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SIGMA fpで6×6フォーマット〜仮設Hasselblad SWC

Hasselbladや最近ではインスタでおなじみの正方形の写真、6×6フォーマット。
フォーマットを変えることで世界の見方が変わる。
例えば、正方形のフォーマットで撮ると、日の丸構図のように中心になにか置きたくなる。
左右均等で中心に存在感のあるなにか、そして無機質な雰囲気を。
これは僕の視点であるが、6×6にしっくりくるなにかを探す目になる。6×6の世界が現れるのだ。

今回の6×6の世界を試してみようと思ったのは、2Bチャンネルのこの動画、リー・フリードランダーのHasselblad SWAの構図を見たことによる。
Hasselblad SWシリーズといえば、ビオゴン38mmF4.5(35mm判換算約21mm)の歪曲のない超広角レンズを積んだモンスターカメラ。
何がモンスターかというと、ただでさえ水平が取りづらい6×6フォーマットにおいて、超広角レンズ専用機なのである。
広角レンズの名玉と名高いビオゴン38mmのためだけに作られたカメラであり、なんと撮影は目測!
そんなモンスターカメラは主に建築写真や風景写真に使われていたのだが、リー・フリードランダーはスナップ写真で使っている。
動画で語られているように、正方形のフォーマットで超広角となると非常に構図が難しい。
リー・フリードランダーは、画面全体を覆い尽くすオールオーバー、真ん中を分断する線、人物を中心に円状に写す・・・などなど、巧妙な構図と配置によりこの難しいフォーマットを見事に自分のものにしている。

これはまた面白そうだ。
と思っていつもなら何だかんだHasselbladのSWシリーズを物色しているところだが、今回は違う。
我が家の防湿庫のものだけで、仮設Hasselblad SWしてしまおうという個人企画。
まさに現代のブリコラージュ
SIGMAの構造と力を駆使して、パノプティコンのようにHasselbladを見通してやるのだ!
デジタルカメラのブリコラージュは至って簡単、SIGMA fpの設定でアスペクト比を1:1にして、sigma 20mm f2 dg dnを取り付けるだけ。

あら不思議!仮設Hasselblad SWCの完成!ハッスルシグマ SWfと名付けよう。
厳密な35mm換算ではちょいと違うとは思うが、歪曲のなさやレンズの性能はビオゴン38mmF4.5とそんなに遜色ないはずだ。使ったことないけど。

線と線で正方形を斬る、すると何もない正方形の空間に意味が生まれる。
新たな視点が写真に残され、世界はまた違って見えてくる。
するとどうだろう?自分が存在する世界だと思っている世界は、本当の世界なのだろうかと思えてくる。
自分が普段見ている世界は、非常に恣意的で色々な雑音で誘導された「見せられている世界」なのかもしれない・・・と。

フォーマットを変えることで撮影する世界が変わり、それ故に自分の世界観が覆させられる気持ちの悪い感覚に浸ることができる。
これぞ写真の醍醐味なのだ。
ウジェーヌ・アジェの撮った「人のいない街角」がそうであったように、写真はあるがままの世界を写している。
しかし写真は、収められたその世界がリアルに存在しているという証拠を突きつけてしまうがために、見る人を不安にさせるのである。
リアリズムとイメージの差異にこそ本当の世界は存在し、それは見る人によって新しく生み出される世界でもある。
マルクス・ガブリエルの「なぜ世界は存在しないのか」を思い起こさせる不思議な体験。
みなさま、フォーマットを変えて眺める存在しない世界の体験、どうでしょうか?

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