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3大都市知事が国政関与:置き去りになる地方政治の取材体制

希望の党代表の小池百合子東京都知事の仕掛けた政変は、中央政界の野党再編にとどまらず、地方政治の風景も変えつつある。小池氏は9月30日、大阪府内で、日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事、愛知県の大村秀章知事と会談し、選挙協力する方向で一致した。

選挙協力といっても、東京・大阪圏内での候補者住み分けで、全国的には希望と維新の候補者がぶつかることもある限定措置。軍事同盟というよりも、双方の本拠地への“不可侵条約”というトーンが強く、会談前に一部で憶測があったように、3知事による衆院選出馬といった劇的な展開には至らなかった。

小池氏の衆院復帰説は、これまで本人が否定しているものの、自民党サイドは警戒を緩めていない。都議会本会議終了の10月5日の直後まで見極めたいところだが、小池氏が都政に残った場合でも、希望の党は国政で野党第一党のポジションになるという予測が強まっている。近い将来の政権交代が視野に入るだけの躍進を遂げた場合、東京都知事が国政に名実ともにコミットし、強い影響力を発揮するのは初めてのことだ。これまでも、大阪の松井知事、滋賀・嘉田由紀子前知事が国政政党の党首になった事例はあるが、首都東京の知事となるとインパクトが違う。

国政と地方政治の壁が崩れ、政界における力学もいっそう複雑化する。同時にそれは、政治家たちの動向を追うメディア側にもゲームチェンジへの対応をせまられる可能性がある。これまで国政は政治部記者、地方政治は社会部・地方記者がそれぞれ担当してきたが、政治取材は選挙や政策に関して一程度の見識・関心がなければ務まらず、反権力志向が強く、単純な善悪二元論をふりかざす社会部的な取材手法が機能するとは限らない。

政治部記者と社会部記者の取材手法は、警察組織内で水と油とされる2つの捜査手法に置き換えてみると、イメージがつくかもしれない。

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