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【つながっていいとも】第64回 田村圭吾さんの「京料理を作り、伝え続ける日々」 | ゲスト=京料理 萬重 田村圭吾さん

オンライン時代でも出会える!話せる!つながれる!
毎週木曜日12時30分からの18分間のオンライン生配信「つながっていいとも」第64回 9月9日(木)OAのまとめです。

今回は、第63回ゲストの信州在住のエディター いちごねーさんこと五島千恵さんからのご紹介、京料理 萬重 田村圭吾さんによる「京料理を作り、伝え続ける日々」です。

ご自身が家業を継ぐまでの流れ、仕事との向き合い方、歴史のある京都で老舗と呼ばれるまで、ユネスコ世界文化遺産に登録された「和食」とは…と言った、全く存じ上げなかったことを、ずっとお伺いしていたいと思う「熱い」語り口調でお話くださいました。

そんな田村さんの「人となり」が存分に伝わってくる18分!見逃された方は、こちらから!

【毎週木曜日のお昼休み、12時30分からの18分間!】 ー「新しい時代のつながり方」をテーマに、オンラインでも出会える!話せる!つながれる!ー 前回のゲストは、信州在住のEdtiorいちごねーさん(五島千恵さん)でした。 〜からのご紹介、...

Posted by コミュラボ on Wednesday, September 8, 2021

第64回ゲスト 田村圭吾さんとは

210909【いいとも】#64田村圭吾さんプロフ

京料理 萬重 若主人

全国芽生会連合会 監事

令和元年度文化庁文化交流使(長期派遣型)
派遣国:ニュージーランド、エルサルバドル、ハンガリー、マケドニア、レバノン、アラブ首長国連邦
活動期間:2019年8月26日~10月4日

【生年月日】1970年3月16日
【学歴】大谷大学卒業

京都西陣の萬重(創業昭和12 年)の長男として生まれ、幼少期より家業の手伝いをし、各地で修業後家業に従事。萬重にはカール16 世・グスタヴ・スウェーデン国王が来店されたこともある。

業界では「日本料理アカデミー」に設立と同時に参加。地域食育副委員長として15 年以上に渡り全国の小中高大学生に指導を続け、京都市教育委員会の推進委員も務め、過去には教科書にも掲載された。創立60 年以上になる若手料理人の京都料理芽生会会長を平成29 年から務め、同全国連合会の副理事長を歴任、現在、同全国連合会の監事を務める。

海外での料理経験も豊富で和食の無形文化遺産への登録記念のフランス外務省晩餐会、ハワイで現地料理人などと700 人のチャリティーパーティー、ミラノ万博、クアラルンプールでも腕を振るう。

野菜ソムリエ京都を立ち上げ、現在顧問を務める。
2018 年に和食文化に関連する諸学問を体系化し、食をめぐるさまざまな課題の解決に向けた道筋を示すことを目的とする「和食文化学会」の設立総会にも参画し、和食文化学会員として和食の学術的な視点からも研究をしている。
2018 年、文化庁宮田亮平長官と対談をし、「文化」としての「食」について意見交換を行った。

自己紹介、そして、家業を継ぐまで

祖父の代に西陣で創業し、昭和12年から約80年になる京料理「萬重」の3代目。

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ー今までにあった、しんどかった壁は?

ある程度(継ぐという)レールは決まっていた。そのレールに乗るのが嫌だった。そのため、大学卒業前には就職活動もした。小さい時からボーイスカウトをやり、大学でリーダーも務めた。その流れで大学時代は教職も取っていた。その経験は、のちに(20年近く食育活動に)生かされることになった。

こうした経緯もあったが、結果的に長男の長男ということもあり、継ぐことになった。しばらく迷いがあったが、結婚してしばらくした33歳に転機があった。それは、京料理人の集まりである京都芽生会に参加したこと。

そこには、創業430年の京料理屋の方など、規模や古さに関係なく、いろんな同じ大変さを味わっている仲間がいた。
その方々と接するうちに「後ろを振り返っても仕方がない。前を向いて自分の仕事をしよう」と思えるようになりそれからからいろんなことに挑戦するようになった。

仕事との向き合い方

もちろん、嫌々仕事はしてこなかった。自分はご覧の通りの体型から分かるように、食べることが好き。食べることが嫌いな人は、手先が器用でも頭が良くても、料理人にはなれない。自分がおいしいものを食べたいからこそ、いい料理を作ることができるから。

我々はありがたいことに、「好き嫌い」で家業していない。辻さんは自分で選んで今の職業に就き、嫌になったら辞められるし、変えられますよね?(ええ)。
自分はこの職を辞めるとなると、親や親戚と縁を切らなければならない。
仕事は「好き嫌い」ではなく「やるかやらないか」。その状況に置かれたときに「いいのか」「これからどうするのか」などを、冷静な目で見ることができる。仮に、その時点で反対されたり、賛同されなくても「これから」に向けて邁進できる。

京都の歴史

ーコロナ下にどう邁進?

大変だ。京都駅にあるレストラン形式の支店は長く休業している。萬重は会合で使うお店。その日に思い立って行く店ではない。

お店をこれからどうすればいいかを考え、まずは安全対策を講じている。その際に、業界の仲間との意見交換はするが、自分たちだけで取り組むのでなく、行政や大学の先生などとも協議し、エビデンスで固めて対応している。

ー京都は85年では古くない?

85年では古くない。創業100年経つと京都府から表彰される。するとようやく老舗の仲間入りができる。自分から名乗るには創業150年は経たねば言えない。

料理屋で言えば、先程一番古いお店は創業430年という話をしたが、相撲の番付で言えば前頭10番目くらい。

京都でいえば、古い職業では創業800年の「仏師」がある。さかのぼると、運慶快慶に続く。京都には、こうした歴史のあるところがある。自分の祖父は15年ほど前に亡くなったが、今、生きている人が創業者を知っているうちは老舗とは言えないと思われる。

そのお店や職業の歴史が、業界の流れになっていることもある。伏見にある先輩の料理店には「鳥羽伏見の戦い」の際の弾痕がある。その料理店は長州藩の出入りがあったため、先輩のお父さんの曾爺さんはその戦いにお婆さんに背負われて飯炊きに手伝に行ったそうだ。

京都、と言うと古めかしいイメージあるが、実は新しいもの好き。180度回転させるのではなく、古いものと新しいものをあいまみれてクリエートすることができる。伝統を肝に置きつつ、新しいことに挑戦している。

ー「守るところ」と「変えるところ」の見極めは難しいのでは?

難しい。例えば、日本料理店でカレーのスパイシーな匂いや、豚骨スープが出てきたら、あれ?と思うだろう。しかし、日本料理にカレーのエッセンスを取り入れたり、ラーメンは無理でも隠し味に使う、などは考えられる

食は日進月歩で変わる。和食の食材に、今ではフォワグラやトリュフが使われることもある。かつて、ラーメンは中華料理、カレーはインド料理だったが、今では海外では日本式(日本がアレンジした)料理として認知されている。

自分が料理の修行を始めた頃は、関東ではマグロが使われていたが、関西では使われていなかった。マグロの若い頃の「よこわ」を使うことが多かったが、関東のように脂の強いものを好む文化と異なり、鯛、ヒラメなどの白身が好まれていたから。

これから挑戦したいこと

今までは、わかりやすく言えば、現場の最前線で戦っていた。2013年に諸先輩方との尽力により「和食」が、ユネスコ無形文化遺産に認定された。

これにはサブタイトル、サードタイトルがついている。サブタイトルは「日本人の伝統的な食文化」である。要は「和食全部」が登録されたものではない。「正月を例として」がついている。

一般的に食事は、美食や日々の栄養を取るために食べている。でも日本は、「お雛様」や「端午の節句」など、催事がついている。わかりやすいのは「正月」。形は違えど「雑煮」という料理を正月の朝から昼に、全国一斉に食べるような国民は、世界的にない。

ー雑煮?なんで?正月早々雑煮?

中学生の頃に「年の初めの正月に食べる料理なのに、なぜ雑に煮ると書く『雑煮?』を食べるのか」と疑問に思ったことがある。これは、正月のお飾りを煮て食べたことに由来する。お墓参りなどに行っても神様にお供えしたものを「お下がり」と言っていただく風習が日本にはある。そのようなこと。ゆえに、郷土で違いがあるのは当たり前。

実は「お餅の形」にも意味がある。お餅は神様からのお下がりなのだが、関東は四角、京都など関西は丸のお餅を食べる。日本の鏡は神様を示す。神社に行くと、卑弥呼のような丸い鏡が神様を写し出している。その神様を家に迎え入れる意味で「鏡物」をいただく。なので、丸餅でなければあかんのだ。

(先人たちが守り伝えてきたことを次の世代に)日本文化のことをこれからも広めていきたい。

第65回ゲスト 佐々木晃さん

伝統的なことを京都市上京区で一緒に取り組む、酒と料理はセットということで佐々木酒造の佐々木晃さんをご紹介する。

ー佐々木さんから見た田村さんとは?

料理人で熱い気持ちを持ち、同い年ながら尊敬している。得意先で、お店でお酒を使っていただいている。一緒に仕事する仲間でもある。

ー田村さんから見た佐々木さんは?

京都の地元の商人は、損得でなく自分のプライドや地域に貢献できることを意識して仕事をしている。自分も食育に取り組んでいる。佐々木さんはそうした思いが、人一倍強い。商売になってるの?と心配になるくらい。行政区が上京区で同じということもあり、二人で食と酒でセットで駆り出されることも多い。仲良くいろいろご一緒させていただいている。実は同い年で、誕生日も2週間違い。心強い友であり、同志であり、料理下支えしていただいている。

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MC後記

佐々木さんのご紹介の時にお話しされていたように、損得ではなく、プライドや貢献を意識して、仕事をされているご様子が伝わってきました。

京都という歴史ある街で、ユネスコ世界文化遺産に認定された「正月料理」を例とする「日本人の伝統的な食文化」を、家業を通じて守り、さらに広めていく姿が目に浮かびました。このご時世が落ち着いたら、きちんと予約を取ってお伺いしたい!と改めて思いました。

そんな田村さんにご紹介いただいた「心強い友であり、同士」「損得でなく自分のプライドや地域に貢献できることを意識して仕事をしている」佐々木さんからのお話も楽しみです。

ちなみに佐々木さんは、いろんな活動をされているのでメジャーな日本酒メーカーと同じ規模と思われますが、実は地元の小さな酒蔵とのことそんな佐々木さんとのとのお話も楽しみです。ということで、9月16日(木)12時30分からも、また見てくれるかな??

【The Community Lab. #コミュラボ】 コミュラボは、コミュニティが生まれる・動く「きっかけ」の場所です。関心の度合いに応じて①ゼミ、②ラボのラボ、③チアの三層構造となっています。その活動をおすそわけします。