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国際恋愛とゴールドディガー:愛と欺瞞のはざまで

 国際恋愛は、異文化を体験し、新たな人生の扉を開く魅力的な道です。しかし、途上国出身者との関係においては、ゴールドディガーの存在に注意が必要です。

 NPO法人CHARMS設立より前から8年ほどにわたって国際ロマンス詐欺の被害相談に携わってきましたが、その際に「実際に会えた相手」に関するご相談を受けたこともあります。実際に会える、つまりは成りすましの偽物ではないということになりますが、そこにも危険が潜んでいるのです。

 今回はゴールドディガーと偽装結婚にスポットを当てます。


ゴールドディガーとは?

 ゴールドディガーは、直訳すると「金鉱で金を掘る人」ですが、恋愛よりも金銭的利益を優先する人を意味します。彼らは相手の感情を利用し、経済的な便益を追求します。この現象は、男女を問わず、世界中で見られます。日本の「頂き女子」もゴールドディガーの一種です。

 国際恋愛においては、経済的利益を求めてパートナーを利用するといったものが見られ、ターゲットは男性とは限りません。たとえば、BBCのドラマ「ゴールドディガー 疑惑 年下の男」では、年下の男性が金銭目的で60代の女性と関係を築くストーリーが描かれています。(1)

 ゴールドディガーは恋愛を偽装して金銭を狙う行為です。国際的な出会いにおいて注意深くあることは必要です。

オンラインに潜むゴールドディガーの罠

 オンライン上でのゴールドディガーは、国際ロマンス詐欺とよく似た手口で近づき、被害者を騙します。彼らは緊急性や結婚などの将来の希望を煽り、医療費やトラブル解決費用、結婚のための費用、スマートフォンの購入費などと称してお金を要求するのです。

 しかし、国際ロマンス詐欺と大きく違うのが、本人に会えることです。相手の国に行って実際に相手に会う、或いは相手にお金を出してあげて日本に来てもらうということが可能なのです。そして、家族を紹介すると言われて現地で相手の家族に会ったという方々もおられます。

 たとえば、相手の国に会いに行くと、相手は都合の良いときだけ出てきて、ともにホテルで過ごすことはなく、ホテルも観光もすべて相手が手配したものを使うようにさせられるというケースもあります。そのような本人に会った時の経験から、「お金が目当てなのか」という疑念を持ち始める方もおられます。

 インターネットを介したゴールドディガーは、国際ロマンス詐欺と異なり実際に会うことができることから、判断に迷うかもしれませんし、相手への同情心も掻き立てられます。しかし、お金の話が出たらゴールドディガーを疑ってみることは間違いではありません。

男性のゴールドディガーもいる

ビザを狙った結婚

 別の問題は、ビザ取得を目的とした偽装結婚です。これらはしばしば永住権や就労権を得るための手段として利用されます。永住権を取ることで滞在先の国に長く住んで就労することができるからです。

 日本では、外国籍の方が10年以上日本に居住していれば永住権が獲得できます。しかし、婚姻が3年以上続いている場合は10年に満たなくても永住権がとれるのです。

 たとえば、日本人女性と結婚し日本でビジネスを始めた外国人男性が、永住権を得た後で離婚したというケースが実際にありました。その男性は結婚当初から何人もの日本人女性と交際を続けていたそうです。そして男性は結婚ビザで3年間結婚生活を継続し、永住ビザを取得して日本でのビジネスの継続を可能としてから離婚しました。

 他のケースでは、幼い子供たちが飢えている写真を日本人女性にチャットで送り、この子達のためにお金が必要だから君と結婚したいと言ってきたというケースもありました。

 インターネットで知り合った相手が日本に来てくれて結婚できるというのは、相手を探している方にとっては嬉しいことかもしれません。しかし配偶者ビザ狙いの結婚は、真実の愛ではなく利益を目的としています。

結婚出稼ぎ

 もちろん結婚した相手が自分の実家へ仕送りするということすべてが悪いことではなく、普通に行なわれていることです。しかし最初から仕送りを目的で結婚をするというケースも存在します。

 具体例をあげると、ベトナムのマッチングサイトではベトナム人女性と日本や韓国、台湾などの東アジアの男性を結び付けるサービスがあり、東アジアに嫁いだ娘の送りで豪邸を建てるということが実際にあります。つまりは、女性だけではなく、女性を送り出す親族全体が女性の結婚出稼ぎをあてにしているのです。(2)

 Yahoo知恵袋でも、過去に日本人男性のロシア人の妻が本国に書類上離婚した夫と子供がいて、家族に仕送りをしているという二重家庭であることが発覚したという相談がありました(3)

 結婚したご本人が配偶者の実家を潤し、それで満足しているのなら、問題はないかもしれません。しかし結婚出稼ぎは、恋愛感情ではなく経済的利益を目的としているということは事実です。そして配偶者の二重家庭などが発覚すると、精神的苦痛を味わうことにもなります。

オンラインで手軽に出会える現代だからこそ

 オンラインで手軽にコミュニケーションがとれるため、オンラインでの出会いでは特に警戒が必要です。SNSやマッチングアプリを通じて、ゴールドディガーやビザ狙いの人々が容易にターゲットを探してアプローチできる環境があります。

 もちろん、収入や学歴や社会的ステータスを過度に気にするのはふさわしいことではありません。それでも相手がお金目当てかどうかを見極める必要はあるでしょう。相手の経済状況、家族構成(大家族など)、教育背景や、写真から見られる相手の肌や髪の状態、服装、歯並びや爪の状態などをよく調べてみることで、お金が目当てかどうかを知るヒントが得られるかもしれません。

最後に

 国際恋愛は確かに素晴らしいものですし、途上国の人々に対する偏見も持つべきではありません。一方で、自分の財産と感情を守るための警戒心も必要です。性悪説であることは国際社会では必ずしも誤りではありません。異文化間の恋愛は豊かな経験をもたらしますが、それに伴うリスクにも目を向け、適切な対策を講じることが重要です。愛と金銭のはざまで、賢明な選択をすることが、幸せへの鍵となるでしょう。

結婚出稼ぎ:花嫁の背後にその仕送りを期待する親族たち


参考:
(1)ゴールド・ディガー ~疑惑 年下の男 - Apple TV (日本)
(2)出稼ぎの最終形態......娘を外国人と結婚させて豪邸建設。ベトナム「花嫁村」の知られざる実態! - 社会 - ニュース|週プレNEWS (shueisha.co.jp)
(3)Yahoo知恵袋:ロシア女性の出稼ぎ結婚疑惑
ロシア人女性と国際結婚しましたが大問題が発覚してしまいました。4年前にロシアン... - Yahoo!知恵袋
(4)ロシアより愛をこめて~男性狙いのロマンス詐欺(5)Pro Dater / Gold Digger | カブールでコーヒーを (インターネット犯罪、国際ロマンス詐欺、419詐欺に関する注意喚起ブログ) (ameblo.jp)


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