お久しぶりです。
突然ですがテレビに出ました。

……といっても関西ローカル、深夜、2分（！）というクセの強い枠なのですが。

「ハタチェ！〜トレンドお試し部〜」といって20歳のインフルエンサー女子2人に最新トレンドを専門家が教えるというタイプの番組。今回のテーマがコミックシーモアさんという電子書籍書店が主催してる「電子コミック大賞」だったので、専門家として自分がお呼ばれしてたんだけども……。

番組内容としては2本のマンガを2人に読んでもらって紹介するのを自分が補強する、というものだったのでちゃんと読んでしっかり面白いところとかを説明したものの、いかんせん2分。すべて使われずに終わり、ちょっと息抜き面白喩えとして出したラーメン券売機の話だけ使われてて。そう、地上波の編集ってこういうことだった。webの尺とは違うんだよ！

というわけで今日はここで2本のマンガをちゃんと紹介して供養しようという段取りです。読んでいって一緒に供養してやってください……。

さて1本目は

「ガベージブレイブ　異世界に召喚され捨てられた勇者の復讐物語」（マッグガーデン）

異世界転生モノというのは「現代であまり楽しくなく生きていたおじさんが事故か何かで死んで、目覚めたらゲームっぽい異世界で子供の勇者に転生していた」という感じの設定からジャンルが生まれ、その後さまざまに流行が変遷するんですが……

どんどん強さがエスカレートしていってありえないくらい強い魔法やスキルを手に入れ「俺tueeee」とか呼ばれる「無双系」へと発展。
↓
変なものに転生するブームが発生（スライムとか剣とか蜘蛛とか）。
↓
逆に転生しても戦ったり冒険したりしない系作品誕生。いわゆる「スローライフ」系。異世界でのんびりしたり農業したり。
↓
探偵したりするのも割と流行った。異世界でミステリやる感じの。
↓
冒険よりも可愛い女の子に比重を置いた「ハーレム」系も流行ったりして。あと奴隷の女の子を買い取って救ったりとか召喚獣や人外の可愛いのをパーティメンバーにしていちゃこらするとか。
↓
で、そういうのが流行ると今度は裏返しでハードなのが流行る。「復讐」系。パーティを追放された主人公がめっちゃ強くなって見返したりとか。
↓
最近のトレンドは「ハズレスキル」。一見強くなさそうなスキルが実はめちゃくちゃ強いという。「重力使い」をよく見る気がする。重力操作系は地味に見えてだいたいめっちゃ強いので出会ったら気をつけたほうがいい。

転生の仕方についてもだいぶ変わってきていて、最初はおじさんが子供に転生するのが基本だったけど、今では子供がそのまま転生してきたり、1人で転生するのが基本だったのが、クラスとか集団まとめて転生したりするようにもなってきてて。

で、この「ガベージブレイブ」は高校生の主人公がクラスごと転生してくるんだけど自分だけ「ハズレスキル」の「料理人」で、召喚した国から見放され捨てられてしまうんだけど、この料理人スキルが実はめっちゃ強くてガンガンレベルが上がり無双状態。
2巻はミステリ調の探偵編を解決することで、無実の罪で奴隷にされていた貴族の可愛い娘さんを解放してパーティメンバーに……といった異世界転生モノの歴史を全て詰め込んだ現段階での集大成のような作品。
ということを全部説明して、なので喩えるならラーメン屋に行って券売機の右上にあるおすすめの「トッピング全部乗せ」みたいな作品なんですよ、ってまとめたら、まとめのラーメン屋のとこだけ使われてたという。

まあでもそこが結論で美味しいとこなわけでそりゃここだけ使うか。そうだよな。

さて2本目は

「桃源暗鬼」（秋田書店）。

少年チャンピオンでいま一番勢いがあるバトルマンガ。

タイトルに暗示されている通りモチーフは昔話の「桃太郎」。桃太郎の血を引いた一族と鬼の血を引いた一族が現代まで戦いあっているという設定。

ただ、そこまで桃太郎色が強いわけでなくてむしろ印象に残るのはテーマである「血」。

主人公サイドである鬼側は自分の「血」を使って戦うので、強い攻撃をするにはたくさんの血が必要だけど、もちろん血を使いすぎると死んじゃうまであるので血の「燃費管理」が必要という設定。まあとはいえ血を出し惜しみしてる感じはなくて燃費とはなんだって感じでもある。
主人公は血で銃器を作ってバンバン打ちまくったり主人公の先生役、五条悟的ポジションのキャラは雨と傘を武器にしていてまさに「血の雨を降らす」ことで攻撃と、バトル中は画面がほぼ血で真っ黒になっていることが多々。

絶対にアニメ化する規模感の作品だけど、この血だらけ血まみれを？どうやってアニメに？？というくらいほんと血だらけの作品。最高。規制に負けずにちゃんと血まみれでのアニメ化を超期待。

親子や兄弟姉妹の血のつながりや繋がってなさなどを（桃太郎から鬼が生まれたりもして複雑な世界観）積み上げてキャラの動機を強いものにしていくのとかもめっちゃ丁寧でお上手で、とにかくいろんな意味で「血」をめぐるドラマがアツい作品。

キャラみんなが必殺技を持ってて全力を出しあってバトルするというシンプルな構成かつ王道ぶりはラーメン屋の券売機でいえば一番左上にあるその店一番の自慢のラーメンってことですね！

……まででひとくだりだったのです。

いやほんと改めて語れてよかった。web最高！だけどそれに甘えずいつかはテレビでもカットされない俺を目指したい。

ご清聴ありがとうございました。
これにて供養！