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ネットフリックス「エル・カミーノ」感想 「ジェシーが見たいわけではないんだよなあ」と色々考えてたどり着いたのは・・・

どうも。

ネットフリックスでこれが始まって話題ですね。

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「ブレイキング・バッド」のスピンオフ、ウォルター・ホワイトの相棒、ジェシー・ピンクマンを主役に据えた「エル・カミーノ」。こちらの感想、行きましょう。

これ、もう、先週の金曜に配信されたばかりだし、見た人も多いと思うので特にあらすじは言いません。

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要はジェシーが、ウィルター亡き(ということになっている)あと、そのあとの人生をどうするか。それを描いています。もう、巨大な麻薬ビジネスの中心人物であることは世間的に知れていることなので、もうとにかく逃げるしかないわけですが、その過程を「ブレイキング・バッド」、プリクールの「ベター・コール・ソール」に出てきた出演者らとともに追う、という内容です。

まず、一つ言えるのは、飽きさせない、というのはあります。話が、ちょっとクリストファー・ノーラン的な迷路になっていて、いろんな場面のフラッシュバックが多用されているので、「ん?果たしてどれが最新の出来事?」という風に見る人を戸惑わせます。それだけでも楽しめます。

ただ、ですね

「ブレイキング・バッド」ファンのための2時間かけたアンコール

この域を出てないことも確かです。結局、「あの後、ジェシーはどうなったの?」と思うファンへの近況報告みたいな映画です。なので、「ブレイキング・バッド」そのものに興味のない人にとっては、ほとんど意味をなさないものでもあります。なので、「これから見る」というのはやめた方がいいと思います。

で、何れにせよですね、改めて思ったのが

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やっぱり、このドラマはウォルター・ホワイトあってのものなんだな、ということです。

ジェシーはどこまでいっても、「憎めない、情けない相棒」で止まる人物であり、彼の人生そのものに共感してみていたわけではない。やっぱりウォルターの人生に共感や感じるところあって見てたんだな、ということがわかりましたね。

で、改めて思い返すにウォルターの人生って

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「ジョーカー」を先取っていたと思うし、こういう写真がすぐ出てくるように、すでにそれを指摘している人も少なくありません。

ウォルター・ホワイトの人生って、今のアメリカの縮図なんですよね。それはやはり、癌でもかかろうものなら生活が破綻する現在の「持たざるもの」のアメリカそのものというか。しかも、「男」というものの立場が相対的に昔とクラ寝てかなり弱くなっているから、家庭の中での「家長」としての威厳なんてものは全くない時代でもあり。そんな時代の、情けなくも「時代が生んだ産物なのだな」とどこかシンパシーを抱かずにはいられない、今の現実が生んだヒーロー(もしくはヴィレン)、それがウォルターだったと思うんですね。

ジョーカーも、貧しい人や、精神的に人と違うところがある人に対して冷たい社会が生んだ産物として描かれるでしょ?プラス、ウォルターよりさらに進んで「家庭なんて築きようがない次元まで来ている人」でもあり。言ってしまえば、ウォルター・ホワイトをさらに一歩踏み込んだキャラがホアキン・フェニックス扮するアーサーだと思います。

そして、ウォルターとジョーカーをめぐって、彼らを取り巻く時代の状況も進んだものになったかとも思います。「ブレイキング・バッド」だと、話が進行したところで、劇中でウォルターがヒーローになることは少なくとも表の社会ではないでしょ。それが「ジョーカー」だと、英雄になってしまう。ここは決定的な違いだと思います。

それから、暗喩されるアメリカへの見方も変わってきたと思います。

例えば、「ブレイキング・バッド」を放送している最中、「持たざるアメリカ」を解決するためには「とにかく景気が良くなれば」と、プアな人たちが選んだのがドナルド・トランプだったように思うんですね。それは、現在貧困層に落ちたプアな白人たちが望んだのが、自分たちが身近に感じられるような、バカなこともたくさんいう、でも、ビジネスでは実績のある、そういう人を選んだかと思うんですね。

でも、時は流れて、「弱者きりすて社会」の実態が見えてきて、「切り捨ててきた社会の張本人がどういう人だったか」、それが見えるようになってきた。そこで今、求められ始めてきているのが

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次のアメリカの大統領選で今、民主党候補でトップに立っているエリザベス・ウォーレンですね。

前の選挙でも、思いっきり左に寄るだけ寄ったバーニー・サンダースが人気でしたが。今思うとそれも「持たざるもののアメリカ」を託したい人の象徴だったと思うんですが、今はバーニーの路線を現実的にやや調整した彼女が、リベラル逆襲の波にも乗って力をつけてきている。僕自身が彼女を押しているかどうかは別(そりゃ、右翼と比べたら押しますが)として、注目する人が出てきている現状がありますね。

いずれにせよ、「ブレイキング・バッドが今のアメリカの縮図を先駆けたもの」だったことは確かなのでは、と思った次第でした。





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