気弱な僕

僕はとても気が弱い。

自分に自信が無いのだ。理由は様々ある。
力が無い。頭が悪い。不細工。身長が低い。
自分で理由を書き出しながら今までよくいじめられなかったなと思った。

小学校に入学するとき、中学校に入学するとき、高校に入学するとき、毎回いじめられないかを一番に心配していた。入学式の前の日なんかは怖くて眠れなくなる。
明日が来なければいいのにと何度思ったか。

でも、幸い今までいじめられたことは無い。この時点で僕の人生は上出来だと思っている。
いじめられたことは無いし、道端で喧嘩を吹っ掛けられたことや、カツアゲにあったこともないのに仕事場から帰る暗い道を歩いているときにはいつもびくびくしながら足を進めている。

前から金髪の男性が歩いてくる。
僕は瞬時に下を向き目を合わせないようにする。
いや、女性でもそうするだろう。
体が大きい人。
3.4人で騒ぎながら歩いてくる高校生。
ムキムキタンクトップ短髪。
ああ~怖い。街中に怖い人(これらは全て僕の偏見です。)が溢れている。
怖いと思うたびに自分の気の弱さを感じ情けなくなる。

この前駅の駐輪場の出入口に、学校ではヤンキーで通っているに違いない中学生らしき男女二人組がわいわい騒いでいた。駐輪場に入るときは気づかれなかったのだが、自転車を取り駐輪場を出ようとしたときにヤンキー風の男の子がふざけた口調で

「どこ行くの?ねえ、どこ行くの?」

と僕に聞いてきた。僕がびびって一瞬固まっていると、もう一人の女の子が

「ねえ、やめなよ~。お兄さん困ってるじゃん(笑)」

と言った。
僕はそのまま

「はい。すいません。」

と言い自転車に乗りその場から逃げるように帰っていった。情けない。情けなさ過ぎる。10歳以上も年下の子にビビりまくっている。
これほど自分に幻滅した日は無い。

こんなにも気が弱い一番の理由は力の無さだと思っている。いざとなった時に絶対に勝てないという自負があるからだ。喧嘩なんかしたことないし、喧嘩強いとか言ってるやつださいと思っているし。
いや、駄目だ。
今のは喧嘩が強いやつが言う事であって、弱いやつが言っても僻みにしかならない。

話を戻すが、だからといって鍛えようとは微塵も思わない。僕は喧嘩に勝つ方法ではなくどうすれば喧嘩にならないのかを日々考えている。
というが今まで生きてきて他人と喧嘩なんかしたことないのでこれまでの生き方でいいと思っている。
だけどそうすると夜中歩くときは下を向いて歩いて行くことになるだろう。
気が強い人は前を向いて歩いて行くのだろう。

これだけ聞くと気が弱いのは嫌だと思う人も沢山いるだろうが、僕は気弱の一発逆転のメリットを知っている。

気が弱い人はうんこを踏まないのだ。
きちんと足下を見て歩いているからそんな間抜けなことはしないし、
少なくとも潔癖症は気が弱い派に票を入れてくれるに違いない。こうして徐々に気が弱い人に人権が増していくことを期待している。
そして、この世に……あ、うんこ踏んだ。

……ジム、行くか。



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