マシュー

ザ・マシューズのボーカル“マシュー”による思うことを思うままに書き綴ります!!

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最近の記事

白いカマキリ

「あら、カマキリ」 病室に入ると同時に母はそう言った。遅れて病室に入った僕はベッドで眠っている父親の胸元を見て、母の言っている言葉の意味を理解した。 もぞもぞと動く小さな虫がいるのだ。それは確かにカマキリだった。しかしやけに色が白い。カマキリにもアルビノっているのだろうか、などと思いながら父親に近づいた。 肝臓がんを患った父親はもう長くは持たないようだ。医師からもそう伝えられているが、それがなくとも明らかに父はどんどんと衰弱している。ここ最近は毎日のように見舞いに来ているが

    • Dr.タイムマシン・ブルース

      「あー、あー、現在2023年12月31日、20時54分」 私は壁にかかったデジタル時計を見ながらマイクに向かって語りかけた。もうあと数時間で年が変わる。街はカウントダウンに向けて盛り上がりを見せていることだろう。 そんな中、私は一人研究室でボイスレコーダーに自分の声を吹き込んでいる。もう何年も世間とはかけ離れた生活を送っていたので、今更淋しさを感じることはないが、それにしても今日はいつにも増して世間との乖離を感じるものだ。なんせあと数分後に私は長い眠りにつくのだから。 「今

      • 魔境へようこそ!

        みなさんは山科区という地域を知っているだろうか? 三方を山に囲まれた京都盆地は小学校で習ったことがあると思われるが、実はそんな京都市の東の果てにはこれまた三方を山に囲まれた土地がある。それが「京都市山科区」。 平安の世から京都は妖怪が跋扈する魔都として語られることが多いが、山に囲まれた独特な地形は外界から隔離されている雰囲気で京都を魔都たらしめている大きな原因なのではないか、と僕は思っている。 そんな魔都にあって、さらに外界から隔離されている山科区を人は魔境と呼ぶ。 僕はこ

        • パラレルワールドからこんにちは!

          「千と千尋の神隠し」、知らない方はほとんどいないであろうスタジオジブリ制作のアニメーション映画で、2020年に「鬼滅の刃」に抜かれるまで約20年間日本の映画興行収入ランキングでずっとひたすらトップを走っていた名作である。 ところでこの映画には幻のラストシーンがあることをみなさんご存じだろうか?いや、実際は幻のシーンはないんだけれども。こう書くと「何を言っているんだ、お前は」と突っ込まれそうだが、つまり「幻のラストシーンがないのにネットを中心にこんなラストシーンじゃなかった、当

        白いカマキリ

          大切にしている教え~おれはパスタが好きだ~

          おれはパスタが好きだ人生で壁にぶち当たった時、重大な決断に迫られた時、誰かの言葉が教えとなることがある。 かのポール・マッカートニーは亡き母が夢に現れ「Let it be(あるがままに受け入れる)」と囁いたことを糧に「Let it Be」を書き上げたと言う。僕にとってそんな教えとなる言葉、それはダンという少しばかりクレイジーなアメリカ人が言い放った「おれはパスタが好きだ」なのだ。 ダンという男について この話をするにあたってまずはダンのことを語らなければならない。 こう見

          大切にしている教え~おれはパスタが好きだ~

          とんでもないクレーマー~闇夜に煌めく日本刀~

          「殺してやる」 僕の目の前には目を血走らせて日本刀を携えた男が立っていた。その男を妻であろう女性と、母親と思われる女性の二人が必死に止めている。 ちなみに妻であろう女性は妊娠しているようだ。お腹が膨らんでいて、妊娠8カ月ほどといったところであろう。 なんでこんなことになったのか。振り返ってみたいと思う。 その日、僕はいつも通りアルバイトに精を出していた。シカゴピザ山科店という宅配ピザ屋のバイトだ。いつもと違うのは店内にエリアマネージャーと呼ばれる本部の社員と、今日からこ

          とんでもないクレーマー~闇夜に煌めく日本刀~

          お笑い芸人よ、ドブネズミのように!

          今回は何かと話題の「人を傷つけるお笑い」に関して書いていこうと思う。 まずなぜ「人を傷つけるお笑い」という文言が今話題に上がっているかと言うと、今年のM-1チャンピオンに輝いたウエストランドのネタがありとあらゆる方面の悪口を羅列するいわゆるディスリネタだった。 近年のTVショーはコンプライアンスが厳しくなり、今まで普通に放送で来ていた過激な表現などがどんどん規制されてきている。そんな中、三年前のM-1でペコパが大ブレイクしたのだが、彼らのネタは不条理なボケに対してツッコミが

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          人種差別について本気出して考えてみた22歳の冬

          たまには真面目なこともつらつらと書いてみようと思う。テーマはずばり「人種差別」について。 大学時代、友人と三人でスペインへ旅行に行った。それぞれ日本の中でも京都、大阪、千葉に住んでいる三人だったのでスペイン現地集合、現地解散というなかなかに面白いかたちでの旅行だった。学生の身分ではなかなかお金もなく、宿はドミトリーで安く上げ朝食、昼食はそのドミトリーで出る食べ放題のパンを鞄に詰め込んでただただ腹を満たすというもの。それでも異国の地は魅力にあふれ、非常に楽しかった。もともとヨ

          人種差別について本気出して考えてみた22歳の冬

          THE LIBERTINESに愛を込めて、Summer Sonicに憎しみを込めて

          注) この記事は2022年8月20日に投稿しましたが、不注意で削除してしまったため再度投稿します。noteの仕様上日付変更ができないのでそのまま投稿しています。話の内容は2022年開催のサマーソニックの事です。 今月20日、21日にSummer Sonicが三年振りに開催される。Summer Sonic(以下サマソニ)と言えばフジロック、ロッキンオンジャパンフェスと並んで日本の三大ロックフェスと称されるロックフェスで、フジロックやロッキンオンジャパン、その他の多くのフェスと

          THE LIBERTINESに愛を込めて、Summer Sonicに憎しみを込めて

          L’Arc~en~Cielのflowerについて語る

          僕は普段音楽を聞く時にあまり歌詞を重視しない。自分で曲を作る時も伝えたい事とかよりも曲に乗るか否かを優先している。もちろん「いい歌詞だな」なんて思う曲もたくさんあるけれども、歌詞が好きだからこのアーティストが好き、ってくらいに歌詞にハマることはない。 なんで突然こんなことを言い出したかと言うと、先日友人から最近久しぶりにラルクを聞いている、という連絡がきた。彼はとにかく歌詞を重要視する男で、それこそ昔一緒にフォークデュオを組んでいた相方なんだけれども、当時から曲を作る時にも

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