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【 #慰霊の日 に考える】沖縄の基地問題を取り巻くわたしたちの「民意」について

皆さん、こんにちは!社会問題と向き合う人のクラウドファンディング GoodMorning(CAMPFIREのグループ会社)ファンドレイジングプランナーのてっちゃんです。現在、沖縄に生きるすべての子どもたちが誰一人として見過ごされず、包摂される社会を実現するために、仲間と一緒に沖縄での事業の立ち上げに向けて、準備を進めています。

本日、6月23日は「慰霊の日」です。慰霊の日とは、1945年6月23日に、沖縄県民の4人に1人が命を落とした、沖縄戦の組織的戦闘が終結したことにちなんで、沖縄県が制定している記念日で、沖縄戦で亡くなった20万人の戦没者に祈りを捧げる日です。

今回は、県議選直後に工事が再開された、沖縄の基地問題を取り巻く「民意」について考えていきたいと思います。まだまだ勉強中なので、未熟な文章かもしれませんが、沖縄の基地問題と、わたしたちが手を取り合って生きる平和な世界に思いを馳せる、きっかけになれば幸いです。

1. 普天間基地の移設問題

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沖縄県の総面積は2,281.00㎢で47都道府県のうち4番目に小さな県で、日本の総面積に対する割合は約0.6%です。このような小さな地域に、日本の米軍専用施設の多くが集中しています。現在、日本国内の在日米軍専用施設の全体に占める割合の約70.4%が沖縄に集中しており、沖縄の面積の約10%が米軍専用施設になります。

そして、現在問題になっている普天間基地の移設先として「辺野古」が浮上したのは、僕が生まれた年でもある1996年のことでした。1995年の米兵少女暴行事件や事故・騒音問題により、県内の基地反対運動が高まり、1996年に普天間基地の移設が「代わりの基地を沖縄県内に建設する」という条件付きで合意されました。

普天間基地の移設をめぐる問題は、ここからはじまりました。2009年の総選挙で普天間基地の移設を「最低でも県外」とアピールした鳩山政権が誕生し、県外移転への期待も高まっていましたが、翌年の2010年に断念しました。

その後、2014年に基地反対派の翁長雄志氏が沖縄県知事に当選し、辺野古沿岸の埋め立て承認を「撤回」するなど尽力されてきましたが、現在に至るまで辺野古基地への移設が完全に廃止されることはありませんでした。

2. 住民投票で示された「民意」

2019年2月24日に、辺野古の在日米軍専用施設の建設に必要な埋め立ての賛否を問う県民投票が行われました。その結果、埋め立てに「反対」の得票が40万票で上回り、投票総数の7割を超える結果となりました。ここで、新基地建設反対の「民意」が明確に示されたかと思いました。

しかし、住民投票は法的な拘束力を持たないため、日本政府は「今回の県民投票の結果を真摯に受け止める」としつつも、「日米が普天間基地の全面返還に合意してから20年以上、実現されていない。これ以上先送りすることはできない。これまでも長年にわたって県民と対話を重ねてきたが、これからもご理解をいただけるよう全力で県民との対話を続けていきたい」とし、住民投票で7割を超える県民が反対した、辺野古基地の工事を再開させました。

3. 県議選で示された「民意」

先日、行われた県議選で、県政最大の課題である辺野古新基地建設への対応について、沖縄タイムスのアンケート結果から得票数をみると「反対」と答えた候補者が24万550票を集め、全体の59.6%となり、過半数を超える結果となりました。

ここでも、反対派が過半数を超えたため、新基地建設に対する「民意」が明確に示されたかと思いきや、県議選で自民党の議席が伸びたことから、菅官房長官は会見で「地元でかなり理解が進んでいるのではないかと思う」と発言しています。そして、県議選の直後に、コロナウイルスの影響で中止していた辺野古基地の工事は、何事もなかったように再び再開されました。

4. 「無知」より先に「無視」が存在する

沖縄で起こっていることは政治ではない。論争の舞台から沖縄は溢れ落ちてしまっているし、このことに違和感を持つ感性は共有のものではない。沖縄に限らないが、不平等は無視されている。「無知」である前に「無視」がある。淡々と遂行される抑圧を社会の中で公現させていくべきだと強く思う。
(沖縄出身の友人より)

先日、Twitterで500万件を超える「#検察庁法改正案に抗議します」の抗議が集まった検察庁法改正案について、安倍首相は「国民の理解なしに進められない」とし、検察庁法改正案は一旦廃止となりました。

それに対して、住民投票で7割以上の県民が「反対」の意思表示をした辺野古基地の建設は、一向に廃止されることはありません。国民・県民の理解なしに、2兆5千億円の予算で、現在も工事が進められています

「民意」とは一体何だろうか?そう考えざるを得ません。民主主義とは、国民・県民の「民意」が具現化された政治が、当たり前のように行われるための仕組みであるはずにも関わらず、僕にはどうしても、沖縄県民の「民意」が蔑ろにされているようにしか思えません。

長年にわたり抑圧されてきた沖縄県は、今もなおその渦中にあると思います。大切なことは、この問題を「沖縄の問題」ではなく「日本の問題」として、一人ひとりが関心を持ち、考え、自分なりの方法で声をあげ、「民意」を示すことだと思います。だからこそ、僕はまだまだ勉強中なので拙い文章かと思いますが、noteを執筆することにしました。

キング牧師の言葉を借りると「最大の悲劇は、悪人の暴力ではなく、善人の沈黙」だと思いますので、拙くても、未熟でも、まずは自分なりの方法で、この違和感や不正義に対して、明確に声をあげることが重要だと思います。僕もまだまだ勉強中なので、皆さんとぜひ一緒に学んでいきたいと思います。

さいごに、浦添市立港川中学校の当時3年生の相良倫子さんの平和の詩「生きる」をご紹介します。本日、6月23日は「慰霊の日」。今日この日が、沖縄の基地問題と、わたしたちが手を取り合って生きる平和な世界に思いを馳せる、きっかけとなれば幸いです。

「生きる」

私は、生きている。

マントルの熱を伝える大地を踏みしめ、
心地よい湿気を孕んだ風を全身に受け、
草の匂いを鼻孔に感じ、
遠くから聞こえてくる潮騒に耳を傾けて。
私は今、生きている。

私の生きるこの島は、
何と美しい島だろう。

青く輝く海、
岩に打ち寄せしぶきを上げて光る波、
山羊の嘶き、
小川のせせらぎ、
畑に続く小道、
萌え出づる山の緑、
優しい三線の響き、
照りつける太陽の光。
私はなんと美しい島に、
生まれ育ったのだろう。

ありったけの私の感覚器で、感受性で、島を感じる。
心がじわりと熱くなる。

私はこの瞬間を、生きている。
この瞬間の素晴らしさが
この瞬間の愛おしさが
今と言う安らぎとなり
私の中に広がりゆく。

たまらなく込み上げるこの気持ちを
どう表現しよう。

大切な今よ
かけがえのない今よ
私の生きる、この今よ。

七十三年前、
私の愛する島が、死の島と化したあの日。
小鳥のさえずりは、恐怖の悲鳴と変わった。

優しく響く三線は、爆撃の轟に消えた。
青く広がる大空は、鉄の雨に見えなくなった。
草の匂いは死臭で濁り、
光り輝いていた海の水面は、
戦艦で埋め尽くされた。
火炎放射器から吹き出す炎、幼子の泣き声、
燃え尽くされた民家、火薬の匂い。
着弾に揺れる大地。血に染まった海。
魑魅魍魎の如く、姿を変えた人々。
阿鼻叫喚の壮絶な戦の記憶。

みんな、生きていたのだ。
私と何も変わらない、
懸命に生きる命だったのだ。
彼らの人生を、それぞれの未来を。
疑うことなく、思い描いていたんだ。
家族がいて、仲間がいて、恋人がいた。
仕事があった。生きがいがあった。
日々の小さな幸せを喜んだ。
手を取り合って生きてきた、私と同じ、人間だった。

それなのに。壊されて、奪われた。
生きた時代が違う。ただ、それだけで。
無辜の命を。あたり前に生きていた、あの日々を。
摩文仁の丘。眼下に広がる穏やかな海。
悲しくて、忘れることのできない、この島の全て。

私は手を強く握り、誓う。
奪われた命に想いを馳せて、
心から、誓う。

私が生きている限り、
こんなにもたくさんの命を犠牲にした戦争を、
絶対に許さないことを。
もう二度と過去を未来にしないこと。
全ての人間が、国境を越え、人種を越え、
宗教を超え、あらゆる利害を越えて、
平和である世界を目指すこと。
生きる事、命を大切にできることを、
誰からも侵されない世界を創ること。
平和を創造する努力を、厭わないことを。

あなたも、感じるだろう。
この島の美しさを。
あなたも、知っているだろう。
この島の悲しみを。

そして、あなたも、
私と同じこの瞬間(とき)を
一緒に生きているのだ。
今を一緒に、生きているのだ。

だから、きっとわかるはずなんだ。
戦争の無意味さを。本当の平和を。
頭じゃなくて、その心で。
戦力という愚かな力を持つことで、
得られる平和など、本当は無いことを。

平和とは、あたり前に生きること。
その命を精一杯輝かせて生きることだということを。

私は、今を生きている。
みんなと一緒に。
そして、これからも生きていく。
一日一日を大切に。
平和を想って。平和を祈って。
なぜなら、未来は、
この瞬間の延長線上にあるからだ。
つまり、未来は、今なんだ。

大好きな、私の島。
誇り高き、みんなの島。
そして、この島に生きる、すべての命。
私と共に今を生きる、私の友。私の家族。
これからも、共に生きてゆこう。

この青に囲まれた美しい故郷から。
真の平和を発進しよう。
一人一人が立ち上がって、
みんなで未来を歩んでいこう。

摩文仁の丘の風に吹かれ、
私の命が鳴っている。
過去と現在、未来の共鳴。
鎮魂歌よ届け。悲しみの過去に。
命よ響け。生きゆく未来に。
私は今を、生きていく。

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