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ブルボンの封印

今回は17世紀フランスとイングランドを舞台にした藤本ひとみの歴史小説『ブルボンの封印』を紹介・解説します。


解説

『ブルボンの封印』は1992年、小説家・藤本ひとみが執筆発表し新潮社で発行されました。小説は絶対王政を確立したフランス国王ルイ14世と鉄仮面伝説を題材に藤本ひとみの解釈で執筆され、ジャージー島の貴族に育てられた青年ジェームズと生まれて間もなく肩に入墨を刻まれ薬屋に引き取られて育てられた娘マリエールが自らの出生の秘密を解き明かそうと探し出し、衝撃的な真実に辿り着く内容です。

1993年、NHK-FM「青春アドベンチャー」でラジオドラマ化され、同年11月、宝塚歌劇団で舞台化、1997年、森川久美によって漫画化されました。

題材になった鉄仮面は17世紀フランスに実在した人物でバスティーユ牢獄で仮面を被って過ごしていた以外、一切不明です。王族、有力な貴族といった諸説がありますが解明されていません。

ルイ14世も出自に謎があって母アンヌ・ドートリッシュが出産したのが双子であったという説が有力で本作はそれを採用しています。

ルイ14世双子説は文学に影響を与え、アレクサンドル・デュマ・ペールの傑作『三銃士(ダルタニャン物語)』シリーズにも登場します。

あらすじ

物語は1643年、ブルボン朝第2代王・ルイ13世が崩御、5歳に満たないルイ14世が即位するところから始まります。時の宰相ジュール・マザランは先代王から遺言を受け実行に移そうとします。

同じ頃、乳母ペロネッタに養育されたルイ14世と同じ歳の少年・ジェームズ・ド・ラ・クローシュはイングランド領ジャージー島に移ろうとします。

その時、肩に入墨が彫られた女の嬰児(あかご)がマゼランの前に連れてこられました。それはマザランの馬車に轢かれて死んだ男に背負われ孤児院に引き取られる嬰児の一人でした。

ジェームズはその嬰児に目を留め一緒にジャージー島に連れていきます。

あれから10年後、ジャージー島の貴族・カータレット侯爵に養育されたジェームズは青年に成長し、ペロネッタに引き取られた嬰児はマリエールと名付けられ薬屋の娘として成長します。

ある日、ジェームズが逮捕される報せが入り彼は長年住み慣れたジャージー島を離れる決心し脱出します。マリエールも彼の後を追って島をあとにします。

そこからジェームズ・マリエールの出生の秘密を巡る数奇な運命が歯車のように回ります。

※ 2024. 2. 17 追記
※ 2024. 2. 24 追記、修正



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