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ライトセーバーISO9001&IATF16949 / 欧州二天一流 弐之巻

《 欧州二天一流とは、欧州発祥ISOの脇差を左手に、欧米発祥IATFの大刀を右手で構える品質手法の流派である。 》

弐之巻【究極奥義APQPの構え】

 注記; 本来、APQPを含む5つのコアツール(後述)には、膨大な説明が必要です。”北斗神拳奥義•水影心”のような拳技会得には、AIAG作成のリファレンスマニュアル(※1)をお薦めします。実戦で憶えた我が拳は、雲の如く常に型を変える ”我流拳” ゆえ、下記はコアツールへの入口として読んで頂ければ幸いです。

 
 『APQPの型』
 
Advanced Product Quality Planningの略称で、8.3.2.1設計・開発の計画の箇条a)で、VDAーRGA(※2)と共に記載されています。”部門横断的なアプローチ(※3)”を用いて、進捗管理する必要がある要求事項。設計・開発との表現ですが、量産化までを含むので、新製品量産化活動計画書と言えます。時に応じ、サプライヤーや、顧客との連係技も必要。
3.1自動車産業の用語及び定義では、”特に、設計の頑健性、設計試験及び仕様への適合、生産工程設計、品質検査規格、工程能力、生産能力、製品の包装、製品試験及び作業者教育訓練計画を網羅”とある。また、AIAGリファレンスマニュアルでは、各活動項目をまとめ大分類とした各フェーズに、マネジメントサイドによる確認および支援についての記載もあります。この各フェーズ管理の意図は、日系企業での”節目管理”、外資系では”QCG”=Quality Check Gateなどと類技。品質には、マネジメントが非常に重要だと意図した技です。
忘れていけないのは、APQPが古流QS9000や、TS16949コアツールより、伝承された奥義である事。その為、他のコアツールとして、FMEA・SPC・MSA・PPAPがあり、これらをAPQPに取り込む必要があります。
高位職による品質マネジメントが必要なAPQPであり、他4つのコアツールなどを含めた活動によって、産まれの良い製品を世に送りだす技。
品質確保には、まさに究極奥義。
 
 
 <<ライトセーバー実践編・秘奥義含む>>
 
APQPの型に、他4つのコアツールを組み込み繰り出す事で、究極奥義APQPの構えとなる。
究極奥義に組み込まれる大技(コアツール)だけあり、難易度は高く、主幹部署が、品質管理部門で無い技もある。従って、CFT活動での布陣には充分な注意が必要。また、品質管理部門として会得せずとも、技の基本部分は把握し、主幹部署の活動に隙があれば、打突して有利な距離、立ち位置を確保する事。
CFT(※3)でのコアツールレビューが無い場合は、日常業務内で精査して、その結果をCFTメンバーに、火矢の如く放つ。不備(隙)を見つけ、指摘(斬撃)を与えても、その他部署にスルーされた場合は、上申して、より強いマネジメントへの連撃へと移行する。
理想は、WW2後期・米軍により考案されたFMEAによる一撃必殺である。しかし、それが出来ない為の究極奥義APQPの構えとも言える。
その為、APQP以外のコアツールは奥義では無いが、GRR(後述)には秘奥義が存在する。GRRでは、多くの武者達が、外部刺客(審査員)が繰り出すndc技で、討ち取られているが、ばらつきの多いサンプルを意図的に準備し、GRRを実施する事で、ndcの値を有利に変位させ討ち果たす方法がある。しかし、秘奥義だけあり、そこには品質確保への充分な配慮が前提となる。この技は、ある意味、目くらましでもあり、忍術や幻術に近く、秘奥義となった裏の技。

 ※上記説明は、究極奥義APQPの構えと、型ですが、興味を持たれた品質ジェアダイの方々には長文となりますが、下記にて他コアツールの型も説明しています。
 
 
 『FMEAの型』
 
Failure Mode and Effects Analysisの略称で、IATF16949には数多な箇所で記述がある。有名な型は、D-FMEA(製品設計)、P-FMEA(工程設計)の2種類ですが、2019年に発行されたAIAG&VDA版FMEAハンドブックでは、新技FMEA-MSR(※4)も追加されました。
従来のAIAG版FMEAと、AIAG&VDA版との大きな相違は、故障モード(不具合予測)の抽出に関する気付きを与える方法の向上と、リスク評価がRPN(Risk Priority Numberリスク優先数)からAP(Action Priority処置優先度)に変更された事。
関単な表現でFMEAを言い換えれば、不良品にならない構造の“製品設計リスク分析”と、不良品を生産しない(=不良品が生産出来ない)“工程設計のリスク分析”。
理想論では、良い図面と、良い生産ラインを揃えれば、不良品の発生を抑え込めるので、非常に重要なリスク分析手法です。
一撃必殺となる”FMEAの型”を会得するのが理想ですが、相手の防御や、果し合い(業務)環境などもあり、一撃必殺は困難。そこに対処する技や、フェイントなどから技の体系(IATF16949)や、究極奥義APQPが出来たと言えるかもしれない?!それ故にCFT陣形と、APQPとの関係は非常に重要となる。
 
 
 『MSAの型』
 
Measurement Systems Analysisの略称で、7.1.5.1.1測定システム解析にて活用が要求されている。計測器、計測者、計測方法、計測部品には、バラつきがあり、それが、繰り返し、再現性として表れるため、これらを複合的に解析する必要があります。その解析結果に基づき、適切な計測システムを選択・導入する手法。それらの内、代表的な方法に、GRR(Gauge Repeatability and Reproducibility)がある。
GRRで注意が必要なのは、評価結果の%GRR以外にも、前述のndc(number of distinct categories;知覚区分数)がある事。TS16949からIATF16949に至る現在まで、外部刺客(審査員)により、多くの武者達が、この技(ndc)で討ち果たされたのは前述の通り。ndcは、SPC(統計的手法)で製品ばらつきが少ないと管理限界線の巾が狭くなるように、ndcも小さな値になる事への注意が必要(ndcは、5以上が合格)。つまり、測定が出来れば良いだけでなく、製品の出来栄えが良い場合は、それを維持する為に、より測定精度の高い厳格な計測方法が求められます。故に測定システム解析。故に前述の秘奥義。
 
 
 『SPCの型』
 
Statistical Process Controlの略称で、9.1.1.2統計的ツールの特定にて、”組織は統計的ツールの適切な使い方を決定しなければならない。FMEA及びCP(QC工程表)に含まれていることを検証しなければならない” などの要求が明記されています。他にも、8.5.1.1コントロールプラン(QC工程表)、9.1.1.3統計概念の適用、10.3.1継続的改善 など、数多の項目で、統計との表現が明記されている。
つまり、品質部門以外でも製品に関わる部門では、統計的手法の活用が必要。ただし、9.1.1.2の前述があるので、その扱いは各社で決めて良いことにはなる。
 
 
 『PPAPの型』
 
古坂大魔王の繰り出す奥義?!では無く、Production Part Approval Processの略称。余談ですが、AIAGのPPAPを海外駐在時にスタッフに教えていた時、逆に、ピコ太郎をスタッフから教わり、PPAPは、欧米的な事だと痛感。
しかし、日系企業では、そのままのPPAPよりも、PPAPベースでのアレンジとか、顧客独自のSQMで設定している場合が多いと、小生個人は思っています。
簡単に言えば、顧客から新規部品や製品での量産品納入許可を頂く手続きで、必要となる品質書類などを定めたルール。(日系企業でQC工程表と呼ばれ、海外ではコントロールプランと呼ばれる工程管理の書類も、PPAPに含まれます。) 
故に、ここではPPAP要求項目一覧記載のみの参考に留めます。

補足; PPAP要求事項一覧

 ※1 北米自動車メーカ、フォード、GM、クライスラーが設立したAIAG(Automotive Industry Action Groupの略称)が定めた品質標準。

 ※2 VDA(Verband der Automobilindustrieの略称、ドイツ自動車工業会)が定めたAPQPに相当する計画書。

 ※3 部門横断的な活動なので、CFTで実施されるのが一般的。CFTとは、Cross Functional Teamの略称で、新製品量産化活動で、製品設計、工程設計、品質、製造などの部門担当者が集まり、部門横断的に協力、支援し品質を確保する活動。

 ※4 Monitorinand System Responseの略称であり、ハンドブックには監視及びシステム応答に関するFMEAとしてのリスク分析手法として記載されている。

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