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追悼ヴァンゲリス〜ギリシャからシンセでロックと映画を変えた男

どうも。

残念なことに、また訃報です。

ヴァンゲリスが亡くなってしまいました。シンセサイザーを使って、ろっくや映画をガラリと変えた、画期的な人でした。79歳でした。

 ヴァンゲリスというと、今の若い人はあまりご存知ないかもしれませんが、僕が10代だった80年代はかなりビッグだった人です。

 知ったのは、やっぱりこれでしたね。

この映画「炎のランナー」、「Chariots Of Fire」の主題歌ですよ。1982年、40年前のちょうど今頃ですよ。この映画がオスカーの作品賞受賞して、この曲がインストでビルボードのシングル・チャートで1位を獲得するほどの大ヒットになりました。

ちょうどこの当時に世にシンセポップが出始めた頃でしたけど、その頃のシンセって、すごくリズミックな使い方がメインだったところ、この曲みたいにゆったりとしたインストで聞かせる例ってまだすごく珍しく、ましてやシンセポップを聞かないその当時の大人の方にはもっと斬新だったんじゃないかな。ここを皮切りに映画音楽も多少変わりましたしね。

 その後もヴァンゲリスは後年に至るまで、シンセサイザーを使った映画音楽の大家になっていくわけですが、彼の功績はそれだけではありません。それ以前にはロック界への貢献もとても大きなものでした。今日はそのあたりも改めて振り返ることにしたいと思います。

1943年、ヴァンゲリスはギリシャのテッサリアというところで生まれ、首都アテネで育ちました。彼は幼い頃から独学で音楽を勉強。最初はギリシャの民俗音楽に興味があったらしいのですが、12歳の時にジャズ、さらにロックンロールに興味を持つようになります。そして18歳の時にハモンド・オルガンを初めて買い、20歳のときにバンド、ザ・フォミンクスにキーボード・プレイヤーとして参加し、このバンドが国内でかなりの人気となります。

今の世の中、すごいですね。世界的に有名になる前のローカルの記録が、こんな形ですぐ出てくるわけですからね。この記録の残り方から考えても、結構な人気だったと思われます。

 このバンドは1966年までで解散。この頃からヴァンゲリスはギリシャ映画のサントラの仕事なども手がけるようになっていたようですが、1967年、ギリシャ国内で軍事クーデターが起き、右翼の軍事政権が生まれてしまいます。創作の自由を失いたくないヴァンゲリスはパリに亡命します。

そこで彼は

アフロディーテズ・チャイルドというバンドを組みます。すると

1968年から1970年にかけて、アフロディーテズ・チャイルドはヨーロッパでヒット曲を連発します。とりわけ「Rain And Tears」「It's Five Oclock」の2曲はイタリアやフランスでナンバーワンになってるんですよ!かなりの人気だったんですよね。

というのも、サウンドがこれ、プロコル・ハルムとかムーディ・ブルースの影響が感じられる「ロックmeetsクラシック」の感じで、バックボーンにR&Bのないイタリアやフランスのようなヨーロッパの国にはウケやすかったのかなと思うのですが、こういう地域にロックを浸透させた意義はすごくあると思います。

そして

1972年に発表されたラスト・アルバム「666」はプログレ史上の名盤との誉れが高いです。シングルの曲は残念ながらサブスクにないのですが、このアルバムはあるので、ぜひ聞いて欲しいところです。

この後、ヴァンゲリスはソロになって、シンセサイザー奏者として活躍します。

70年代後半なんかはこういう感じで一部で支持があったようですが、だんだん実績が買われ出して、1982年に前述の「炎のランナー」でバカウケしたわけですが、

でも今となっては

やはり映画そのものの力は大きい。「ブレードランナー」ですよね。この映画はリドリー・スコットの映像美がやはり光るんですけど、でも、ヴァンゲリスの音楽抜きに、あの未来都市は作り得なかった。これに関しては9割がたの人が同じ意見なんじゃないかなと思います。今でも、「もっともサントラのかっこいい映画」で屈指の作品だと思いますもんね。

その後もイエスのジョン・アンダーソンと共演したり

90年代にはリドリー・スコットと再び組んでコロンブスのアメリカ大陸発見を描いた「1492」を作ったり。映画がこれ、あんまり後世に語られませんけどね。

そして2002年には日韓でのサッカーのW杯の公式テーマソングも手がけました。

・・・と、このように、ギリシャという非英語圏の国から登場して、ポップ・ミュージック史に偉大な足跡を残したわけですけどね。

 映画のサントラはもちろんですけど、その前のアフロディーテズ・チャイルドの功績まで含め、今後しっかり評価されることを僕は願います。RIP



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