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京都チーム メンバー紹介(エントリーエッセイ公開)

THE BLUE CAMPに参加する学生たちを、それぞれがエントリー時に提出した自己紹介およびエッセイとともに紹介します。東京チームに続いて京都チーム。高校生2名、調理学校生2名、大学生4名(うち2名水産研究)の8名です。

【質問】
Q1:自身について教えてください
Q2:海の現状を知って、もっと知りたいと思ったこと、やりたいと思ったこと


松井 菜々美 大阪府内高校2年


Q1
私は将来、人の役に立つアプリを作るプログラマーになりたいと思っています。小学4年生の時に社会でゴミについて勉強した時に、ゴミ問題についていろいろ調べました。そしてゴミ分別問題について学べる「ごみすて脱出ゲーム」というアプリを作りました。このアプリはU22プログラミングコンテストで賞を受賞することが出来ました。

また今年の秋に私の高校では修学旅行に和歌山に行きます。大阪から和歌山で近場ですが、和歌山県や農林水産省の方々のご協力により、水産、農業、林業など第一次産業について色々体験する内容でとても楽しみです。修学旅行の事前研修として農林水産省の方に講義をして頂き、食糧自給率について学んだりしています。また、高校内の有志のグループで、稲を種から芽出しをさせて育てていくという挑戦を始めています。もうすぐ高校の敷地の田んぼに苗を植えかえます。そのグループで先日ワークショップをして鯛を捌き、鯛めしを食べるということになり、グループの中で代表して3枚おろしに挑戦しました。臭みをとるために塩を全体にまぶしたり、頭を出汁に使ったり、魚を一匹丸々からおろして食べるという貴重な体験は、私の魚に関する興味が更に増しました。

Q2
小学4年生でゴミの分別のアプリを作った時に海におけるマイクロプラスティックの問題についても知りました。海に流れて漂ったプラスチックゴミは小さく砕け、海中の汚染物質を吸着してそれを餌として魚が食べる。私は食べることがとても大好きなので、せっかく美味しいお魚に毒素が入りこんでしまうことはとてもとても残念だと思います。食べ物に添加物とかが入っていたり、農薬の付着とかは問題になっていたり、気にする人は多いのに魚の安全性についてはそんなに気にする人がいないなと感じます。この問題は防げない病原菌とかでなく、私達人間が努力していけば、少しずつでも良くできる問題なので、もっと世の中が積極的に取り組みべき問題だと思いました。

そこで自分ができることはまずは分別だと思い、ゴミ分別のアプリを作りました。私が住む大阪市では容器包装プラスチックの分別に飲料パックのストローや弁当のスプーンはプラスチックで作られていても対象外とであるいうことも知ったりしました。分別を各自しっかりしていくとともに、プラスチック製のものができるだけリサイクルして行けるシステムができたらいいなと思いました。

また先日、愛媛大学の教授の講義をお聞きする機会があったのですが、私の住む大阪にある大阪湾は関西空港や神戸空港の建設やその他の埋め立ての影響で潮の流れが堰き止められ、プランクトンがいなくなったり、堰き止めている付近では逆に多すぎて魚が育たないそうです。人間の便利のために魚の住む海の環境が変わってしまってとても残念です。空港など建てる時にも騒音など人間の環境の事だけでなく、こういった海の環境なども含めた環境アセスメントについて考えることが今後必要だなと思いました。

先日鯛めしを作って食べた時、鯛を用意して頂いた養殖業の方からもお話を聞くことが機会がありました。養殖なら安全な魚を食べることが可能ですし、養殖業がこれから先の日本の魚の食事には重要な役割を果たすのかなと感じました。けれど、養殖だけでなくやはり海で穫れた魚を安全に食べれる未来があるといいなと思っています。未来に安全な魚料理が存在しているように海における環境問題やそれを改善してくような、何かアクションを私自身がもっと進めていきたいと思っています。最近になって、お寿司やしゃけ以外の魚を食べる機会が増えましたが、もっと日本のおいしい魚について知ったり、料理をする機会を作っていきいと思いました。

前田 未亜 愛知県内高校2年


Q1
私は、鯨類に興味があり、現在、大学の進路を鯨類に関わることのできる仕事に就くことを目標に考えています。しかし、具体的に何の仕事がしたいか決まっておらず、自分の選択の幅を広げたいと思い、今回、申し込みに至りました。

昨年、社会科の課題で「自分の興味のある社会問題について論文を書く」というものがあり、この課題で私は「捕鯨論争が収束する可能性はあるのか」というテーマで論文を書きました。論文の内容は反捕鯨国と捕鯨推進国の考え方の違いや主張を中立的な立場から考察していくというものですが、論文を書くにあたって、鯨類を「水産」という観点から捉えてきました。これまで鯨類を生物学的に見ることが多かった私は、「クジラやイルカに対してこういう考え方もあるんだ」と驚きました。

捕鯨を持続して行っていくためには、国際的な問題の解決はもちろん、環境問題や人手不足の解決など他の水産業とも通ずる点が多くあります。また、捕鯨に関しては、最盛期と比べて、日本における鯨肉の需要の大幅な低下など、私達国民の意識の変化も問題となっています。このような問題とどのようにして向き合い、解決していくのかを考え、実行していくことがこれからの水産業に求められてきていることと思います。

食べること、料理も大好きです。是非、よろしくお願いします。

Q2
「水産」という観点に絞っても、上記以外にも問題点は多くあると思いますが、その中でも特に私が問題視しているのが「生産量の低下」です。これには理由が主に2つあります。

1つ目はこの問題が特に、その他のたくさんの問題が絡み合った結果だと考えたからです。例えば人手不足。漁業に関わる人の高齢化や後継者不足によって起こっていると考えられますが、人手不足が起こると漁に出る回数も次第に減っていくことと思います。この問題を解決するために私が必要だと考えるのは、消費量の増加です。そもそも海産物をあまり食べない人が漁業に関わる仕事に就くことはないと思われます。これだけでも、生産量の低下には多くの問題が関わっていることが垣間見えます。

調べたところ、水産業は世界的に見た場合だと成長し続けいるが、日本における水産業は衰退傾向にあると書かれていました。その主な理由が排他的経済水域の設定が大きく関与しているようですが、海外では成長傾向にある以上、ある程度の解決が可能であると思いました。この考えには私の憶測も多く含まれているので、詳しく問題の原因について知り、解決に向けて動くことができたらいいなと思います。

2つ目は、食生活との関係です。私が小学生の時、地産地消ブームにより、スーパーなどでも大きな文字で「地産地消!」と書かれた広告を見かけたりしました。私はこの「地産地消」が出来なくなると、生産量の低下に大きくつながると考えます。地元での消費が無くなると、その地域で獲れた水産物は輸出や県外での販売に回されます。私は、この消費方法に頼ると水産業的にはとても危ない立場に回されるように思います。少しでも販売先での需要が減ると一気に競争率が上がり、最後には飲み込まれてしまうかもしれないからです。そうすると生産量は大幅に低下すると思われます。

捕鯨を例にすると、アイスランドでは捕獲した鯨は主に日本に輸出されていたのですが、日本での需要が下がったことと、日本のIWCの脱退が重なり、2024年以降には捕鯨を行わないそうです。アイスランドの捕鯨産業も、国内での消費があれば完全に消えることはなかったでしょう(但し、ずっと捕鯨を止めたいと考えていた可能性もあります)。地産地消を続けていくためにも地域の飲食店の協力や、一人一人の意識の改革が必要とされます。そのためにも細かな問題点について理解を深めていきたいです。これらはあくまでも「水産」の中での話です。ここから、海が抱えている他の問題にも広げて考えていきたいです。

山口 太一 立命館大学 2年


Q1
私は小学校1年生の頃に和食の店で食べた小松菜のおひたしに衝撃を受け料理人になることを志願しました。その頃の情熱は今も健在で、大学1回生の夏季休暇から和食のお店へ1ヶ月間インターンへ行きました。またオテルドヨシノへ1ヶ月間の研修や恵比寿H、祖師ヶ谷大蔵フィオッキなどへの1日研修を経て今に至ります。

普段は精肉店サカエヤが運営するレストランや東山のピッツェリアで働いており、日々料理と共に過ごしています。数々のレストランで研修を積んできた中で生産者という大切な存在を知り、「生産者と同じ目線で良い料理を作りたい」という思いから和歌山にある善兵衛農園へ行き実際に5日間のインターンを経験しました。農業インターンでは農家の仕事が想像を上回る過酷さで、大切に育てられた野菜がレストランへ届き、そして消費者へ伝わる過程を肌身で感じました。

私は実家が和歌山であり、幼い頃から海と隣り合わせの生活で自分で釣った魚を自分で捌き、自分で食べるという日々を送ってきました。現在でも休日は自家用の船で父親と釣りに行きます。将来は生産者や消費者とのコミュニティを作る料理人になりたいと考えており、生産者と消費者を繋ぐ架け橋になりたいという夢を持っています。

Q2
私は幼い頃から海が大好きで釣りや海水浴などの海と隣合わせの生活を家族と共に楽しんできました。しかしこのTHE BLUE CAMPの概要を見るまでは日本の海が危機的状況であるという現実を知りませんでした。海の現実を知らないのに海を語る自分が情けなく、非常に自分勝手だと思い今回の企画に志願しました。

今回の企画の中で最も魅力的に感じるのは実際に現地へ行く、産地フィールドワークを体験することが出来る点です。昨年は様々なレストランや農園へ研修に行きましたが、水産に関する課題解決に触れることがありませんでした。農業と異なり、水産は危険が伴うため個人で行くインターンは困難だと感じます。しかし、現地に行けば普段の生活からは伺うことの出来ない生産者の苦労や取り組みを肌身で感じることが出来ると農業インターンから学びました。全7回のオンライン講義で知識を充分に身につけた上で実際に現地へ行くことが出来る点が自分にとっての大きな魅力だと感じています。

私が生きてきた19年という短い人生の中でも海の環境が変化していることを普段の生活から実感することが出来ます。昔は秋になると毎日食べていた秋刀魚は今となっては高級魚に近い存在になっています。美味しいと言われている魚を獲りすぎるあまり、漁獲量が減り高値が付くことは残念な事です。サンマやウナギのように美味しいと言われているのであれば後の世代にも残してあげたいというのが私の切実な思いです。

海の問題についてまだまだ無知な私ですが、今回のTHE BLUE CAMPの企画で大人達が頭を抱えている海の課題のジレンマについてより詳しく知り、料理人志望の大学生という立場から周りのメンバーと共に真面目に楽しく解決策を探していきたいと思っています。

私自身の負けず嫌いな性格、柔軟なメンタル、奇抜な発想、何処へでも飛び込む勇気を駆使して難題に立ち向かいたい。今回の企画には「自分がしなければ誰がする」という強い心意気をもって応募しています。

私は今現在、立命館大学の食マネジメント学部で食文化と経営学を初め、食に関する様々な課題を勉強をしています。また、課外活動では「食の実験クラブ」で官能評価学を専門とする教授の元で「五感を科学する料理」に挑戦しています。

料理人志望の大学生という立場から、ただ単に美味しいものを作れるだけの料理人にはなりたくない。上面な知識だけでは無く、食に関する課題に自ら取り組み、困難に直面したい。今ある資源を出来るだけ、そのままの形で後世に残したい。そして、私は料理を通して人々にメッセージを伝えられるような料理人に成りたいと考えています。

竹田 翔 調理師学校→フランス留学予定


Q1
今年、調理師学校を卒業し、冬季からフランス留学を予定している者です。
在学時、フランス料理に興味を持ち、本場で学びたいと思いました。しかし、当時は、コロナ禍でレストラン研修もままならない状況でした。そのような状況に耐えかね、2022年7月、フランスでレストランを経営されている方に直接お願いし、フランスで二ヶ月間、研修させていただくことになりました。その二ヶ月間で感じたことは、フランスで学び続けるのなら、まずは語学を先に勉強しなければいけない、と言うことでした。そのため、そのお店での就職を断り、学生VISAをとる決断をしました。

9月に日本に帰国し、フランスで学んだ経験をもとに、全国のコンクールにも挑戦いたしました。コンクールでは、賞をいただくことはできませんでした。そこで、知識の浅さと、経験のなさを実感し、再度、語学と料理の知識を深める決意をいたしました。

卒業前の2月に、研修させていただいたお店から、「繁忙期に差し掛かっているため、期間限定でいいから、手伝ってほしい」と、ご連絡を頂きました。期間限定であったこと、語学学校の下見も兼ねられること、もう一度、フランスで料理を学ぶことができるため、2月に再度、渡仏いたしました。そして、繁忙期の手伝いを終え、4月に帰国しました。現在は、冬季からの留学の準備を進めております。

Q2
海の課題を知り、もっと学びたいと思ったことは4つあります。1つは、未利用魚についてです。未利用魚の割合が、全体の漁獲量の30%から40%を占めていると知り、もっと活用する方法がないのか知りたいです。いままでのレストランでは、一番良いものや、希少価値の高いもので値段に見合った料理を提供していましたが、未利用魚を使う場合、どのように調理、プレゼンテーションすることで、値段以上の価値を付加できるかについて、シェフ達から技術を教わりたいです。

2つ目は海洋の変化についてです。温暖化による不漁や、絶滅、水域の移動など個人では立ち向かえない問題に対して、現在、海がどうなっているのか、このままいけばどうなってしまうのかについて学びたいです。そして、これから個人がどのような行動をし、それを社会にどう伝えていけるかについても学びたいと考えています。

3つ目は、海や魚に関する関心をどうすれば高めていけるかについてです。
私は、フランスに行き、野菜ついては、BIO農法、ワインについては、ビオディナミ農法、食肉や、特産品などについては、レベルを保つための規格などについて、学ぶ機会がありました。しかし、魚についてのことはあまり学ぶ機会はありませんでした。むしろ、鮮度を活かすために有効な活き締めや、神経締めなどについては、ミシュラン星付きのシェフたちが、わざわざ日本に来て学ぶ、といったようなものでした。そのように、世界から学びに来られる日本でも、ほかの食物より、関心が低い状況にあります

。私自身、現在どうなっているのか、と疑問に思うことはあっても、行動に移すことができませんでした。牧場や、畑などに出向く機会は身近にありますが、海に出て、漁師の方々に話を聞く機会はなかなかありません。このプログラムでは、漁業に関わる方々と実際にお話しできるので、これからどうなっていけば、持続可能な漁ができるのか、どのように関心を高めていけるのか、についてお話を伺いたいです。そして、現状を知るだけではなく、行動に移したくなるようなプレゼンテーションや、表現方法を学びたいです。

4つ目は、どうすれば、魚の消費量が増えるかについてです。魚の栄養価については、解明されていく一方で、消費量は年々、減少傾向にあります。理由は、魚を買って料理するよりも、肉や既製品の方が手間がかからないことなどが挙げられると考えています。手間をかけてでも魚を食べたいと思えるようなアイデアなどについてセッションしたい、と思っています。

櫻井 春風 辻調理師専門学校 2年


Q1
海の資源が限りのあるものだと知ったのは、中学二年生のころ宮城県石巻市に訪問したときです。その年から毎年3月に経験震災後の地域活性の経過を記録してきました。私たちが訪れると、地域の方がたくさんの牡蠣料理をふるまってくれて、そのおいしさが地域の良さを引き立てていることを感じ、日本の貴重な海の幸や、漁業、そして自然を守って繋いでいきたいという気持ちが生まれました。

私は、高校3年生の12月に、大学進学が決まり、受験の後できた時間の中で、将来、自分がどんな人間になりたいのか毎日模索し、様々な業界の第一線で活躍されている方の記事をたくさん読みました。そこでNOMAで働くある日本人シェフの存在を知り、強い憧れを持ちました。

去年から辻調理師専門学校で和洋中を学び、その経験を活かし昨年の9月にCreative chef box というコンテストに参加し、ファイナリストに選んでいただくことができました。また、今年の3月には京都エースホテルさんでNOMA京都のポップアップレストランに一か月間インターン生として働くことができました。現在は日本の美しく繊細な技術や文化を海外に発信し、その中で、環境問題に対する様々な警鐘を料理の力を通じて鳴らせるような人材となって、活躍したいという夢があります。

Q2
私は辻調理師専門学校を卒業後、調理師として海の食材と向き合っていく立場にあります。その中で、去年、海の魚の急激な絶滅と、日本の魚の乱獲について個人的に調べていく中で未利用魚の存在に出会い、講習会に参加し、魚をおいしく調理するための調理法を学びました。具体的に、ASC認証されたバラマンディと、ひれに毒のある魚のあいごという魚を食べたのですが、どちらも調理法次第でおいしく食べることができました。

私は、この未利用魚に注目し、料理人が一般的に「おいしい魚」だということを伝えていくことができれば、急激に進む魚たちの絶滅を緩和することにつながるのではないかと考えています。そこで、毒や臭みを取る調理法や生食できる未利用魚を学んでいきたいです。

また、私がこのプロジェクトでとても期待していることは主に二つあります。一つ目は、海の現状への学びを深められるだけでなく、産地フィールドワークやレストラン研修などの参加型の体験ができることです。学校に在籍している中で、たくさんの食材に触れることができ、いつもおいしくて素晴らしい食材が揃えられた環境で調理をしています。しかし、その環境を作っているのは、まぎれもなく漁師さんや、農家さんの存在があるからです。産地フィールドワークでは、その体験を通じて、魚の扱い方や、その仕事の重要さを体験したいです。そして、レストラン研修では、現在第一線で活躍しているシェフの方々と料理をすることができ、それは、私にとって、とても貴重です。料理人として、何に向き合い、今の自分に何ができるのかを肌で感じたいです。

そして、二つ目は、同じ課題を見つめていける仲間とのつながりができればと思っています。憧れの料理人の方々や漁業に携わっている方々はもちろん、このプログラムにそれぞれの意志をもって集う同世代のプログラムのメンバーと意見交換する中で、目標をもって今後の料理人人生を始めていければと思います。

今、私は、すし職人になってこの問題に少しでも関わる機会を作っていければと思っています。そのため、日本料理を先行していますが、扱う魚の種類に応じた調理技術を身に着けるために、様々な国の料理を知りたいです。また、“すし”という日本の伝統的な文化を海外に伝えながら、海外の料理や文化にも触れ、その場に応じたオリジナリティのあるフィンガーフードを創作できる料理人になりたいと思っています。

稲垣 颯太 京都大学 3年


Q1
世界では養殖を中心に水産業の規模が拡大していく中、対照的に日本の水産業が衰退し続けている状況に関心・危機感を持っています。特に水産業に参画する個人や企業が少ないことや、水産業では他の一次産業に比して品種改良などの取り組みがそこまで進んでいないことを課題ととらえています。

将来は何らかの形で水産業に関わって、最新の技術・知見によって日本の水産業が抱える問題の解決に寄与し、その発展に貢献したいという思いのもと行動してきました。大学は海洋生物学を学ぶことができる農学部に進学し、基礎的な生物学から専門的な海洋生物の資源利用学・食品機能学まで学び、水産にかかわる知識を深めています。

また、大学の研究成果をもとに魚類の品種改良・養殖を行い、水産業の課題解決を目指すベンチャー企業にインターンとして勤務し、社会に出るうえで必要な能力を養うほか、少しでも自らの目標のために行動するべく様々な仕事を行っています。例えば、企業が開発した通常より可食部が多いマダイを活用した商品を大学生協に企画・提案し、実際に大学内の食堂で販売することで他の大学生に水産業の課題を知ってもらうとともに、それを解決し得る技術についての理解を深めてもらうといった活動を行ってきました。

Q2
私は高校生の時に日本近海で漁業資源が減少していることを知り、同時に水産業は多くが自然界からの採取で成り立っていること・魚類は品種改良が進んでいないことに気づきました。きっかけは数年前に秋刀魚の不漁問題がテレビニュースで頻繁に取り上げられるようになった頃、毎年秋に数回は食べていた秋刀魚がほとんど食べられなくなったことです。

残念に思った私はニュースをよく聞いたりインターネットで検索したりしてなぜそのようなことが起きたのかを調べました。すると、人間が資源管理をせずに獲り続けたことが原因だということが分かり、同時にマグロやウナギなど日本人が親しんでいる他の魚でも同様のことが起きているということも知りました。当時はSDGsという概念が出始めたばかりで、考えれば当然のことではあるものの「資源管理」といったことは思い至ったことはなく、これは私が好きな日本の魚文化を守るうえで大きな課題だと知りました。

またその過程で、そもそも水産業は他の1次産業に比べても少し特殊なのではないかと思うようにもなりました。例えば農業は、人間が自らの手で品種改良したものを栽培・収穫しているのに対し、水産業は天然の魚をそのまま採取しています。海からの直接採取をしなければ資源管理といった問題も生じないはずで、水産業の魚を獲るという根底部分に課題があると考えるようにもなりました。

これらの課題を知って、まず私は現実的に水産資源の管理は可能なのか知りたいと思いました。資源管理をするには国単位で漁獲量を設定する必要があると思いますが、現場から見てそれは順守できるようなことなのでしょうか。またそもそも魚の個体数や生態もわからない状況で、具体的な数値目標を設定できるものでしょうか。魚の資源管理をするよりもより現実的な手段があるのではないかと考え、天然資源の量にとらわれずに魚を安定供給するためにも、養殖を中心とした水産業の実現とそれにかかわる研究をしたいと思いました。天然からの採取は少量にとどめ、残りの必要な分は養殖により人間が生産することができれば、天然の資源が減りすぎることもなく毎年安定した量の水産物を流通させることができ、「不漁」も問題にならないはずです。

現在養殖は主流とは言い難いですが、多くの魚種の養殖手法が未確立であるなどの課題を研究によって解決することでより養殖を普及させ、水産物の供給不足という問題を防ぎ、日本の魚を中心とした食文化を守りたいと考えています。


藤本 弥夕 東京海洋大学4年


Q1
私の水産業への関心は、どうしたら多種多様な美味しい魚を食べ続けられるのかと考えたことから始まりました。きっかけは、大学の実習を通してアブラボウズやヤガラなど、それまでは聞いたことのないような魚を食べたことや、「未利用魚」について調査したことです。

これまでは魚と言えばサケやマグロ、サバなどスーパーでいつでも購入できる大衆魚でした。しかし漁港には、毎日さまざまな魚が水揚げされているが、その地域だけで消費されていたり、流通されずに捨てられていたりすることがあるという事実を知りました。未利用魚がいるということ、そしてそれらがおいしいということを、もっとたくさんの人に知ってもらいたいと思うようになりました。そこで、まずは水産業を知ろうと思い、三重県や岩手県、宮城県、富山県など様々な地域の漁業者のもとでインターンをしたり、未利用魚の利用をコンセプトにしている飲食店でアルバイトをしたり水産コンサルタントでインターンをしたりしています。

漁業インターンではマダイ養殖の体験、ワカメの加工作業、定置網漁業の見学などをさせていただきました。普段は見ることの難しい生産の実態や生産者の目線を学ぶことは、とても刺激的で視点の変化もありました。飲食店でのアルバイトでは、あまり普及していない魚の魅力や海の課題を伝えるべく接客を行っています。また、経験するだけではなく、水産に関する勉強会に参加し、他学生の経験や意見を聞いたり、自身の経験を共有したりすることで学びを深めています。このように漁業や魚食についてこれまで学んできました。

Q2
これまでの経験や学習を通して、やってみたいと思うことは、「海の課題を多くの消費者に知ってもらう」ということです。こう考えるのは、主に二つの興味が関係しています。

一つ目は、国際基準からみた日本の漁業への興味です。漁業インターンや飲食店でのアルバイトでは生産や販売などミクロレベルでの漁業について学んでいますが、水産コンサルタントのインターンでは、国際機関で働いていた人のもとで、国内外の漁業の問題や資源管理についてなどマクロな勉強しています。義務教育期間に韓国に住んでいた経験や英語を勉強していることもあり、国際的な漁業の課題について興味があったため、このインターンを始めました。

海に囲まれ漁業が盛んな日本ですが、国際的に見たとき、日本の漁業は持続可能性が実現できているとは言い難い状況です。漁業が持続可能な産業として確立している北欧諸国からは、日本が悪い例として注目されていたりもするようです。魚食普及率の減少や漁獲量の減少など、日本の漁業は衰退期にあると感じられることもありますが、国際的な動きや漁業の持続可能性からみても、今ある課題を解決していくことで漁業を成長産業にすることが可能だと考えます。

しかし、こういった国内外での動向を消費者の多くは知りません。不漁豊漁といったニュースや報道があっても、家庭内での魚食に大きな影響はなく、気に留めていない人も多いでしょう。産業を変えるには消費者の行動が変える必要があります。そこで、国内外の漁業の問題や課題など、水産業にかかわる情報を発信し、日本の水産業が直面している問題や課題を、消費者にまず知ってもらいたいと思っています。

二つ目は、魚食普及に興味があることです。未利用魚の利用をコンセプトにしている飲食店でのアルバイトを通して、「魚食離れ」が危惧されている近年においても、家庭内で魚を食べる機会は減少している一方で、魚食が好きな人、興味のある人はたくさんいるということを実感しました。家庭で食べる魚は数種類でも飲食店に行けば手軽に普段目にしないような魚も食べることができます。また、飲食店のアルバイトでは外国の方がお店の取り組みを通して知り、足を運んでくれることがよくあります。漁業に関しては先進的だとは言い難い日本ですが、外国人との接客を通して、海を豊かにするための取り組みは様々なところでなされているということを、国外にももっと伝えられたらなと感じました。このように、情報発信の場として飲食店の在り方や魚食普及の可能性について追求したいと考えるようになりました。

今回のプログラムを通して、水産業とあまり関わりのなかった人や、水産業に精通した人など様々な人に出会い、ともに学ぶことで普段見ることのない視点から水産業の未来について考える中で、水産の課題や取り組みについての情報を収集し、発信することで水産の課題に取り組む人の輪を広げていきたいと考えます。日本の海をより豊かに、水産業を未来が輝く産業にすべくプログラム参加者と切磋琢磨し、将来、海に還元できるようにしたいです。

南 百世 同志社大学4年


Q1
私の家は、魚介類の卸売業を営んでいて、私自身も小さい頃からよく市場に足を運んでいました。また、親が水産物を使ったデリカショップも営んでおり、そこでお手伝いもしています。今は、魚の部位を細かく売っているので、どうしても魚が余ってしまいます。そこで、余ってしまうお魚を利用してお惣菜を作って売って、フードロスをなくすことに力を入れてきました

大学では、4年間日本料理店で仲居さんとしても働いており、仲卸の先で、お魚がどういった風に調理されるのかを見てきました。私自身高校時代にニュージーランドに二年間留学しており、海外のお寿司や魚料理をよく食べましたが、日本のお魚は種類豊富で本当に美味しいと感じます。今日では、魚の漁獲量が減少しており、価格も高騰していると聞きます。卒業後も水産物の荷受会社に入社する予定なので、これからも水産業界に携わっていく身としても、海の問題を考えていきたいと思いますし、産地フィールドワークやポップアップレストランの運営にもすごく興味があり、応募させて頂きました。海についての詳しい知識もないですが、今後水産業に関わっていく上で、この機会にぜひ海や漁業、レストランについてより深く学びたいと思っております。

Q2
水産物の卸売業を営んでいる親から、近年は漁獲量が少なくて、今までに例を見ないほど価格が高騰しており、お客様も魚を確保できなくて困っているとよく聞いていました。実際、漁獲量もピーク時に比べて3分の1に減少しているという事実を知り、驚きました。日本では天然魚の信仰が強く、天然にこだわる料理人の方々も少なくないと聞きます。乱獲や地球温暖化、環境汚染などにより漁獲量も減っている現在において、天然魚だけを食べるという事は難しくなっています。そこで、どうすれば天然の魚を食べ続けられるのかをもっと知りたいです。

また、私自身は養殖のお魚も柔らかくて美味しいものも多いと感じます。養殖は良くないといったイメージを払拭し、海を持続可能にしていく為にも、養殖業についても知りたいです。私の家は魚介類の卸売業を営んでおり、海のおかげで家の商売が成り立っている身です。将来も水産業に従事してく身として、この海の問題を真剣に捉えなければならないと実感しています。今回、レストランという場を用いて、様々なサプライチェーンの方々と協力しながら、海に対してどの様なアプローチをとっていけるか、個人としてどう協力していけるのかなど、とても興味があります。今回のイベントを通じて、海に対する深い知識を身につけ、ポップアップレストラン運営を実際に体験する事で海の問題を把握し、これからの水産業のあり方を考える機会を得たいと思っています。よろしくお願い致します。


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