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熱々のスープ、たっぷりの野菜と麺に立ち向かうタンメン「トナリ」。

 サラリーマンにとって1日の最大の楽しみであり、重要課題なのが昼食。「昨日は何を食べたっけな」などと思いながら、あちらこちらで行列を作っている昼のオフィス街を歩いていると、結局「今日はラーメンかな」と、お気に入りのお店に落ち着く熱烈なラーメンファンは多いことだろう。

 しかしこのラーメン、困ったことに食べるたびにいささかの罪悪感がつきまとう。官能的なコシのある麺は今や抜くことが正義のように言われる炭水化物だし、最初の一口たるや黄金の液体のように感じるスープには、塩分と脂がふんだんに投入されている。これを連チャンで食べることは罪を犯すようなもので、「うん、でも久しぶりだし」とかいう定義も曖昧な免罪符を無理やり繰り出しては、自分に言い訳をしながら食べるのだ。

 しかしここに、そんな罪の意識を軽くしてくれるラーメンが存在する。このラーメン好きの救世主こそがタンメンである。

 このタンメン、厳密に言えばラーメンではないという。その定義は「鶏ガラを主とする塩味のスープに太めの麺、そしてモヤシ、キャベツ、ニラ、キクラゲ、ニンジン、タマネギ、豚肉などを炒めたものを乗せて食べる麺料理」。そこにはラーメン好きがラーメンだと思って食べても支障がないくらい、明確な違いは見つからない。何より魅力的なのは、その定義を語るときに出てくるたくさんの野菜たち。現代人が十分な量を摂っていないと言われ、幼少の頃より食べろ食べろと言われてきた野菜を大量に食べることができるのは、きっと健康的に違いないのだ。

 タンメンを食べる正当性をしっかり確保できたところで、東京・東陽町である。このオフィス街では座席数12席という小さいお店が、燦然と輝くような存在感を放つ。そのお店こそ「東京タンメン トナリ東陽町本店」だ。

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 太めの平打ちちぢれ麺が、白濁した塩味の熱々スープをしっかりを絡め、そのなめらかな食感は「今私は大量の麺を食べている」という充足感を演出。厚生労働省が推奨する成人1日あたりの野菜摂取量350グラムを超える360グラムの野菜は、ぷりぷりであったりシャッキリであったり、それぞれの食感を残した絶妙な炒め具合。「この肉野菜炒めだけで白飯が何杯食えることか」と喜びにうち震えながら、「でもこの熱々の麺との相性も絶対に捨てられない」などと、誰に問われたわけでもない難問に苦闘する数分間である。

 タンメンだけではなくサイドメニューもいただきたいという欲張りさんには、これもなかなか本格派の餃子と唐揚げがスタンバイ。「タンギョウ」、「タンカラ」、はたまた「タンカラギョウ」? お腹の空き具合と相談して、食べたあとの満腹感に打ち勝てるのなら、これらのセットメニューもおすすめだ。


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