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The Too Lates 3rd EP 「Rock'n' Roll Radio, All Right」販売レポート


DJイベント「Action And Action」でCDを手売り販売を実施

 2024年2月3日に渋谷Edge Endで開催されたDJイベント「Action And Action」で、デジタルでは2023年10月21日にリリース済みであったThe Too Latesの3rd EP『Rock'n' Roll Radio, All Right』をフィジカル(CD)化し、手売り販売させていただきました。
 まずは3rd EPをご購入いただいた皆様、本当にありがとうございました。そして私からの申出を受け入れてくださった「Action And Action」の主催Yucky、そして他のDJ陣の皆様も暖かく受け入れてくださって、ありがとうございました。

どこか遠くをエモーショナルに見つめるDJ Yuckyと、かかっていた素敵な音楽たちの一部

 今回はCD手売り販売に至った経緯や、CDの製品化を通じて改めて感じたことをまとめていきたいと思います。

フィジカル(CD)販売に至った経緯

 昨今のレコード人気の再燃、カセットテープへの注目など、ストリーミングが中心と言われる時代でも、音楽ファンにとってフィジカルを購入することは一定の意味を持つようだ。それはアーティスト側についても同じで、リリースするからには商業的な勝算もあるだろうし、もちろんそれぞれの各メディアへの思い入れもあるだろう。
 私のような宅録バンドにとってのフィジカルを作る意味とはなんだろうか?その疑問を念頭に入れて整理していきたい。まずはメディアの選択についてだが、これはCDの一択である。歌詞カードは印刷所に発注しているが、それ以外は過去の記事にある通り、自らの手で製品化している。1st EP(2019)についてはM3-2019秋でCDの委託販売を実施し、2nd EP(2021)も当然のようにCD製品化をしたが、コロナ渦中ということもあり、販売機会を上手く創出することができず、ほぼ関係者にしか配られていないフィジカルとしては幻の作品となってしまっている。
 3rd EP 「Rock'n' Roll Radio, All Right」(2023)については、2nd EPでのつまずきもあり、Bandcampでデータ販売していればそれで良いのではないかと安易に考えていた。しかしデータでリリースしてもなんだか自分の中でスッキリしなかった。そこで当然印刷等のコストはかかるがCD製品化してみたら自分がどう感じるか、という思考実験的な意味合いを持った行為だった。
 そしてそれを実行するには「締め切り」と「販売機会」が必要だと考え、これまでも作品毎にインタビュアーを受け持ってもらっている、Yucky(DJイベント「Action And Action」主催)に相談し、次回「Action And Action」の開催日程での販売許可を貰ったと、大きな流れではそういう経緯である。

フィジカル(CD)を作る個人的な意味

 このCDを製品化するという思考実験から得た答えは3つあった。

 1つ目の答えは「自分のアウトプットのゴールがどこにあるか」ということだ。データでリリースしてもどうもスッキリしない…どこでスッキリしたかというと、それは印刷された歌詞カードを見ながら自分の音楽を聴いた時だった。自分で作った音楽なのだから完全な客観性というものは存在しないにしろ、自分の外側にある(アウトプットされている)という実感をその時に得ることができた。
 それはもう個人的な経験によるものとしか言えないだろう。高校生や大学生の頃、少ないお小遣いやバイト代から買ったCDを歌詞カードやライナーノーツ・対訳を曲を追い越さないようにベッドに寝転がり眺めながら聴く…ついウトウトしてしまい…いつの間に寝てしまう…ハッと起きて、歌詞カードやライナーノーツ・対訳が折れてしまわなかった確認して、無事を確認し胸を撫で下ろしたら「えーっと…何曲目まで聴いたっけ…?」と、また寝落ちした前の曲あたりからCDを再生する…そしてまた寝落ちする…ハッと起きて「これいつになったら聴き終わるんだ…」と軽く絶望する…そんな今考えると幸せな時間がそこにはあった。
 そんな幸せの一端を印刷された歌詞カードを眺めながら聴いた時に、自分の曲であっても感じることができた。

 2つ目の答えは「自分をコレクションする」という感覚である。フィジカル(CD)化すると現物を並べることができる。1st、2nd、3rdとEPを自室のCD棚に面出しで置いてみる。少し遠く離れて眺めてみて…「うんうん」と満足気に頷く。そもそも自分が1曲1曲公開しないで3曲ずつEPとしてコンパイルしているのも、そういうコレクションするという感覚が働いているのかもしれない。曲順はこれで良いか、続けて聴いて曲調に違和感はないか、そういうストリーミングでは自由に後から変更できるものを敢えて固定化できるのがフィジカルの魅力でもある。

自室のCD棚には前面に面出しできるレールがついていて、このようにCDを並べることができる

 3つ目の答えは「人と直接会わないといけない」ということである。私は今は通信販売経路は持っておらず、今回もDJイベント内での手売り販売という形態だ。私に「買います」と声をかけ、私に500円(税込)を払わないとCDを手にすることはできない。通信販売経路を確立していれば全国に展開できるだろうが、私は私の規模でやっているし、まずは直接会って買ってくれる方がいることが嬉しい。今回もイベントの邪魔にはならないように営業は避けたし、欲しい(または私の活動を応援したい)人だけが買っていったと思う。それで良いし、むしろそれ以外は不要だとすら思った。もちろん機会は増やせたらと思うが、私には私のペースがあり、今はこれで十分である。幸せなことだ。

3rd EPをご購入いただいたDJ Asuka氏、3rd EPと一緒に記念撮影

 もちろん当然買わない人もいて良い。というか好きでもないCDを買わないといけないなんて地獄じゃないか。私は私で自分の曲が好きで「まだ人生で10曲くらいしか作ってない奴にしては、なかなかやるじゃないか」と思っているし、ジャケットも歌詞カードも気に入っている。もちろんまだまだ課題があるのも知っているし、もっとやりたいことや挑戦したいこともある。でもこうして自分で自分の作品のコレクションを作って、ニヤニヤしているような変な奴が外に出てきて、理解してもらえる(応援してもらえる)人に会うなんて、それだけでもうご褒美以外の何者でもないんだよ。

今後のフィジカル(CD)の入手経路について

 直接会う機会がある人については、事前に言ってくれれば持って行きます。現実的な回答についてはこんなものだと思う。実際に今回予定が会わなかった人から予約も入っている。本当にありがたいことだ。
 将来の展望的なことをいうと、次にリリースするのは4th EPになる。実際に3rd EPの今回のプロモーションと並行して、作業はどんどんと進んでいる。ということは…The Too Latesには持ち曲が【12曲】になるってことじゃないか。ちょっとライブ向けじゃない曲を削っても、対バン形式のライブに出演することができる曲数になっている。本来のフィジカルの直接の販売経路としてはライブの物販が一番現実的なんじゃないかと思う。だから言うだけならタダだと思って言ってしまうと、宅録バンドThe Too Latesの「ライブバンド化」が次の課題のひとつではないかと目論んでいる。「レコ発ライブ」って奴だね。お友達のやっているバンドなんか呼んじゃってさ。

 私はちょっと自分でも難儀している性格で、こんな手土産(自作曲)でもないと友達に遊んでくれと言えないタイプなんだ。だからもし私が「制作を一緒にしませんか?」と話しかけてきたら、犬がボールをくわえて足元に来たとでも思ってください。

「このボールを投げて僕と遊びませんか?きっと楽しいと思うんです。あなたにボールを投げて欲しいんです」

『私の心の中の犬の声』より

 未来のバンドメンバー、将来の共同制作者の皆さん、音源(CD)をいつか買ってくれる皆さん、まだ予定すらないライブに来てくれる皆さん、いつか遊べる日を楽しみにしています。

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