個人売買について メリット・デメリット
個人売買のことについてちょっと書いておきますね。
バイクを中古や個人売買で購入される方がいらっしゃいます。
理由は様々なようですが、一番は概ね
「なるべくお得にバイクを手に入れたい!」
になるようです。
確かにここ数年で生活用品も含めて自転車も価格が上がっているのは事実。
特に趣味の世界のアイテムは生活の中では絶対必要な物とは言えず、コストをなるべく抑えなくては、となる気持ちもわかります。
そこで思いつくのが中古での購入です。
新品よりも安く購入できる可能性もあり、運が良ければ新古品といえるような製品が格安で手に入ることも稀にあります。
では中古品はどこで手に入るのか?
色々あるのですが、利用されてる事の多い手段としては
・ヤフーオークション
・メルカリ
・ジモティ
・知り合い、お友達経由
・中古を取り扱うショップ
辺りでしょうか。
最初の3つは実際に個人売買で品物を購入されたお客様から聞いたウェブサイトです。
で、どのような方法で買われたとしても、必ず意識していただきたい事
購入元の言っている事、書いてあることを鵜呑みにしない!
安いものには安い理由が必ずある!
コレがとても大事です。
相手を疑えという訳では無いのです。
売り主様の大丈夫という感覚と、購入された方の大丈夫は同じではありません。
キレイという基準も、安全に対する意識も違います。
購入元の方が単純に認識していないトラブルや状況があるかもしれません。
中古バイクの専門店でも、基本的に仕入れた車体に突っ込んだメンテナンスはしません。
せいぜいクリーニングくらいでしょう。
しっかりした中古ショップならば、そもそも買い取る時に状態のチェックを入念に済ませているとは思います。
が、それでも実走行で絶対安心かといえば、確証はありませんが。
そこを踏まえ、最悪購入したモノが使えないかもしれない可能性があるを覚悟してください。
そのぐらいの心構えを持って利用するならば、個人売買も十分利用価値のある手段だと私は思っています。
実はかくいう私もヤフーオークション(ヤフオク)は個人的に利用しています。
私の自転車の性癖で、90年代のバイクが大好きなんです。
まだフレーム形状の規制が緩かった時代で、色々なデザインのバイクがたくさんありました。
雑誌に載っている海外のサイクルショーの写真なんかを見ては憧れていたのを覚えています。
ですが当然今現在は新品で流通しているはずもなく、手に入れるためには個人売買などを利用する他ありません。
ヤフオクにはそういう古いバイクもたまに流通しているため、ちょくちょくチェックしては落札したりしていました。
そこで、そのヤフオクで私が実際に手に入れたバイクを例に、先に書いた覚悟とは何なのかを長々と語りたいと思います。
相変わらず長文なので、よろしければお飲み物でもご用意頂いた上でお読みください。
ある日、ヤフオク巡回していると・・・
相当な昔から気になっていたバイクがヤフオクで売っているのを見つけました!!
それがコレ!
Kestrel 500SC NYTRO 650c
アメリカのブランド ケストレルのカーボンフレームです!!
独創的な発想から生まれたシートチューブのないフレーム!
主にトライアスロン用途での空気抵抗軽減のために生まれたバイクです。
そして価格はなんと
¥28,800!!
私からしたら驚きのお手ごろ価格です。
この写真ではもう落札してますねw
が、しかしその価格にはやはり理由がありました。
書いてあるとおり、カーボンフレームにクラックの疑いありとの記載。
ジャンク扱い、飾り用に、とも書いてありました。
しかもホイールサイズは650c!!
今どきタイヤの種類もホイールそのものも殆ど選択肢が無い規格。
ですが、サイズも私の体格にピッタリだし、フレームセットとしてのパーツは全て揃っているようす。
はい、ここが第一覚悟ポイントとなります。
なにしろ見ることも触ることもできない状態で使えるかどうか怪しい商品を知らない人から買うわけです。
金額にもよるとは思いますが、ホントに買うつもりなら覚悟を決めてください。
私は少し迷って(0.01秒)、購入を決定し入札しました。
あとはオークション終了までドキドキしながら待ちましたw
結果、他の入札はなく、出品価格そのままで落札!
まあ、壊れている古いカーボンフレームに3万円弱の価値を見いだせる人はそうはいないでしょうね!!
出品者様とのやり取りして落札金額と送料の合計をお支払い。
いいお取引をさせていただきました。
あとは到着を待つばかり。
そして到着!!
わ~~~~~~~~~~~~い!
古っるーいwww
中古とは言え、なかなかきれいに見えます。
早速ですが商品説明にもあったクラックの状態をチェックします!!
そしてここが第二覚悟ポイントだと思ってください。
よーくフレームを隅々まで目を凝らして~
・・・・
クラックだらけやないかーい!!
と・・・・
これは・・・
なかなか・・・
ドキドキする・・・
撮影してませんでしたが、ダウンチューブ裏とBB裏にもクラックを疑う塗装のヒビがありました。
満身創痍ですな、このフレーム。
まぁ、こんな形のフレームですし。
シートチューブが無いことによる強度的な心配は発表当時に見たときからありましたから。
何しろ1990年代後半の、相当古いバイクなので仕方ありませんね。
でも、このような状態であることはオークションの出品者様はキチンと書いて頂いてました。
ジャンク品、飾り用とまで記載するほどです。
その上でお金を出して落札したのは私。
憧れのフレームを状態の悪さも含めてほしいと思ったのです。
では私はこのフレームを本当に飾り用として購入した訳ではありません。
組み上げて乗るためです!!!
となれば、次に取る手段は「フレームの状態を正確に確認する」事。
先に上げた写真の通り、フレームの相当な部分にクラックと思われるヒビが見られます。
このヒビが本当に安全に関わるほどのクラックなのか?
それは目で見ただけでは分かりません。
そんな時は専門家へチェック依頼をするのが一番確実!!
カーボンドライジャパン様へ超音波診断の依頼じゃー!!!!
メールで作業の予約をしてからフレームを発送。
そして診断後に頂いた回答は・・・
フレーム損傷ありだったーーーーーーーーー!!
まあ、あれだけクラックっぽいヒビがあれば、当然か~。
が、詳しく情報をみるとカーボンに対するダメージがあったのは1箇所のみ!
カーボンドライジャパン様の超音波診断は希望するとこのような詳細情報を記載したデータを頂くことが可能です(アップチャージあり)。
この情報からみると、シートチューブの裏側部分に強度的に問題のあるクラックがあるようです。
その他はフォークも含めて特に問題なし!!!
よかった・・・ホントによかったぁ~。
あのヒビ全部がクラックだったら、流石の私も諦めて飾りにしていたかもしれない。
ならばこのままキッチリ直して頂くことにしましょう!!
改めてやり取りしてどのような修理になるかの確認、仕上げの指定(カラーリングやロゴの再現等)を決めていきます。
あとは完成までの数週間を気長に待つのみ。
そして仕上がったのがコチラ!!
クラックのあった部分+αの範囲を補強の意味も含めて広くカーボンシートで処理していただきました。
今回は補修部分がよく分かるようにあえてカラーは入れず、クリアー仕上げになっています。
しかもトップチューブとシートステーもカラーを合わせてペイントしてあります!
細かいキズも消えてえらく綺麗になって帰ってきました。
補修が綺麗すぎて元からこういうデザインだったのでは?と思うほど。
大満足の仕上がりとなりました。
そしてとても大事な大事なフレームの補修にかかった費用について。
ここが第三覚悟ポイントです。
ブログの関係上あとになりましたが、本来なら第三覚悟ポイントは見積もりを確認して修理を依頼するかどうかの判断をする時になるかと。
補修費用詳細
フレーム・フォーク 超音波診断 ¥30,000
シートチューブ損傷補修 ¥65,000
塗装 ¥12,000
合計 ¥107,000
※すべて税込み
この金額に往復の送料がプラスされます。
結果的にこの古い骨董品のようなカーボンフレームに、私は合計で14万円ほどの料金を支払ったことになりますね。
※フレームの状態や仕上げによって金額は大きく変わります。
※この金額はあくまでも今回のケストレルの場合、というこです。
ただ、ここまででまだフレームが直っただけです。
これからパーツを揃えて組み立てをしなくては乗ることができません。
さらにその分を含めた金額となると・・・
乗れるかどうかもわからないフレームを買い、それにコレだけの費用をかけてでも乗りたいという強い意志が私のようにあれば、中古のバイクを買う価値はもしかしたらあるかもしれません。
じつは中古で購入されたバイクをお持込み頂く事がよくあるですが、正直酷いモノばかりで購入者に同情してしまうようなものが殆ど。
中には明らかに壊れている事を「こんなもんだよ!」と言われ、押し付けられた方も。
その方も詳しくないだけに「そうか、こんなもんなのか」と思ってしまってそのままお金を払って受け取ってきたそうです。
私から見たら正直ゴミのような状態でしたが。
中古を選ぶ理由は私のように通常流通していない製品を手に入れるため、という場合も多いでしょう。
お知り合いが使っていないバイクを譲ってくれる事もよくあります。
でも注意していただきたいのは
安いからという理由だけで中古を選ぶのは危険!
車のような車検制度もない自転車です。
定期的な点検もされていない、安全であることの保証も何もない自転車に命を預けるリスクを想像してみてください。
特にスポーツバイクについての情報をお持ちでない方が中古の良し悪しを判断する事自体ムリがあります。
通販で新車を買っても安全ではない事があるくらいですし。
※そもそも車の車検も安全を保証するものではありません。
安い中古を買ったら調子が悪く、安全に快適に乗れるようにするためのメンテナンスを実施したら新車買えるくらい費用がかかった!
これではなんだかモヤモヤしてしまうでしょう。
なかには状態の悪さに気が付かず本来の楽しさに気づいて頂けないなんて事もあるかもしれません。
では、ここで中古の製品を選ぶことのメリットとデメリットはなにか?
メリット
・新品の時よりも価格が安い事が多い
・現行で販売していない過去の製品を手に入れることができる
・場合によっては顔を一切あわせること無く商品を購入できる
デメリット
・保証が無い
・購入する物の情報が無いと騙される場合がある
・初期状態が必ずしも万全とは言えない
・安全を担保できない
つまりは自分で尻拭いできるなら、中古製品を購入するメリットはあるかもしれません。
私のようにリスクを承知の上でその対策もしっかり施し、すべてを踏まえたコストに納得出来るならOKでしょう。
逆に言えば、自分でメンテナンスもできない、良し悪しの判断もできないのであれば止めた方がいいでしょう。
ですから、もしどうしても中古の製品を購入する場合、必ず購入後に専門店でのチェックとメンテナンスをしてください。
そうすれば一定以上の安全と快適性を手に入れることが出来るはず。
つまり、中古の購入費用には車体の整備費用も含めた上でご検討頂くことが必要になります。
もしお知り合いで中古を検討されている方がおられましたらこのブログの事をお伝え下さい。
その上でよくよくご検討を。
最終的に大事なのは
費用に対して見合う成果を得られるかどうかです。
ちなみに私のケストレル、めちゃくちゃかっこよく仕上がって超満足してます!!
コンポはSRAM RED!
シートポスト、ホイールもカーボン!
総額は・・・まあ良いじゃないですかw
車もバイクも自転車もどちらかというと古いものに良さを感じる 山本