるほど完成された投手。正確なコントロールで打者の内角外角と攻め分け、高いスタミナ力で、チームを勝たせるピッチングも備えている。監督やキャッチャーから「リードしがいがある」と言われるほど。ストレートは150kmに到達しないものの、回転数は藤川球児並みであり、ノビを感じさせる。長くドラ1候補と言われ続けた選手。
★課題:ストレートの数字。球速を上げて、更に緩急を付けられれば球界を代表する投手になれる。
★即戦力度:完成度が非常に高く、先発ローテーションで使える。
★来年の使われ方:ドラフト前に発覚した右前腕肉離れの具合が気になる。今秋、突然球威不足になった原因がケガであれば、そのケガをキッチリ治す事からか。
★将来の使われ方:先発完投型のエース。リリーフでは大学時代に苦労した為、先発一本で起用する。完投が見込めるため、彼の登板日はリリーフを温存できる。
★俺が考える選手タイプ:桑田真澄(巨人)


6位 中野 拓夢


1996年6月28日生 日大山形高-東北福祉大-三菱自動車岡崎 遊撃手・二塁手 右投左打 172cm 67kg
★特徴:ショートの守備力が非常に高い選手。流れるような身のこなしでゴロをさばき、正確な送球が持ち味。球際に強く、ショート方面のゴロはほぼアウトにする。大学までは二塁手。打撃は広角に打つ単打タイプだったが、最近は本塁打を打つなど、成長している。矢野監督の大学の後輩。阪神イケメン枠。
★課題:土のグラウンドの甲子園でも持ち前の守備力を発揮できるか。
★即戦力度:ショートの守備ではチームNo.1。持ち前の守備や走塁から一軍ですぐに貢献できる。
★来年の使われ方:開幕一軍でショートスタメンが期待できる。チーム屈指の高い守備力を披露すれば、スタメン起用となる。
★将来の使われ方:ショートかセカンドのスタメン。中野-小幡の二遊間はリーグ屈指の守備力となる。
★俺が考える選手タイプ:小深田大翔(楽天)


7位 高寺 望夢


2002年10月17日生 上田西高 遊撃手 右投左打 178cm、75kg
★特徴:ヒットメーカー。逆方向にも強い打球を打てる。高校生合同練習会では、6打数5安打の打棒を見せつけ、左投手の内角を上手くさばくバットコントロールも披露した。守備範囲は突出して広くはないものの、強く正確な送球で堅実にアウトを取る事が出来る。阪神タイガース最年少選手になる。
★課題:良い素材ではあるが、プロとしては打撃、守備全てレベルアップが必要。
★即戦力度:当分は二軍で鍛える事になる。
★来年の使われ方:プロの投手のボール、プロのバッターの速い打球に慣れる事から。ショートの守備が上手い為、当面は二軍のショートのレギュラーではないか。遠藤はセカンドかサードにコンバートされる可能性も。
★将来の使われ方:走攻守を備えており、1番バッターとしてリードオフマンタイプか。
★俺が考える選手タイプ:立浪和義(元中日)


8位 石井 大智


1997年7月29日生 秋田高専-四国IL高知 投手 右投右打 175cm 81kg
★特徴:肘の使い方が柔らかく、153kmのストレートと得意球シンカーで三振を多く獲るパワー投手。昨年指名漏れしたが、今年更に球威を増し、奪三振率11.50、四死球率1.16と素晴らしい投球内容をした。
★課題:シンカー以外に使える変化球が1つあれば、更に投球の幅が広がる。
★即戦力度:先発として完成度が高く、先発ローテーションを埋める働きがあるのではないか。
★来年の使われ方:独立リーグでは先発投手である為、まずは先発として起用。
★将来の使われ方:先発として起用もヨシ、高い奪三振率からリリーフ起用もヨシ。
★俺が考える選手タイプ:摂津正(元ソフトバンク)


育成1位 岩田 将貴


1998年6月16日生 九産大九州高-九州産業大 投手 左投左打 178cm 77kg
★特徴:球界では珍しい左のサイドハンド。トルネードから大きくクロスステップし、サイドから投げてくる為、打者は背中からボールがきたように感じるような投げ方。130kmのボールでも、この変則的な投げ方で打者を翻弄する。大学2年春では7勝0敗、最多勝、最優秀防御率でMVPに輝いた。トミージョン手術を受け、今秋復活を遂げた。田中秀太スカウト担当。
★課題:球威の復活。故障個所のケア。
★即戦力度:変則的な投げ方ではあるが、球威が完全復活してなく、今のままではプロとしての即戦力にはならない。
★来年の使われ方:完全復活を目指し、球威アップを課題に2軍で鍛えていく。
★将来の使われ方:まさに巨人・高梨のような使われ方。ピンチの場面で相手打者が左の場合は、岩田をまず起用したい。
★俺が考える選手タイプ:高梨雄平(巨人)、森福允彦(元ソフトバンク)


3.補強ポイントとの合致度
 第1回「2020年 阪神ドラフト補強ポイントの私的考察」でドラフト補強ポイントを考察しましたが、今回のドラフト会議でそこが補強できたか確認します。
 結論から言うと、優先すべきポイントはほぼ指名できたと思います。

 補強が出来なかった所を挙げるなら、中継ぎ左腕で、育成の岩田選手のみの指名です。ドラフト2位の伊藤将司選手は先発タイプですので、補強は出来なかったと考えますが、伊藤将司選手が入った事で岩貞選手が来季も中継ぎとして起用が出来そうな事を考えると、間接的に中継ぎ左腕を補強したと考えられます。


補強優先度:高
 ・ローテーションに入れる投手 →伊藤将司、村上頌樹、石井大智
 ・中継ぎ左腕投手 →岩田将貴
 ・二遊間内野手 →中野拓夢、高寺望夢
 ・外野手(できれば右打者) →佐藤輝明
補強優先度:低
 ・第3捕手 →栄枝裕貴
 ・一塁内野手 →佐藤輝明
補強不要
 ・三塁内野手 →佐藤輝明
 ・右の中継ぎ →佐藤蓮


4.開幕時の一軍二軍の振り分け予想

 以上の事から、開幕時には以下のような振り分けになると考えます。

★1軍:佐藤輝明、伊藤将司、中野拓夢、石井大智
★1軍(状態次第):村上頌樹
★2軍:佐藤蓮、栄枝裕貴、高寺望夢、岩田将貴



5.さいごに
 今回のドラフトは素材型の高校生よりも即戦力型の大学生や社会人を多く、獲得しました。
高校生の原石を鳴尾浜で磨く事よりも、即戦力を優先獲得した事から、今の現有戦力とこの即戦力新人で1~2年以内に優勝をするという球団の意気込みを感じられました。
 また、かつての阪神も目先の穴を補強する為に、大学生や社会人を獲得し、突貫工事的な穴修理をしていましたが、ことごとく失敗してきました。ただし、今回は大学生や社会人の即戦力を多く獲得したとはいえ、佐藤輝明、村上頌樹などに代表されるように、チームの核・大黒柱となれるような選手を獲得した所が過去との大きな違いであると考えます。
 これらの選手が現有戦力と上手く噛み合えば、数年間は阪神の黄金期が来そうな予感がします。
(高校生がもうちょっと欲しかったなぁという思いも・・・。でも、来年高校生が逸材だらけなので、高校生ドラフトは来年に!)

 今回もドラフトに対する熱い思いから、長い乱雑な文章になりました。大変申し訳ありません。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
 次回は、戦力外通告、新助っ人獲得後、来季の戦力を分析したいと思います。

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