2-7 「みんなが幸せ」を考える

またアダムは

“しかしホーニックは、人から受けとることより、人が何を必要としているかを気づかう。みずからの価値観に従って生きながら、ベンチャーキャピタリストとして大きな成功を収め、その寛大さには誰もが敬意を払っている。
関係者全員が得をすべきだ」とホーニックは考える。「誰もが取引したり、人間関係を築けたりする環境が欲しいのです。僕は自分が住みたいと思う世界をつくっているんです。」
彼の経験は、仕事においてギバーであることはリスクもあるが、その代わりに大きな利益ももたらしてくれるのだとはっきりと教えてくれている。”p.059

 と述べている。

また他にも、

“価値を交換するのではなく、リフキンはひたすら価値を「増やす」ことを目指している。彼はシンプルなルールにもとづいて、人の役に立とうとする。それが「五分間の親切」だ。
初対面の人に会うたびに、リフキンは相手にいくつか質問して、「五分間の親切」を実行するチャンスを探す。いまどんな仕事にとり組んでいるのか。何か困っていることはないか。意見やアドバイス、誰か紹介してほしい人はないか。
リフキンは助けた人たちのうち何人が自分にお返しをしてくへるだろうか、とは考えない。
テイカーは、自分を偉く見せて、有力者にとり入るためにネットワークを広げ、一方マッチャーは、人に親切にしてもらうためにネットワークを広げる。それに対しリフキンは、「与えられるチャンス」を生み出すためにネットワークを広げているのだ。”p.105
“恩を感じると、人はその恩を他の誰かに「送る」ようになる。これはつまり、気前よく自分の時間や専門知識を分け与えるたびに、リフキンは自分のネットワークの人びとにギバーとして行動していくよう背中を押しているということなのだ。
この「恩送り(Pay forward)」と呼ばれる行為は、感謝の気持ちに対する自然な反応であり、そこには、人助けをごく当たりまえのものにしたいという願いが込められている。リフキンが人に助けを求めるときは、たいていほかの誰かを助けるためである。リフキンの広大なネットワークにいる人びとが、価値を交換するのではなく、価値を増やそうとするようになるのはこのためだ。価値を増やすことで、リフキンは与えることを、一方が得をすれば他方が損をする「ゼロサムゲーム」から、双方が得をする「ウィン・ウィン」に変えている。
ネットワークにワークを築くと、決まった大きさのパイ(総額)からできるだけ多くの利益を自分のために奪おうとする。だが、リフキンのようなギバーがネットワークを築くと、パイそのものを大きくするので、誰もが大きめのひと切れをもらえる。
最新の研究から、リフキンがどのようにして、人に与えようという気にさせるのかが明らかになっている。与えることは、とくにそれが首尾一貫している場合、グループ内のほかの人のギブ・アンド・テイクのやり方をしだいに変えていく。つまり、与えることは「感染」するのだ。”p.106 

とも述べている。

以上の文章からわかることは、組織のメンバーに対して徹底的にgive行動をすることによって全体のパイそのものを大きくすることができるということだ。とにかく組織のなかの価値を増やすことに注力し、組織全体の利益を大きくするのである。そしてその根底にある軸は「メンバー全員の幸せ」を考えるということだ。リーダーはどんな状況になろうとも組織にいるメンバー、そして支えてくれている方々がハッピーになる道を模索し続ける必要がある。なぜならば組織のメンバーのほとんどはリーダーを選べないからだ。だからこそリーダーである人間が全員の幸せを考える姿勢が必要なのだ。そうでなければ組織は限られたパイを奪い合うことしかできなくなる。多くの選手がベンチやベンチ外である大学スポーツにおいてスタメンの選手たちだけがいい思いをするような組織になることがありがちな例だ。この状況は長期的にみてあまり良くない状況である。

最後までありがとうございました!