ヘリウムフープ__1_

パーソナルトレーナーと白魔道士になった研修ファシリテーター

2019年、今年も株式会社フォトクリエイト・しまうまプリントシステム株式会社・株式会社CCCフォトライフラボに配属される新入社員研修を担当しました。

大事にした考え方

今年の研修で大事にしたことは「身につく学び」です。

昨年までは研修の全体の設計や自身が実際に講師・ファシリテーターとして関わるコマのみの関わりだったのですが、今年は育成の担当としてほぼ全てのコマにオブザーバーとして参加し、それぞれのコマで講師がどのようなことを話したのか、それにより新入社員がどのようなことを受け取ったのか把握することができました。

「何度言ったらわかるんだ」 と子どもに向かって言ってしまう親、というのはまだまだいると思うのですが、新入社員に対しても「教えたのにできるようにならない」ということがたくさんあると思います。むしろ一度しか教えていないのにできるようになるのはよほど優秀な人だと思ったほうが良いです。なので今年の研修では「さっき・昨日誰かが言ったこと」を繰り返して伝える、という設計を重点的に行いました。

実践ビジネスマナー

「実践ビジネスマナー」という演習では、前日にビジネスマナー講習を受け、その日に実際に電話応対のロールプレイや名刺交換の演習も受けて理解しているにも関わらず、そのことがいかに「身についていない」かを体験するようなコンテンツを用意しました。

この際の業務指示は「インバスケット」を参考にし、時間内に全てが終わるか終わらないか、というボリュームの作業を与えます。

実際に電話をかけてみる、という演習も入れますし、業務指示を受けたときに内容や納期等の確認ができているか?というものを入れています。

倉庫からオレンジのボールを3つ持ってきて
もし紫のボールがあったら5つ持ってきて

プログラマには有名なジョークですね。これを復唱し、「紫があったら紫を5つですか?オレンジを5つですか?」と確認するか、また、オレンジのボールが3つなかったら、紫が5つなかったらどうするか(問題発生として報告をしてくれるのか)というテストを入れたりしました。(単なる意地悪ではありますが...)

今までの課題とこれから

今までの課題は、「ワーク形式の研修でその時身についたように見えるが、実際には数時間後に使えなくなっている(忘れている)」ということにあるのではないかと考えていたので、とにかく重要なことを反復して伝え、繰り返し実践することで身についていく、そんな研修を実施することで、研修効果としては カークパトリック4段階評価モデル のレベル3を徹底していく、ということが、特に基礎固めの段階では必要なのではと思います。
※ このモデルは今は古いと言われていますが

(画像は http://www.kensyu1.com/order/action.html より)

研修への関わり方

ここで研修当日に関わる講師が注意する姿勢は2点あると考えました。

1. ファシリテーターはパーソナルトレーナーのように

10人を超えない少人数を対象とした研修なので、日々状況に応じてメニュー(その日何をするか、よりも何を伝えるか)を柔軟に変更し、彼らにとってのストレッチとなるギリギリの負荷のトレーニングをする。また、日々彼らに目標を問いかけて、トレーニングが目標につながるようにする。どこを目指すかを自分で決める習慣をつける。

これは筋トレと全く同じで、トレーニーをモチベート・エナジャイズしつつ、即時フィードバックを与える。正しい部位に効かせられるようにフォームを修正し、追い込む。(食事など)トレーニング以外もフォローする。

研修のファシリテーターは、本人の成長をサポートするために、パーソナルトレーナーのように寄り添うものなのかもしれないです。

2. 白魔道士のように回復を

今までは、「怪我をしない、死なない安全な環境で失敗させる」ことを意識してきました。ところが、「身につく研修」を考えるにあたっては、「多少の痛みを伴う感覚とともに記憶する」ほうが良さそう、という考えに変わってきています。痛くて血が出て初めてわかる、ということが「転ぶ」という行為には必要な気がします。
※ 記憶に感情が関わることが大事なのであって、痛みに限定せず、悔しさ、喜び、というのをバランスよく混ぜるのが良いと思います。

つまり「怪我をさせない」ことが重要なのではなく「仮に怪我をしてもすぐに回復させられる」ことのほうが重要だったのです。したがって「常に回復魔法をかけておきつつ、死なないように負荷を調整する」ことがファシリテーター型講師のあり方なのだろうなと思いました。

以上が今年の新入社員と向き合って見て感じた二週間の出来事です。この経験が自分にとっても更に新しい気づき、次のトライにつながり、新入社員の成長とともに自分自身や会社の成長が生まれれば良いなと思います。

サポートしてくださるような稀有な方にはサポートしてくださった金額分を奢り返したいと思いますw