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2024年、アメリカのフェス事情に変化あり!

どうも。

コーチェラのラインナップ、発表されましたね。

毎年、あのフェスには採点辛いんですけど、僕(笑)、今年はそうでもないですね。ここ数年の傾向だと、だいぶマシだと思いました。

ただ!

「何も、コーチェラだけがアメリカのフェスじゃない!」


このこともはっきりした、この2週間だったと思います。

そこで今日は、

アメリカのフェスのラインナップが、今年、いったいどんな感じだったのか、見てみることにしましょう。

まずは、コーチェラから見てみましょう。

「例年に比べてヘッドライナーが地味だ」という声を聞きますが、ここ数年があまりにもセレブ、呼びすぎたんです!思い出してもください、インディ・ロックのフェスだったんですから!!

 これ、僕の推測ですと、「途中で方針、変えただろ?」という見方です。だって、当初、ヘッドライナーの噂に上がってたの、ジャスティン・ビーバーとデュア・リパだったんですから。あと、シャキーラのヘッドライナーが断られた、という話もあります。昔のコーチェラ覚えてる身からしたら、「昔のコーチェラのお高い観客がバカにしてた名前じゃん」としか思えず呆れるんですけどね。

 ただ、これらが破談になって、音楽的に評価高い人がヘッドライナーになった。これ、どういうことかと言いますと、コーチェラって2週連続開催なんですが、その2週目の真裏にですね

コーチェラとは地図的にだいぶ違うんですが、東海岸側のサウス・キャロライナ州でハイウォーター・フェスティバルというのがあってですね、ここのヘッドライナーが、こないだ特集組んだ、今、イギリスでシングル1位でもあるノア・カーン、そしてホージアがヘッドライナーで他にもフリート・フォクシーズとかフレーミング・リップスとか出るインディなフェスがあるんですよね。

これ、ノアが今、有名だから目立つじゃないですか。これやられたら、いくら遠方のフェスとはいえ、対比されて、「どっちがリスナー目線で良心的なんだ。昔、コーチェラはっこういうフェス、やってたじゃないか。それはどこに行ったんだ!」ってなるじゃないですか。これが何ヶ月か前にアナウンスされてたんですけど、その時から「まずいなこれは」と僕は思ってました。

それでコーチェラ、何かを急に思い出したようにデフトーンズとか、サブライムとか、テイキング・バック・サンディとか、ロック戻ってきそうな雰囲気を察知してか入れてるでしょ?まあ、昔のコーチェラ、ニュー・メタルとかエモとか入れないほどポッシュなフェスだったので、選び方はそれでいいんかい、というのはあるんですけど、ただ、これも最近特集しましたけど、デフトーンズはtik tok再評価があるので、掴んでおくと確かに美味しいんです。

そしてノー・ダウトの名前まであるのは、去年、フランク・オーシャンの代打で出たブリンク182が好評だったんだと、受け止めて良いと思います。

 あとは、ラッパー、レゲトン、Kポップのアクトが、インディのアクトよりでかい字のところにあるのも、最近のこのフェスの傾向、そのままですよね。メキシコのペソ・プルーマが準ヘッドライナーで。これは僕、興味あるんですけどね。

 ただ、ですね

そういう多様路線に、アメリカの他のフェスがもう。なびかなくなってる!


これが今年、ものすごく顕著なんですよね。去年までだったら、他のフェスがコーチェラに横ならびして出演者をすごくポップな方向に持ってたんですけど、今年はそれが通用していません。

単純にスターの問題もあるかとは思います。しかし、今年は他のどのフェスも、Kポップやレゲトンはおろか、ヒップホップもかなり少ないラインナップになっています。

ちょっと、その例を見てみましょう。

南部最大規模、テネシー州のボナルー、サンフランシスコのボトル・ロック・ナパ・ヴァリー、この辺でもヒップホップで積極的に出演展開してるのって、メガン・ザ・スタリオンとTペインくらいなんですよ。これ、5年くらい前の、いろんなフェスでラッパーの名前がずらりと並んだ頃から比べると、引き潮みたいに引いてるんですよね。

これ、今年に限ったことじゃなくて、パンデミック明けくらいからの現象です。ヒップホップの人たちが総合的なフェスに旨味感じなくなって、ローリング・ラウドとか、ジャンル特化型のフェスを選ぶようになったんですよね。他にもJコールとかタイラー・ザ・クリエイターがキュレートしたフェスとかですね。ちょっと撤退傾向にあるんですよね。

その傾向は、元からかなりロック寄りだったアトランタのシェイキー・ニーズ、ボストンのボストン・コーリングでもさらにそうで。ボストン・コーリングの今年に特に顕著なんですけど、ヘッドライナーにタイラー・チャイルダーズ呼んでますよね。彼なんて、カントリーですよ。ザック・ブライアン同様、かなりロック志向強いですけど。

こうしてみてもわかるように、多様の方向性が変わってきてるんですよ。カントリーとか、ノア・カーンみたいなフォークとか、あるいはスティーヴィー・ニックスみたいな大ベテランとか、多様の方向がそういうとこにシフトしてきています。

 逆に、Kポップとかレゲトンは、このあたりのフェスは皆無です。去年のコーチェラで、バッドバニーやBLACKPINKがヘッドライナーだったのに。他のフェスが、とうとうコーチェラを追随しなくなったんですよ。

これは何を意味するのか。「保守的になった」?そうかもしれません。しかし、もっと冷静に考えて欲しいのは、「人種的に多様になったからといって、それは音楽のクオリティが上がった、という意味になるのか」ということです。

ヒップホップはいうまでもないですけど、レゲトンもKポップもいいものはもちろん音源ではあります。僕自身も年間ベストに入れてます。ただ、その一般的なリスナー層は果たしてどうなのか?その「推し」と呼ばれるアーティストが単に好きで他の出演者には目もくれないのではないか。ただ単に巷でかかって流行ってるから好きなのであって、音楽シーン全体に興味が果たしてあるのか。

こうなってしまうと、フェスが昔から持つ理念とは大きくかけ離れてしまうんですよ。だってフェスなんてそもそも、シングル・チャートの流行りに興味なんてない、こだわり派のリスナーが音楽探しに行くような場所だったわけですからね。今だって、そうですよ。この心理、フジロックやサマーソニックに毎年行くような人ならわかるでしょ?

あと、コンサート制作者的にもですね、下手したら生演奏なんて一切ない、ただバックでプレイバック流してるようなライブ、果たして彼らがそういうものの制作に憧れて、その業界に入っているのでしょうか?そこは、言ってしまえばもっと問題です。「そんなものは本物のライブじゃない」。そう思うようなタイプの人が潜在的に多いはずなんですよ。

だから、いくら多様を主張したところで、肝心なショーの内容が、これまでのオーディエンスの大半を占める人が求める生演奏スタイルに合致しないのであるのならば、さすがに限界あるんですよね。この辺りでコーチェラの推し進めてきたポップ路線、今年とうとう限界に達したかな、というのが僕の見立てです。

だからこれ、前から気になってたんですよね。「お前は多様を認めないのか」というのは、確かに感覚的に罪悪感持たせる威力はあるし、説得しやしすかった。だけど、同時に、「それが実は、大手芸能事務所やレコード会社が商売しやすい口実に利用されてるだけ」なことがごまかされてるだけなんじゃないか、ということへの警鐘も僕は主張してきてました。

その例がですね

これが唯一、コーチェラ路線を汲んだニューヨークのガヴァナーズ・ボール、トイうフェスなんですけど。もう、いかにもセルフィーだけ、ヒットチャートの上位しか興味なさそうな「a-Nation?」みたいなフェスなんですけど、これで僕が「それでいいの?」と思ったのはですね

サブリナ・カーペンターとレネー・ラップ、両方出てるんですよね。方やディズニー、もう一人も本職アイドル女優です。もう、ズブッズブのハリウッドの大手も大手のエージェントのタレントですよ。

どっちかだけだったらいいと思うんですけど、両方出てるでしょ、これ?実はこれ、今年のコーチェラもなんですよ。まあ、しつこくいますけど、昔はエモでさえ毛嫌いしてたようなフェスがですね、なんでここまで手のひら返したように変われるのかと(笑)。

あと、今年はとうとう地方フェスで良心的なのが目立ち始めてましてですね


ユタ州の木ルビー・ブロック・パーティとか、アイオワ州のヒンターランド・フェスティバルとか注目されてます。

キルビーなんかは、それこそ00年代から10年代前半にインディロックに興味を持った人なら、「これこそ見たい!」となるでしょう。ボックは後者の方が最近っぽくて好きですけどね。The Last Dinner Partyとかエセル・ケインの名前もあるし。ここでもノア・カーン、そして両方でヴァンパイア・ウィークエンドがヘッドライナーです。

あと、「今年、出演者、地味じゃない?」という声も聞くんですけど、これが最近の傾向でもあるんですけど、水面下ヒットしてるものが多くて、気付かれにくいけど大人気なんですよ、実は。

例えばボナルーのセカンド・ヘッドライナーのシガレッツ・アフター・セックスやメラニー・マルティネス、Spotifyの記録見て欲しいんですけど、1億ストリームの曲、ザラなんですよ。

今年のいろんなフェスで非常に名前を見かけるこういうアーティストたちもストリーム数が高くてですね、若いオーディエンスが出演を喜んでるんですよね。一般ではまだあんまり知られてないでしょ?でも、現実そうなんですよ。もう、トレンドが確実に先に進んでるんですよね。

最後に強烈なフェスを一つ


昨日発表になった、ニューオーリンズ・ジャズ・フェスティバルのラインナップ、一番上にストーンズがあって、下にずらっとレジェンド級の名前が!まあ、これが桁外れに贅沢ですよね。

でも、僕に言わさせてもらうならば、アメリカはまだまだフェスでは進んでないですね。元々、フェスブームでも後乗りだった国ですからね。イギリスとか、スペインとか、最近はメキシコとかもすごいですけど、そういう国のセンスには及んでいないというか。この話は、また別においおいしたいと思ってます。














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