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ヒューマンライブラリーに本役で参加して思うこと。

人生談を貸し出す「ヒューマンライブラリー」

ヒューマンライブラリーって知っていますか?
直訳で察する通り「人を本に見立てて貸し出す図書館」です。
もともとは障害を持つ方や人種的マイノリティの方への理解を深め多様性を受け入れることを目指し、2000年にデンマークのロックフェス内の企画のひとつではじまった活動です。

先日、縁がありヒューマンライブラリーに本役で参加しました。

通常のヒューマンライブラリーでは本役は社会的マイノリティであることが多いのですが、私が参加したものは高校生の進路指導の一環で、本役は「私の人生の選択」をテーマにした人生観を話し、読書役の高校生に進路や生き方のきっかけとなる機会をつくるという授業でした。

今回関わったヒューマンライブラリーは「高校生の進路」という側面が主題だったので、本来の主旨ではないところで考えさせられるところもありましたが、ヒューマンライブラリー、とても興味深い取り組みと構造だと思います。

​本役・司書役・読書役で得られるもの

ヒューマンライブラリーには本役、司書役、読者役がいて、まさに図書館の構造です。
事前にあらすじがかかれた本リストを作成し、読者は自由に本を選択する。
読書時間は約30分、本役1人に対して1〜5人程度の小グループで本役のストーリーを聞き対話する。そして「生きた本」のストーリーは、生きにくさを含む内面の自己開示であること。

私の解釈ですが、司書役は場の設定の全てを通じたことが学びに、読書役は強烈な追体験を、本役は自己開示を通した自己と他との対話をする。

それぞれの役で他ではできない体験になりますが、実際に参加して感じたのは、特に本役にとって貴重な経験であること。
自分自身の言葉で自分を整理し、いかに伝えられるか思考し、表現する。深い内省の場であり、何かを伝えたい何者かでありたいという自己顕示欲を内包したものであり、読者役との対話と自己開示を通して発見する。

人によって参加で得られることは異なると思いますが、ヒューマンライブラリーという取り組みがあることをぜひ知ってほしいと思いました。

自分でも企画してみたいし、今度は読書役で参加してみたい。
自分のまわりだけを見渡しても多様な人がたくさんいるし、歴史と魅力を感じます。
多様性ってすばらしいんです。

自己開示なのか、自己偏愛なのか

余談をふたつばかり。

今回の高校生への進路指導で感じたこと。
キャリアが特殊であればあるほど再現性はなく、他人の人生から自分の人生に活きる何かを切り出して見つけるっていうのは、難しいことだな、と。これは年齢に関わらず、劇的な人生談を聞いてもふーんすごいねで終わってしまう。
子供には感受性が豊かな人間になってほしいし、自分の感受性についても考えさせられています。


最後にひとりごと。
自己開示と似ているようで非なるものですが、ここ数年で耳にすることが多くなった自己肯定感とか心理的安全性とか、実は私は大っきらいな言葉たちでして。
今となっては人それぞれが解釈したいように解釈し使いたいように使う。ともすれば自己解釈の押し付けあいで、他人のそれとは共存できなかったりで、もう何がなにやらじゃんと思うときがあります。

事象を否定しているわけではなく符号の危うさのことを言っているわけで、一応エクスキューズ。

ただ人を愛し、自分を愛し、住む土地を愛し、文化を愛し、地球を愛し、悩み、もがき、死ぬまで生きる。
そんな感じで生きたいものです。

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