ジャズで「同じことをやってはいけない」ってのは多分嘘。

例えばマイルス.デイヴィスが「俺は同じことは2度とやらない」って言ったということが神話になってますが、これ、誤解があると思います。だって、60年代の彼のライブアルバムってレパートリーめっちゃ少ないし、お約束のフレーズとか結構ありますよ。例えばブルース吹いててトニーのドラムソロに回す前のフレーズとか。彼が言ってたのは「バンドサウンドとして同じようなことはやりたくない」ということだと思うのです。どんなミュージシャンにだって「手癖フレーズ」は存在するし、それがあるからこそそれを出されるとオーディエンスは「待ってました!」ってなるわけだし。手癖のフレーズだって出す場所やその時のサイドメンのリアクションで全然違って聞こえるはずなんです。他に例を挙げるならエリントンのバンド。エリントンのビッグバンドのメンバーではむしろ自分で好き勝手に吹いてる人の方が少ないですよね。ハリー.カーネイ、キャット.アンダーソン、ラッセル.プロコープ、その他多くの人が書き譜と思われます。百歩譲ってシメのフレーズとかはっきり決めてる感じです。でもエリントンの音楽はジャズと定義されていますし、これを批判する評論家を見たことがありません。同じことしてるのに。だから、「ジャズで同じことをしてはいけない」というのは誰が最初に書いたかはさておき、評論家の言葉が一人歩きして出来上がった都市伝説のようなものではないのか、と思えてなりません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?