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聖地巡礼へようこそ③! ~よりもい・館林編

地元の歴史を探り郷土資料館を見学しまくる僕が紹介する漫画やアニメ聖地巡礼のスポット。僕なんかがどれだけこれらの町の魅力を紹介できるかわかりませんが、その町の歴史もふまえて描いていきたいと思います!


「よりもい」と館林

今回の聖地巡礼は、僕が最高に好きなアニメの1つ、「宇宙よりも遠い場所」こと「よりもい」の主人公の出身地「館林」(群馬)です。

女子高生が南極に向かう話。元宇宙飛行士の毛利徹さんが「南極は宇宙よりも遠い場所」と発言したことが由来です。
南極の描写もリアリティあふれるのですが、彼女たちの感情と成長をしっかり描いていて。
2018年ニューヨークタイムズ紙「最も優れたテレビ番組」海外部門10作品にも選ばれました。
僕の推しは左から2人目の「小淵沢報瀬(しらせ)」。一番右の「三宅日向」の2人のやりとりが尊くて、いつ観ても号泣しちゃいます。

群馬といっても自分の中では埼玉の延長。
東武伊勢崎線で、東京の北千住から埼玉へ、草加・越谷・春日部、東武動物公園を越えると、久喜にいたり、そこから北埼玉の加須・羽生の先、利根川を越えるとすぐに川俣・茂林寺前・館林だ。

主人公のキマリ(玉木マリ)報瀬(しらせ)結月、そしてもう一人の日向の住んでるのが羽生なので、もはや群馬の館林市と北埼玉は羽生市はどっちもどっちだ。
旧日光街道(以前の記事「街道の町・埼玉」参照)こと国道4号は東武伊勢崎線で、浅草や千住の延長で、ちょっと一時間ほど電車にて、都会の喧騒からガラリと変化する田園地帯をゆっくり楽しめます。
または、湘南新宿ラインであっという間に大宮越えて(宇都宮方面です、高崎やら川越やらに行かないでね!)、あとはゆるゆる久喜から乗り換えるのも良し。

決して、群馬の館林は、いわゆる「秘境・グンマ」と揶揄されるような、奥地ではありません。

茂林寺前

館林のシンボルはたぬきです。
館林駅手前の茂林寺前を降りれば、分福茶釜のゆかりの寺の茂林寺の参道へ。
ここもよりもいの舞台であり、たぬきな感じも楽しめます。

アイドルの結月が茂林寺に降り立ちます。館林は日本最高気温の埼玉県・熊谷市の先。猛暑では40度も達成するとか。結月が初登場、「軽く死ねますね!」が初めて炸裂したシーンです。
ぶんちゃ♪ぶんちゃ♪
駅からたぬきがお出迎え!
たくさんのたぬきたちが、「いらっしゃいませ」してますね!
はいはい、「あほ面」とかいわな~い。
高橋めぐみこと「めぐっちゃん」。キマリの幼馴染だけど、友情がこじれちゃいます。めぐっちゃんのこじれっぷりと自立も尊い…。ひたすらただ尊いアニメです。
憩いと癒しの場、茂林寺!たぬきに囲まれぼんやりベンチに座る飲み物も格別!
館林市も、茂林寺様も、よりもいを推してます!
名作ですし、アニメ聖地の代表でもあります。
格式に伝統あるお寺様。分福茶釜とともに、よりもいも語り継いでほしいですね。

館林城跡のつつじヶ丘公園へ

茂林寺からテクテク小一時間散歩しても良いでしょうし、電車で一駅楽しむのも。のどかな自然、北埼玉と群馬の町並み、歩くのも癒されますね。

さて、ここがよりもいと館林市の中心地。
館林城跡でもあり、沼地や湖の景色も良い、「つつじヶ丘公園」です。

「日本の歴史公園100選」の1つでもあり、群馬県民の聖書(?)上毛かるたでも「花山公園 つつじの名所」と紹介されている。
一話、ここで、キマリと報瀬が南極に行く作戦会議。
正直、南極に行くきっかけは御都合主義を感じたが、それでも圧倒的な物語と彼女たちのドラマ。
南極に興味引かれますし、ドリアンショーの回はエモかった…
終盤はもう涙ドバドバで。報瀬が母へ送ったメールもやばかったですが、やっぱ報せと日向の回がお気に入りですね。
興味なかった南極ですが、立川の南極北極科学館(国立極地研究所)もいまや行きたい場所のひとつ。
立川の南極北極科学館。
キングペンギン(王様ペンギン)に大興奮の報瀬。
1話にて、高校生活に行き詰まりを感じるキマリと、南極観測隊員で行方不明(死去)となった母を追いスーパーのバイトで100万円を稼ぎ南極を目指す強い意志のポンコツ少女・報瀬が出会う。
「じゃあ、一緒に行く?」
よどんだ水が決壊し一気に流れ出た思いを持ったキマリ。
「ナンキョク」と仇名され変人扱いされていた報瀬に、天真爛漫だが自堕落なキマリがついに広島の呉の南極観測船「しらせ」の見学に参加する決意をする。
そこで本当に来たキマリを見た報瀬の「ニヤリ顔」がとてもかわいい。
美術も美しいが、この表情、感情芝居。
一話の話の構成「挫折と出会い、そして決意」も秀逸で心掴まれました。
野生のたぬきはいませんでしたが、ねこちゃんと出会い、スリスリされるも、別れてきた。
つつじヶ丘公園にある「ふれあいセンター」は、よりもいの重要な聖地です。
もう終わったアニメなのに、館林市はいまだ全面に推す。ぜひ、万人に観てほしいし、道徳の教材でも良いと思う。
人生は行き詰まるものだし、大きな挑戦は挫折もふくめ人生を変えるし、仲間は尊いものだ。
目が焼けそう。「軽く死ねますね♪」(by結月)
宇宙飛行士の向井千秋さんの出身地でもあるので、向井千秋記念子ども科学館も。
宇宙に、南極に、たぬきに。
近代の文豪、田山花袋の出身でもある。代表作の「田舎教師」はとなりの羽生市が舞台で、羽生市郷土資料館にくわしい展示が。
旧上毛モスリン事務所は、館林第二資料館に。
モスリンとは、薄手の毛織物。
絹の町・群馬にある館林の主要産業は、モスリンと館林製粉は、のち初代日清製粉と合弁、日本の製粉業の代表格に。
製粉がさかんな館林はうどんも名物。
老舗の「花山うどん」は銀座や日本橋にも支店を持ち、特に「鬼ひもかわ」は大人気!

歴史の町、館林

さて、そんな館林の繁栄の基礎は、中世の館林城と江戸からの街道である。

もともと数万年前からの遺跡も見つかり、自動車(スバル)の町の太田市やブラジル人の町大泉町(治安も問題らしいが)に岩倉町などとともに邑楽(おうら)郡として東山道の支路が通る、藤原京に平城京に平安京にも木簡やら延喜式やらに記録のある群馬南部の主要都市だ。
中世には佐貫(さぬき)氏(館林のシンボルたぬきとは関係ない)の荘園であり、佐貫氏は鎌倉幕府の御家人として活躍。のち後醍醐天皇と楠木正成と戦い足利尊氏に従う。
館林は茨城の西の古河にも近く、室町時代は古河公方の支配下、やがて上杉謙信に支配される。(わけわかんないね、やはり中世は混沌!)

群馬の細長い手の先が館林市。実はすぐ北は栃木なのだ。
ちなみに今回二度目の館林市は加須市に行ってきたついでだが、ここには栃木と埼玉と群馬の境目がある。いつかこの加須についても「街道の町・埼玉」にて描いていきたい。

さてここからが、館林市の今の繁栄につながる。
徳川家康の関東入府。そのとき北のおさえで徳川四天王の一人、榊原康政が館林城を与えられる。
康政没後、孫の忠次が、家康の遺体を日光東照宮へ改装するときに、のちの日光脇往還の基礎となる館林を通る。(駿府→箱根と小田原→中原こと平塚で北上→府中→川越の仙波→行田→館林→左野→鹿沼→日光が家康の遺体のルート)

やがて、家康が甲斐の武田家(信玄)滅亡後に召し抱えた家臣達を、甲斐(山梨)地方と関東の監視の要である八王子城下にいた「八王子同心」が、日光東照宮の火災などの管理の仕事をもつようになった。
その八王子と館林と日光を結ぶのが日光脇往還。のちの国道4号こと日光街道(日本橋→浅草→北千住→草加→越谷→春日部→幸手→古河→小山→宇都宮→今市→日光)のバイパス道路としても発達する。

日光脇往還の存在を知り、僕は混乱。
日光街道のバイパスは、中山道から本郷で分かれた、岩淵(東京北区)→川口(荒川越えて埼玉へ)→鳩ヶ谷→岩槻→幸手で中山道と合流する「日光御成道」という将軍の参拝用の街道しか知らなかった(以前の記事「街道の町・埼玉」にて)。
そしてもう一つ驚いたのが、我が近所の「入間付近」を通ること。
実は、我が入間と館林はつながっていたのだ。

日光脇往還は、八王子→拝島→箱根ヶ崎(東京都瑞穂町は入間と飯能の南で我が近所)→扇町屋(入間市で我が近所)→高萩(日高市で我が近所)→坂戸→松山(埼玉の東松山市)→吹上(鴻巣市)→忍(行田市)→川俣(群馬・茂林寺前の隣駅・利根川の群馬側の岸)→館林から栃木に入る。
ああ、絹の町の八王子から、旅人が我が入間を通り、館林に行き宿をとる様子がイメージできる。館林は僕たち西武~多摩地域の人々を迎え入れてくれる場所だったのだ。
のち五代将軍・徳川綱吉も将軍やりながら館林城主だった。館林は歴史も奥ゆかしいのだ。
(館林城は綱吉の子の徳松が5歳で死去し廃城へ。のち太田氏や秋元氏などが代官が支配する町へ。)

城跡にある市役所近く、市立図書館と併設する館林市立第一資料館にて。この城のミニチュアのみ撮影可能。

再度、よりもいへ

さて、加須(栗橋から東武日光線で柳生駅で三県境と北川辺博物館に行った)から、あわてて久喜駅に戻り、東武伊勢崎線に乗り換えて入館ぎりぎりに館林市第一資料館へ。閉館5時に出て、すぐ目の前の館林駅までの一本道へ。
ここにもたぬきが!
徒歩15分で館林駅。
駅前たぬき前。
結月が宿泊したグランドホテル。この物語は結月が友情を知る物語でもあります。
やむを得ず高校に行かなかった日向が働いていたコンビニ。
日向の過去との決別に、なぜか感涙でした…
コンビニのバックヤードがリアルだな。コンビニバイトの経験はないが。
opのこの谷越ビルは、向井千秋さんの実家あたりだとか。残念ながら解体されてしまい。
町の更新は、やむを得ないといっても悲しいものです。
館林駅に戻る。
館林の描写は前半だけであとは南極ばかりですが、さすがに南極まで聖地巡礼できませんので。
駅舎内にて、よりもいの幟がおでむかえ。駅近くの観光案内所にグッズもあるそうですが、閉まってまして。
うどんとよりもい、たぬきと歴史と宇宙の町へようこそ!

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