便所の芳香剤

金木犀の香りを嗅いで「便所の匂いだから嫌い」という人が一定数いる。香りの好き嫌いがあるのはわかるが便所の匂いではないだろ……と、私は思うのだが金木犀が便所の匂いと言われるには訳があり、どうも汲み取り式便所の時代から芳香剤として近くに植えられたり、水洗式になってからでも芳香剤メーカーが金木犀の香りの商品を作りまくったりしたことが原因らしい。便所の芳香剤としての地位を確立した金木犀は、平成10年くらいまで人気を博していたようだ。

平成10年だと丁度私が生まれた年なので、自分には金木犀と便所の親和性は馴染みがなく、なんなら山の上にある高校に通うまでは金木犀なんて植物の存在も知らなかった。私にとっての金木犀は高校のバス停の香りだ(エモいね)。

ところで、私のいとこの家では水回り(便所・脱衣所)の芳香にピーチの香りが採用されている。余談だがいとこの家には猫が住んでいて、その猫が脱衣所によくマーキングをしている。私は最近になってピーチの紅茶と飲むヨーグルトのピーチ味が苦手であることに気付いた。理由は前に同じく、便所の匂いがするからである。ピーチだけならよかったのかもしれない、紅茶やヨーグルトの酸味が混ざることで、私の脳内で黴臭さのあるあの便所やあと脱衣所のイメージが完成され、全然美味しく感じることができない。

芳香剤で誤魔化してもどうせ糞尿の匂いには勝てないのでもう本当に甘い香りで上書きしようとするのはやめてほしい。味が苦手な物はあまりないけれど、イメージの苦手で飲食にまで影響がでるのは不本意である。

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