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いつか克服

現在
19:30
食卓に夜ご飯が並ぶ

呼んでもいないのに
鼻歌が近づいてくる

「今日のご飯はー…」
「じゃじゃん!」
「唐揚げだー!」
「やりました!」
「お母さんに感謝!」
「はい!いただきます!」

誰かと話しているように
聞こえたが
1人である…

僕達にはいつも光景だ
食卓にお皿が並ぶ
コップにお茶が入る
僕達は寝かせてもらう
そこに鼻歌が聞こえる

楽しそうに
美味しそうに
食事をする
僕達も楽しい

「サラダも美味しそう!」
基本なんでも食べる

しかし

問題はこっち側

a「うわ!やばい!」
b「なにー?」

a「サラダがある!」
b「美味しそーだねー」

a「いやいや!嫌だ!」
b「ホントに野菜嫌いだねー」

そう
人に好き嫌いがあるように
食器にだってあるのだ。

a「お皿はずるいんだよ!」
b「なにがー?」

a「嫌いなもの入ってこないじゃん!」
b「たーしかに」

a「お茶碗に唐揚げ入れないでしょ」
b「たーしかに」

a「スープ皿にサラダ入れないでしょ」
b「たーしかに」

a「ちゃんと聞いてんのかよ」
b「たーしか…聞いてる」

a「なんで好き嫌いないんだよ」
b「この子が美味しそうに食べるから」

a「たしかに」
b「そこは、たーしかに、だよ」
a「うるせーよ」

僕達は笑った
嫌いなものが出ても
食事は楽しいものだ
美味しそうに食べてくれるなら
なんだって運ぶよ

いつか
好き嫌いがなくなったら
もっと色んなものを
もっと色んな人と食べよう

それは人もお箸も同じだと思う。

~出演~

☆お箸
a・好き嫌いする方
b・たーしかに。の方


鼻歌の少女

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