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いい車と売れるコピーの関係

From 安永周平

もう10年以上前の話だが、私はトヨタ自動車で生産技術のエンジニアとして働いていた。今はもう生産終了となったマークXやクラウンなど、当時自分が関わっていた車種が街中を走っているのを見ると懐かしく思う。その気持ちが強過ぎてか、当時モデルチェンジに向けて現場でトラブルを起こしまくった赤のマークXを1年ほど前に中古で見つけ、わざわざ沖縄から取り寄せて買ってしまった。今は営業&現場への足として元気に活躍してくれている(燃費悪いけど)

自動車ができるまでの4つのプロセス


で、当たり前といえばその通りなのだが、車ができるプロセスというのは決まっている。たとえば私が担当していたのは自動車の塗装技術だったが、トヨタでは「車両系」と言われる自動車の本体に関わる工程は…

①平らな鋼板を成形する「プレス工場」
②成形された鋼板を溶接する「ボデー工場」
③溶接されたボデーを塗装する「塗装工場」
④ボデーに部品を組み付ける「組立工場」

…と大きく4つに分けられる。余談だがトヨタでは、自動車のボディーのことを「ボデー」と呼んでいた。聞き間違いを防ぐためかもしれないが、社外の人からすればスゴい違和感だ。NTTのことを「エヌテーテー」と呼ぶようなもので…昭和を感じる。話が逸れたが、車ができるまでの順序は長年蓄積されてきた技術によって決まっているのだ。自動車メーカーに蓄積された生産技術によって、現時点で最適化されたベストな順序(工程)が存在する。

本題はここからで、実はこの話は営業先でのプレゼンや広告・セールスコピーに深く関わっている。いい車を作るために最適化された順序があるように、いい文章(反応の高いコピー)を書くためにも最適化された順序(行動プロセス)がある。最初から小手先のテクニックに飛びつく人は多いが、そのテクニックに手を出すべきタイミングは多くの場合、終盤だ。根幹を無視したまま最初から枝葉に飛びつくのは、成果が上がらない人にありがちなパターンだ。これは避けなければならない。

コピーの反応を上げるための大前提


もしあなたが広告に関わる仕事をしているのなら「どうすれば広告の反応をもっと上げられるか?」を常日頃考えているはずだ。私もその道を通ったし、立場は変わったが今も事あるごとにそう考えている。広告に関わる人間なら誰もが思うことだろう。そして既にあなたもご存知かもしれないが、広告の反応が大きく上がる時は大前提として「優れたアイデア」の存在がある。

文章自体の読みやすさやランディングページのデザインなど様々な要素が広告の反応には影響するのは事実だが、「アイデア」が悪ければ劇的な向上は望めない。アイデアが優れているなら、次のプロセスとして文章の読みやすさやデザインを改善するのは大いに価値がある。しかし、根幹となるアイデアが悪いのにデザインや読みやすさ等の枝葉を修正しても、成果が出ないばかりか原因を見誤って泥沼にハマる。

だからこそ、順序として最初に「優れたアイデアを出すプロセス」が必要だ。広告の神様と言われるデビッド・オグルヴィ曰く「すべての広告にはビッグ・アイディアが必要だ。ビッグ・アイディアのない広告は暗闇に浮かぶ船のようなもので、誰からも見つけられることはない」だと。優れたアイデアがなければ読む人の数自体が激減する。広告(セールスコピー)においてアイデアは肝なのだ。

「アイデア」とはいったい何なのか?


そうなると「どうすれば優れたアイデアが見つかるのか?」という話になる。ここで嬉しい話がある。クリエイティブの象徴とも言われるアイデアだが、実はその本質は「技術」であり、努力次第で習得できる余地があるとのこと。そして技術の習得には1に原理、2に方法だ。だから、まず”アイデア”とはいったい何か、原理を知ることから始めよう。

アイデアというのは、突然イナズマが走って頭の中に降ってくる…そんなイメージがある。間違ってはいないのだが、それでは再現性がない。アイデア次第で仕事の成果が変わるのに、いつも奇跡を待っているだけの受け身の姿勢でいいはずがない。先ほど嬉しい話があると言ったが、実はアイデアには一般的な「つくり方」というものが存在する。名著『アイデアのつくり方』の中で、ジェームス・W・ヤング氏は次のように言っている。

「アイデアをつくる基礎となる一般的な原理については大切なことが2つある。1つは、アイデアとは『既存の要素の新しい組み合わせ』以外の何ものでもないということ。もう1つは、既存の要素を新しい1つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きいということだ。」

アイデア=既存の新しい要素の組み合わせ


そう、アイデアとは全くのゼロから生まれるものではない。私たちの既存の知識の組み合わせから生まれるのだ。逆に言えば「知らないものは逆立ちしても知らない」ので、知識が少なければアイデアの発想力は乏しくなる。だとしたら、知識のインプットは極めて重要だ。事実、ヤング氏は「アイデアのつくり方」は練習次第で誰でも向上させられると言っており、そのプロセスを5つのステップに分けている。

①資料(知識・事例)の収集
②集めた資料の学習(咀嚼)
③知識・事例の組み合わせ
④アイデア発見の瞬間
⑤アイデアのチェック

冒頭の「車ができるプロセス」を思い出してほしい。広告(コピー)の肝と言うべきアイデアも、再現可能なプロセスを踏むことでつくり出すことができるのだ。

「収集」と「学習」の習慣がアイデアの鍵


先の5ステップについて補足すると…③と④は完全に無意識(潜在意識下)で行われますので私たちは何もする必要がない。⑤でアイデアを検証するのは大事だが、これも最終確認の話だ。勘のいいあなたは既にお気付きだと思うが、重要なのは意志を持って取り組む①と②だ。つまり「いかにして良質な知識・事例を集め、それらを学習(咀嚼)するか」が、優れたアイデアをつくる鍵となる。

だから、私たちは日頃から優れた知識を積極的に学び、インプットしておくことが大切だ。アイデアはそれらインプットした知識や事例の組み合わせによって生まれるわけだから。有名女優がW不倫した…なんてくだらない情報ばかり見ていると、生まれてくるアイデアの質も悪くなる。

一方で、良質な知識や事例を日頃からインプットする習慣を持てば、それらが潜在意識下で組み合わさり、優れたアイデアとして頭の中で結実する瞬間はやってくる。時にはくだらない話がアイデアに結びつくこともあるだろうが、やはり本命は良質な知識の組み合わせから得られるアイデアが優れている可能性も高い。普段から収集、学習する情報(コンテンツ)の質を高め、優れたアイデアをつくる。それはきっと、広告の反応はもちろん様々な仕事であなたに成果をもたらしてくれると思う。

PS
実際に売れたセールスコピー(スワイプファイル)にはコピーの反応率を上げるアイデアが凝縮されている。言葉を選ばずに言えば、それらのコピーに使われているアイデアをパクれば成果が上がる確率は大きく上がる。先週も案内した件、手前味噌で恐縮だが…過去に安永が書いて実際にヒットしたコピーが全部で8本、本日まで1,000円OFFで提供中なので、現在コピーを書いているのならきっとお役に立てるように思う

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