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「教養として知っておきたい 博物館の世界」×初心者が見る京都国立博物館展示

京都に旅行にいくことが決まってから、京都国立博物館(略して京博)の存在を知り、一冊の本を読んで、現地に向かいました。
それが、栗原祐司著「教養として知っておきたい 博物館の世界」です。

本当の目当ては近代建築の「明治古都館」でしたが、せっかくなので、特別展「京に生きる文化 茶の湯」も観に行きました。

結論から言うと、お茶の世界とは無縁に生きてきたので、その展示物の尊さは1%もわかりませんでした。わからなすぎて場違いな感じもあったし、情報量に疲れて、ベンチで居眠りまでしてました。

すみません、でも館内は暗くて静かで、空調もしっかりしていて、心地よかったです。寝息立てていませんように。

ただわからないなりに、「博物館の世界」を読んだおかげで、博物館の業務的視点で見ることができました。

例えば、展示会場はかなり暗いところでした。これは、日本の場合、作品が紙や布といったものが多く、照明だけでも劣化してしまうからだそうです。貸し出す際にも、環境的には厳しい条件がつくとも。

実際に1000年前の巻物もあったので、それだけ繊細なものを取り扱っているんだなと思いました。

また、展示物の説明文にある所蔵をよく見ました。○○寺、文化庁、東京国立博物館、○○博物館、あらゆるところから作品を集めていました。

国宝や重要文化財は、保存がめちゃくちゃ大事になるので、展示していい期間は決められているそうです。
特別展をするためには、そこの博物館の所蔵だけでなく、いろんな機関と交渉して、展示期間も確保したうえで展示が可能になるとのこと。

だから、所蔵先を見るたびに、「いろんなところと交渉・調整したんだろうな」と思いました。展示点数からしても、この特別展が開催されるまでの業務はどれほどのものだったんだろうと、勝手に運営側に思いを馳せていました。

あと、この本の中で一番私が好きな部分がありました。

各館が有するコレクションは、国宝・重文(重要文化財)に指定されていようといまいと、後世に引き継いでいく責務がある。

「教養として知っておきたい 博物館の世界」P106

「責務」かっこよくないですか。
この「責務」のもとに、多くのことが動いて今ここに作品があって、観られているんだな、そう思うと何故か胸が熱くなりました。単純な人間です。

著者の博物館に対する熱い思いは、たまりません。

日本で日本美術品が観られることは当然のことと思っていました。
でも、この本を読んで、貸し出しの厳しい条件や、特有の取り扱いがあることで、展示時には日本美術の専門家をおくことにも触れていました。

日本に生まれて、繊細な美術作品を観る機会に恵まれたこと、それを少し感じただけでも今回学んだことは大きかったなと思います。

そして最後に、ミュージアムグッズを買って、わずかながら博物館にお金を落としていくことも忘れずにしました。

(実物がもし観られなかったとしても)実物は次回の展示を期待し、とりあえず記念にグッズを買って帰ろう。あなたの落としたお金が、博物館の貴重な財源になるのだから。

「教養といて知っておきたい 博物館の世界」P125


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