逆さまの木

「逆さまの木」のイメージが、
ずっと昔から私の中にあって、こうして時々、絵になって出てくる。
天に根を生やし、地に枝葉を伸ばす逆さまの木。

友達が私の絵の画角の外を描いた。

一瞬、言葉を失うような世界がそこに生まれていて、「すごいねえ」と私は言った。
度肝を抜かれると言葉が陳腐になる

私たちはパタパタと音を立てて無限に広がる世界をそこに見てクラクラと高揚し、
同時にシューッと収縮した一点に自分がいるような静寂を感じた。


逆さまの木、天に伸びた根はフクロウとオオカミのスピリットになってた。
私たちは逆さまの木に包まれて踊る小さな者のようでいて、実は本当はフクロウとオオカミなのかもしれない。

あるいは、

その絵が現れるひとつのキャンバス。

この原画は昨年描いたもので、そのときの私はもういない。
少しそのことを悲しく思っていたんだけど
彼が絵を広げてくれたから
そのことを悲しく思っている私も、
もう何処にもいない。
それがとてもうれしい。

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