向きをかえる地蔵さま
向きをかえる地蔵様(田本)
やすおか村の民話より
田本の秋葉街道(あきばかいどう)の途中に古びた地蔵の石仏があります。この地蔵の台座は今でも回転させて、いずれの方向へも向きが変えられます。
今から300年ほど前の話です。
田本の島垣外(しまがいと)の地に最初に住みついたと言われている、作右衛門(さくえもん)夫婦がいました。
この夫婦に初めての子供が生まれて、三日目のことです。
夫の作右衛門は、妻や子を養うために稼ぎに出ようと仕度をしていました。すると、それを見た妻が「産明け(うぶあけ)も済まないのに出かけられては困ります」といってとめたので、夫婦はいさかいとなり、夫の作右衛門はカッとして庭にあった下駄(げた)を妻に投げつけた。
ところが、運悪くその下駄が妻の頭に当たりそれがもとで妻は死んでしまいました。
作右衛門は自分のせいで取り返しのつかないことをしてしまったと悔やみ、何年かかけてその地に地蔵(じぞう)を建てて妻の供養をし、その後、子供を連れて旅に出ることにしました。
出かける際に村びとに、「時々地蔵様を自分のいる方向に向けてほしい。」と頼みました。
村びとは、折々作右衛門や子供のいると思われる方向に地蔵の向きを変え、盆、彼岸にはお参りを続けていました。
今でも島垣外の松澤家ではお盆に台座を三回まわして供養をしている、と言うことです。
(カンガルークラブ再話)
民話の里めぐり実行委員会
300年前といえば、時代は江戸時代ですね。
秋葉街道については、以下3点のリンクから見てみるとわかりやすいと思います。
秋葉街道 | 信州遠山郷
秋葉街道を行く(1)秋葉神社から山住へ - ニッポンレンタカー
秋葉街道を行く(2)兵越峠を越え、遠山郷へ
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