国のリサーチ資料のわかりやすさ

研究をしていると「おぉ〜、こんなにわかりやすい資料、リソースがある!!」と感動することがある。

今回発見したのはその名もPOSTnotes 

https://www.parliament.uk/postnotes

POSTというのは、 Parliamentary Office of Science and Technologyの略で、直訳すれば「国会科学技術オフィス」とかになる、科学といっても、ちゃんと「社会科学」も含まれる。科学と技術に関して、(偏らずの意だと思うが)独立して、バランスのとれた、そしてアクセスしやすい公共政策問題の分析を提供する国会内の情報源である。

国会で使われる資料なのであるが、学者、産業界、第三セクターの専門家たちのインタビューや研究を簡潔にとてもよくまとめられている。

基本的に4ページという量にまず感動した。

こんな感じで1ページ目があるのだけれど、このOverviewのところを読んで嬉しくなってしまった。日本の刑事責任年齢に関して、ここまでまとめられた資料は、まず見つからなかった。

何が書いてあるかというと、ヨーロッパの中で、英国は刑事責任年齢が最も低く、スコットランド以外は10歳になっている。スコットランドは8歳から12歳に変更するところだが、他の地域は頑なに反対していること。それはグローバルスタンダードからすると、ずいぶん離れていること。(国連などの子どもの人権関連の団体から幾度も指摘されている)。10歳の子どもの道徳的判断にかんして、脳の発達からいっても、未成熟やし、10歳という年齢は恣意的で、エビデンスに基づいていないということが明確に書かれている。

日本は14歳が刑事責任年齢であるが、少年法の上限は20歳となっていて、成人年齢の18歳への引き下げに伴って、どうするか議論が行われている。

刑事責任年齢に関して、「善悪」の判断が何歳からできるのか。こうしたことを科学的にエビデンスをとって、政策議論を行えるのかというと、とても疑わしいと思っている。

「大人」として罰するのか、まだまだ社会や大人の保護が必要な「子ども」を福祉的にサポートしながら教育を行っていくのか。少年法に関して「大人」の線引きがどこになるのか、注目していたい。

いくつかの若年者の刑務所の研究において、死別を経験した子の比率が高いことが示されていた。若年者の犯罪と死別について検討する上でも、この「年齢」への着目は大事だ。

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