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スロウハイツの神様

辻村深月さんの「スロウハイツの神様」上下巻読み終わりました。

もともと本屋さん大賞の「鏡の孤城」という本が非常に自分のツボにはまったため、この作家さんが書く本をもっと読みたいと思って購入した本で、なかなかに読みごたえのあるものでした。

辻村さんの本を読んで思うのは(まだ二作品しか読んでいませんが)、その伏線回収の見事さです。物語の中にちりばめられた伏線たちは一瞬気にはなるのですが、非常にさりげないためにあまり不思議に思わず読んでいるうちに徐々に記憶の奥のほうに行ってしまいますが、その伏線が物語の終盤に連鎖的にスルスルと回収されていくのは読んでいると本当に脳内で快楽物質がドパドパ出ているのではないかと思うほど気持ちがよくて癖になります。あーそうゆうことだったのか!の連鎖反応です。
この本のそういった伏線の紐解きとなる最後のシーンでは、彼(ネタバレになるので誰かは書きませんが)の思い人への不器用さと尊さに目が潤みました。奥ゆかしく生きたいものですね。ほんとに。

スロウハイツの神様では小説家、脚本家などさまざまな創作活動を行っている人々が住むアパート「スロウハイツ」で起こる出来事が書かれているのですが、一場面ごとの登場人物の心理描写が詳しく書かれており、小説の中に入り込むことができて面白かったです。
僕は自分が何か別の人間になった気分になれるので、登場人物からの視点で書かれているものや心理描写が細かいものが好きなのですが、この本はそれにばっちり当てはまる本でした。
思えば僕が本という媒体を魅力的に感じるのはそうして自分が他の何者かになることができるからなのかもしれません。

何かを本当に気持ちを込めて創作したことのある人は読むと良い刺激をもらえると思います。
今年の3月にはちょうど舞台もやるみたいなので気になる方は是非!

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