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『MOURNING into DANCING』 #9

"Thou hast turned for me my mourning into dancing" Psalm 30:11

「あなたは私のために、嘆きを踊りに変えてくださいました。」詩篇30:11

不慮の事故により、両足切断も免れないというほどの重症を負う。先の見えない日々、血の滲むようなリハビリ生活、しかしその中で受け取った多くの励ましと愛が障害を乗り越える力となっていく。福原タカヨシの手記。毎週金曜日更新。


第9話 「あきらめない」


2015年9月、壮絶な事故から間もなく半年が過ぎようとしていた。相変わらず病院と整形外科を往復する地道な毎日だったが、確かな目標が僕を奮い立たせた。退院直後は、松葉杖やストックを使用しても数百メートル歩けば立ち止まってしまっていたが、リハビリとウォーキングの成果が徐々にあらわれ、この頃には2キロ以上歩行出来るようになっていた。しっかり栄養を摂り、運動をする。毎日が輝いていた。身体障害者という点を除けば、自分は心身ともにすこぶる健康体であると自負していた。

事故から半年が経った9月の末、僕は夏休み休暇をとり、妻の故郷で過ごしていた。半年前には想像も出来なかったことだった。ずっと走り続けてきた自分へのご褒美となった。そして、何よりも元気になった自分の姿を義父母に見せることが出来たことが嬉しかった。

それでも心の半分は、どこか焦るような落ち着かない気持ちでいた。それがなぜなのか、僕には分かっていた。家族団らんの最中、時間を見つけて馴染みの楽器店のスタジオを予約し、猛然と歌の練習をした。実はこの半年で衰えたのは体力だけでなかった。シンガーにとって最も重要な喉が、すっかりしおれていたのだった。事故直後、小坂忠さんが僕に用意してくれた復活コンサート。その約束の日はもう目前に迫っていた。


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