藤原 樹

大学でサッカーをしていました。 今はアトラエという会社ではたらいています。

藤原 樹

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マガジン

  • 関西学院大学体育会サッカー部の内側

    関学サッカー部の内側で起きていることを、関学サッカー部のみんなに向けて書きます。

  • 大学スポーツの未来

    大学スポーツの課題について考えていきます。

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体育会は今、鎖国状態にある

登校してまずすることは、”朝練”ではなく”朝勉”。休み時間は分からない問題を先生に質問するか数学の問題集を解き進める。午後7時には部活を終え、そこから夜遅くまで塾・予備校で勉強する。そんな高校3年間だった。 自分たちよりも上手で多くの時間を練習に費やしているまわりの高校に勝つためにどうするか? 自分たちの答えは「他の学校よりも勉強する」だった。日々の勉強で培った力をサッカーに生かす。もうこれしか自分たちが違いをみせられるところはなかった。「全ては繋がっている。常にアンテナ

    • いま、チームを良くしたいと考えている大学生の皆さんへ

      「体育会は今、鎖国状態にある」というブログを書いて一年がたった。 外からの学びを相対化して自分やチームと接続させることで、より自分の競技を好きになれたり、自分やチームに誇りを持てたりする。逆に自分の知らなかった無限に広がる外の世界の広さにワクワクすることもある。だから体育会という閉鎖的なコミュニティから一歩飛び出してみよう。 という内容のブログだ。 「ブログを書いてからもう一年がたったのか」と思ったと同時に、結局これからどうしていったら鎖国じゃなくなるんだろうとい

      • 2-13 「他者観点」はマジレスによってでしか育まれない

        どのようにしてメンバーを巻き込んでいくのか。筆者は以下のように述べている。 “「視点のズレ」という。心理的・身体的な興奮状態を経験していないとき、人はそれが自分に与える影響をひどく過小評価するのだ。 たとえば、医者はたいてい患者の感じている痛みを実際より軽く考えるという。自分自身がつらい目にあっているわけではないため、医者には患者のつらさが十分にわからないのだ。”p.148 “「自分は『よいことをしているのだ』となんの疑問も抱かずに信じきっていました。本当はどうすべきかを

        • 2-12 組織を失敗に導く「責任のバイアス」

          また、筆者は本書で相手の努力に対して自分の貢献を高く見積もる「責任のバイアス」について述べている。責任のバイアスとは、相手の努力に対して自分の貢献度合いを高く見積もってしまうことである。 筆者曰くこれはテイカーが犯しやすい誤りで、協力関係が失敗する大きな原因になる。例えば、よくある話でいくと、「みんなのモチベーションが低くて困ってるんです問題」が挙げられる。私はあるキャプテンに「他のメンバーに自分と同じぐらい頑張って欲しい」とモチベーションの低いメンバーをどう巻き込むか試行

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          2-11 4年生からでは遅い「特定人物固有信用」

          特定人物固有信用とは、心理学者のエドウィン・ホランダーが提唱した考え方で、グループのメンバーに積み立てられる、相手に対する信用のことである。筆者は “ギバーとして信用を得ると、ちょっと大胆で挑戦的なアイデアを出しても、まわりに特別に認められてしまう。”p.135 と述べている。これは当然といえば当然である。リーダーの言葉はそれまでの行動が付加価値となって伝わる。つまり、リーダーになったから信頼されようと思っていてもそれまでの行動が信頼させるようなものでなければ話を聞いて

          2-11 4年生からでは遅い「特定人物固有信用」

          2-10 頼ることがもたらすメリット

          筆者は、「頼る」ことについて、以下のように述べている。 “テイカーは、自分がほかの人より優れていて、別格の存在だと考える傾向がある。だから他人に頼りすぎると、守りが甘くなってライバルに潰されてしまうと思っているのだ。”p.130 “ギバーは、頼り合うことが弱さだとは考えない。それよりも、頼り合うことは強さの源であり、多くの人びとのスキルをより大きな利益のために活用する手段だと考えている。”p.130 “これこそ、ギバーの協力の仕方の典型だろう。自分個人の利益よりも、グル

          2-10 頼ることがもたらすメリット

          2-9 自分に矢印を向ける

          また、筆者は “自分の知力にだけ頼った、一見、個人の力が大きい仕事でも、成功するかどうかは自分で理解している以上にほかの人びとの協力にかかっているのだ。”p.125  と述べている。 ジム・コリンズの「ビジョナリー・カンパニー 2 –飛躍の法則」で紹介された「窓と鏡」の法則という考え方に似ている。これは、組織がうまくいっているときは窓の外をみて自分以外の人々の協力によってもたらされたのだと考え、組織がうまくいっていないときは鏡に映る自分をみて行動を改めるという意味で

          2-9 自分に矢印を向ける

          2-8 弱いつながりの力

          しかし、組織の中で何か悩んでいることがあったとしても、どう変えたらうまくいくのか、何から変えていくのがいいのかわからないこともあるだろう。筆者は何か問題を解決するときについて以下のように事実を述べている。 “リフキンの座右の銘の一つは、「私は弱いつながりの強さを信じる」だ。これは、スタンフォード大学の社会学者マーク・グラノヴェッターによる名高い研究「弱い紐帯の強さ」に敬意を表した言葉である。 「強いつながり」とは、親友や同僚といった、周囲の心から信頼する人たちのことをいう。

          2-8 弱いつながりの力

          2-7 「みんなが幸せ」を考える

          またアダムは “しかしホーニックは、人から受けとることより、人が何を必要としているかを気づかう。みずからの価値観に従って生きながら、ベンチャーキャピタリストとして大きな成功を収め、その寛大さには誰もが敬意を払っている。 「関係者全員が得をすべきだ」とホーニックは考える。「誰もが取引したり、人間関係を築けたりする環境が欲しいのです。僕は自分が住みたいと思う世界をつくっているんです。」 彼の経験は、仕事においてギバーであることはリスクもあるが、その代わりに大きな利益ももたらして

          2-7 「みんなが幸せ」を考える

          2-6 テイカー的思考になる前にリーダーとして考えたいこと

          アダム・グラントは以下のようにまとめている。 テイカーが好む価値 ①富(金銭、物質的な財産) ②権力(支配的な地位、他人の支配) ③快楽(人生を楽しむ) ④勝利(他人より勝る) ギバーが好む価値 ①援助(他人の幸福のために働く) ②責任(信頼性) ③社会主義(恵まれない人びとを気づかう) ④同情(他人の必要性に応える) スポーツの世界はtaker思考になりがちな傾向がある。その要因はお山の大将的マインドがそうさせていると考える。 お山の大将的マインドとは、過去を振り返っ

          2-6 テイカー的思考になる前にリーダーとして考えたいこと

          2-5 give行動は長期戦

          また筆者は以下のようにも述べている。 “だがそうはいっても、与えることが望ましい結果を生むかどうかは、その「与え方」にもよるのだ。これは与えることの重要な特徴の一つで、これから本書を読んでいくなかで常に念頭に置いてもらいたいことでもある。人を思いやることが、成功と相容れない場合もあるだろう。一方が得をすれば他方が損をするというゼロサムゲームや、どちらか一方が勝つか負けるかという関係では、与えることが利益をもたらすことはまずない。 しかし、世の中の大半はゼロサムゲームではない

          2-5 give行動は長期戦

          2-4 関学fightersと帝京ラグビー部の事例

          また、関西学院大学体育会アメリカンフットボール部fightersと帝京大学ラグビー部を事例に挙げる。この2チームの共通点は何度も日本一を獲り続けている点である。年度が変わってメンバーが入れ替わったとしても最終的には日本一になれるチームまで仕上げてくるチームだ。 また両チームは雑用を最上級生が行う。これはスポーツの世界においては珍しい。基本的に上下関係を重んじ、下級生が雑用を行うのか通例であるといえる。しかし両チームは「余裕のある人間が雑務をこなすことで、まだ慣れていない下級

          2-4 関学fightersと帝京ラグビー部の事例

          2-3 giverの成功時に起こる特有の現象

          大きな成功を収める人々の4つの共通点冒頭で筆者は、大きな成功を収める人々の4つの共通点を「やる気」「能力」「チャンス」「ギバー」だと分析している。そして、 “ギバー特有の成功法を明らかにして行こうと思う。もちろん、ギバーも、テイカーも、マッチャーも成功することは可能だし、現に成功してもいる。しかしギバーが成功するときには、ギバー特有の現象が起こるのだーーその成功がまわりの人びとに波及していくのである。 テイカーが勝つ場合には、たいていほかの誰かが負ける。調査によれば、成功し

          2-3 giverの成功時に起こる特有の現象

          2-2 楠木建氏によるgiverの解説から読み取る目的設定の重要性

          監訳者の楠木氏によると、 “「自分にとって意義のあることをする」 「自分が楽しめることをする」 この条件が満たされれば、ギバーは他人だけでなく、自分にも「与える」ことができる。自分が認識する「意義」のもとに、他者と自己が一体化するからだ。他者に対する共感と愛着が生まれる。こうなると、ギブはもはや犠牲ではない。何のことはない、真のギバーはギブすることによって他者のみならず、意義に向かって仕事をする自分自身を助けているのである。だから自然とギブするという成り行きだ。”p.0

          2-2 楠木建氏によるgiverの解説から読み取る目的設定の重要性

          2 世の中のたった3種類の人間

          2-1 世の中のたった3種類の人間筆者は世の中には3つのタイプの人間がいるとし、それぞれ ①giver(他者に惜しみなく与える人) ②matcher(損得のバランスをとる人) ③taker(自分の利益を優先する人) としている。この本ではgiverによるgive行動の有効性について述べられている。たったこの3つである。

          2 世の中のたった3種類の人間

          1 はじめに

          ◉1-1  研究動機 大学スポーツの世界は人材の流動が激しい。 基本的に1年で組織内の最年長の4年生が引退し、右も左も分からない新1年生が入部してくる。組織のトップが変わり、新メンバーが入るということは組織内の状況が一変する。 つまり毎年毎年新たなチーム作りから始まり、1年間という短い期間で結果を残さなければならないのだ。これが良くも悪くも大学スポーツの特徴であると考える。 限られた時間で成果が求められる大学スポーツの世界でどうしたら持続的に成長し、勝利を掴むことができるの

          1 はじめに