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資本の生産過程 

商品
マルクスは資本主義的生産社会では社会の富は巨大な商品の集合の形をとると言う。
ここでは商品価値について述べる。
商品価値と言うのは相対的なものである。
ある物と別のある物を比べて、どちらがどれだけの交換比率を持つか、というように考えるものである。
価値とは物と物あるいは物と通貨の交換関係により定義されるスカラー値である。スカラーとは数量である。
物の価値というのには需給バランスによって決まるもので、その依存性において分類ができる。
1.希少価値、基準価値:供給量依存価値
貴金属つまり金、銀のように歴史的に通貨価値の基準にされるべき物質がある。それらは物質の化学的性質が安定したものであり容易に失われることのない価値である。そこらへんに落ちているものではなく希少価値がある。
またレアメタルとも呼ばれる希少金属元素などの物質もなかなか入手し難いものである。供給量が少ないことが特徴である。つまり価値を決定する要因は供給量に依存しやすい。あるいは国家間の戦略的思考の影響を受けやすい物資である。
先端技術に使われる希少物質は戦略物資として扱われる特殊な市場をもつ。
2.使用価値:需要依存価値
一般的に人は欲望を満たすために商行為を行うのであるから、必要性、必需性に応じてその供給能力度合いと均衡する価値が定まってくる。需給バランスで決まる価値である。
こちらは供給量がそこそこ充分であれば、つまり大量生産可能な汎用品や食糧がそれにあたり、その価値は需要の大きさに依存しやすいと言えるだろう。
マルクスの時代には物価値を決める主要な因子はそれを生産するのにどれだけの労働時間を要したかという点が強調されていた。
機械生産技術が進化した現代においては、もちろんその製造物に込められた労働時間が無視できるわけではないものの、その時間的因子ははるかに短縮されているのであろう。
むしろその製造物を為すに費やされたエネルギー量(仕事量)が価値を決める因子であろう。
またより細分化された構造物、例えば精密機械など、微小単位化された製品、さらにはナノテクノロジーを用いた製造等においてはその製造技術の高さの要素も価値の決定因子となるだろう。
現代では職人の名人技術による手工業製品は希少な物となった。
こうした付加価値とも解せる価値もある。
現代においては商品価値はより複雑な因子が組み合わされて決められているようである。
付加価値については第三次産業において商品に乗せられる価値であるから別の項目を設けて述べたい。
現代の独占資本主義においては付加価値が大きな役割を演じている。
しかし、これは架空の価値、贅沢価値、誇大宣伝されたバブルな価値だったりしやすい。
通貨発行量を確定するための担保価値は基本的には実体経済市場における需給で決まる一二次産業生産物の総合価値の反映であるべきなのだろう。
しかし、現代資本主義においては第三次産業における付加価値が大きな顔をしすぎた結果、通貨の過剰発行に繋がって悲劇的結末に向かう話しをしなければならなくなっている。

また価値評価は需要と供給の関係に依存する。
需要が全くなければ無用の物という意味であり、価値を評価できない。
また全く供給されない物であれば、つまり商品が存在しないのであるから市場には登場しないことになる。
需要が大きいほど価値評価は大きくなりやすく、供給が大きいほど価値評価は下がりやすい。
これが市場の基本原理となる。

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