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CARAN D'ACHE 1周年

筆記用具には少し拘りがあって、要は100円ボールペンとかではなく、カッコいいモノを使いたいといつも思っている。万年筆とかを使いこなせるとカッコいいのだろうが、メンテナンスとか考えると手を出せずにいる。

20数年前、家人と結婚する前にモンブランのノブレスを誕生日にプレゼントしてもらい使っていた。モンブランのリフィルは最近の国産ボールペンの書き易さには程遠い感じで、いつの間にか使用しなくなっていた。

ただ、最近はAmazonで海外製のボールペンにジェットストリームのリフィルを使用するためのアダプターが販売されている。2018年にこれを購入し、4C規格のジェットストリームプライム用リフィルをこのアダプターにセットしてジェットストリーム化をしたところ、もともと軸の太さは程よい感じだったので非常に書き易くなった。

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↑ ジェットストリーム化して書き易くなったノブレス

ブログなどを検索すると、文房具好きの方々がいろいろな試みを行っている。モンブランのジェットストリーム化から遡ること3年前の2015年、LAMMY2000の4色ボールペンをジェットストリーム化した。

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4色ボールペンとなると軸が太くなるため、大抵あまりカッコいいペンはないのだが、LAMMY2000は4色の割にはそれほど太くなくデザインが良いので、一番カッコいい多色ボールペンだと思っている。ただLAMMYオリジナルのリフィルは、書き出しが擦れたりして書きにくいので、同じ4C規格のジェットストリームプライム用リフィルに交換してジェットストリーム化したのだった。ただジェットストリームのリフィルは黒、青、赤の3色しかなく、緑はパイロットのリフィル使用せざるを得なかった。緑のリフィルは種類が少ないので、どれが書き易いのか改めて調査する必要がありそうだ。

さらに遡って2009年。年末になると日経新聞の広告にクリスマス商戦に向けた、時計やバッグ、筆記用具などの特集広告が組まれるが、2009年末の広告で当時新しく発売になったS.T.Dupontのデフィという筆記用具が紹介されていて、とてもカッコいいので欲しくなってしまった。S.T.Dupontはフランスのブランド、ちょうど2009年11月に出張でフランスに行ってきたばかりだったので、知っていれば買ってきたのに…、と思ったが遅かった。

デフィは、easyFLOWというリフィルが採用されていて、これが書き易いらしい。買うにしても国内だと1本3万円、ボールペンに3万円かけるのは贅沢過ぎる…、でもフランスで買えば記念品という扱いにできるなどと考えたが、次にフランスに行けるチャンスはある訳でもなく、時間が過ぎていった。しかし翌2010年11月にフランスに出張することとなった。

出張先は南仏のエクサンプロバンスで、仕事が終わった後、一緒に仕事をしていたフランス人にS.T. デュポンのボールペンが買いたいので文房具屋に連れて行ってくれ、という話をしたら、高級筆記具がずらっと並んだ店に連れて行ってくれた。この店にデフィは売っていた(当たり前か…)。価格は確か日本円で2万円しないくらいだったので、これはここで買っていくしかないと思い、ペンケースと共に購入した。

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このペンは書き味はとてもいいのだが、軸が重く普段使いとしてはヘビーなので、現在はサイン用として使用している。

普段使いのボールペンとして、取り回しがよくてカッコいいボールペンが欲しいと思っていたところ、一昨年から気になってきたのがCARAN D'ACHEのエクリドールだった。

エクリドールを初めて見たのは、社会人3年目の頃で会社の先輩が持っていた。その時は全く興味はなく、そのまま二十数年が過ぎていた。ボールペンのリフィルはいろいろな種類・ブランドがあり、どれが書き易いのかネットで調べていたところ、カランダッシュのゴリアット芯が非常に書き易いということを知った。ゴリアット芯はカランダッシュのそれほど高価ではない849というシリーズにも搭載されており、店舗で試し書きをしてみると確かに書き易い。ジェットストリームはインクの粘度が低くてスルスル、easyFLOWも粘度が低いが滑るように書け、ゴリアットは書き始めから擦れることもなくヌルヌルかけるという感じだろうか…。

でもどうせカランダッシュを買うとしたら849とかではなくエクリドールが欲しいと思っていた。エクリドールはデザインの種類が多いのに加え、軸は基本であるシルバープレートにパラジウムコート、ゴールドプレート、ローズゴールドなど多岐にわたるのであるが、物欲をそそられたのはスターリングシルバーの軸であった。スターリングシルバーとは、銀の含有率92.5%の銀合金で、要はほぼ銀無垢の軸ということである。

いろいろ調べているうちに、スターリングシルバーのベネシアンというデザインのエクリドールが欲しくなってしまった。

とてもお洒落なデザインで、むしろ女性が持つととても素敵な感じだ。実際に銀座の伊東屋で女性がエクリドール ベネシアン(スターリングシルバーではなくパラジウムコート)を購入しているのを見たことがある。スターリングシルバーでなくても1本2万円くらいだ。ただ、ベネシアンはそのデザインから長時間筆記していると指が痛くなるという話もあり、50を過ぎたおじさんが持つデザインとしては派手過ぎるということで、次にリーニェというデザインに惹かれた。

それほど余裕がある訳でもないのにボールペンに何万円もかけていいのだろうかと思うのだが、エクリドールのスターリングシルバーは1本5万円もするので、さらに夢は遠のく…。

ところが2020年3月に渋谷の伊東屋が閉店するとのことで、30%引きのセールをやっているという情報が後輩Af氏からもたらされた。Af氏はクラシックカメラの趣味においてもレンズやカメラを貸してくれる素晴らしい後輩なのだが、筆記用具フリークでもあり、100万円の万年筆を購入したりしている。彼にエクリドールの購入を考えているという相談をすると、スターリングシルバーの購入を勧められた。

5万円のボールペンが3万5千円で購入できるチャンスである。2020年3月10日、覚悟を決めて会社帰りに渋谷の伊東屋に向かった。リーニェのスターリングシルバーの在庫がまだあるのであれば買おう、なければ縁がなかったと思って諦めようと思って売場に向かった。欲しいものはあった。まあ高いのに手入れも大変なボールペンを買う人はあまりいないのかも知れない。こうしてカランダッシュ エクリドール リーニェ スターリングシルバーが手元に来た。

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スターリングシルバーは手入れをしないと硫化してくすんでしまう。毎日常用ボールペンとして使用しているので、今のところ買った時の輝きは維持されている感じだ。

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そして気になった時に、クロスで磨いて手入れをしている。

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先週、Af氏とイタリアンレストランに行った時に撮影した、彼が持参したスターリングシルバーの万年筆とのツーショット。プラチナ社創業100周年記念 銀無垢万年筆『ザ・プライム』でこちらは10万円…。

スターリングシルバーはパラジウムコートに比べて、持った時の質感に温かさを感じる気がするが、気のせいなのかも知れない。本体にAg 925と表示されているのも自己満足感を満たしてくれる。

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本当にやらなければならないのは、字の練習をして、このペンにふさわしい美しい文字が書けるようになることなのだろう。ライカを持っただけでは、上手い写真が撮れないのと同じだ。でも人間は弱い動物だ。物欲に屈してしまう…。今のところ筆記用具の欲しい欲しい病は治まっている。再発しなければよいのだが…。

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