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未解決事件簿7:「偽者警察官」から手渡された「死体検案書」と「司法解剖代領収証」の犯罪性

前回の未解決事件簿6では、病院側が申し出てきた病理解剖を断り、僕たち家族は司法解剖を希望したという話をしました。司法解剖には警察の介入が必要になるため、警察に連絡する段階となり、病院側が「よろしければこちらで警察に連絡しましょうか」と申し出てきたため、僕たち家族は特に疑うことをせずに「それではお願いします」と警察への連絡を病院に一任してしまいました。
 
その後、僕たちの前に現れた「警察官」が偽者であったことを考えると、病院側は本当は警察に連絡したのではなく、この偽者警察官を動員したと考えられます。
 
後から考えれば、僕たち家族はこの時、病院を信用して警察への連絡を病院側に一任するのではなく、自分たちで連絡すべきでした。そうすればこの後の展開は全く違ったものとなっていただろうにと惜しまれます。
 
それでは、この後、どのような展開となったのか、話を先に進めたいと思います。

死亡翌々日2010年9月14日
「偽者警察官」から電話、父の職業を聞き出す

まず父の死亡の翌々日、2010年9月14日午後2時頃、「偽者警察官」から電話がありました。
 
「今、司法解剖に立ち会っています。間もなく終了します。解剖代は5万円です。私が立て替えて後ほどご自宅に伺います。それと亡くなられたお父様はどのようなお仕事をされていましたか?」という内容でした。僕たち家族は正直に答えてしまいましたが、死亡した人の職業は、死亡届を記入するのに必要な情報であったことが後に分かりました。

葬儀屋とともに父の遺体が無言の帰宅
「死体検案書」は渡されず

同日午後4時頃、父の遺体を乗せた葬儀屋の搬送車が自宅に到着しました。遺体の搬送にはその遺体の「死亡」を証明する書類(死亡診断書または死体検案書)を携帯することが法律で義務付けられていますが、葬儀屋から書類(病死の場合は死亡診断書、司法解剖が行われた場合は、死体検案書)を渡されることはありませんでした。葬儀屋は父の遺体の前で線香をあげ、そのまま退出していきました。

「偽者警察官」自宅に到着

同日午後6時頃、例の「偽者警察官」が同伴者1人を伴い小型自家用車で自宅にやってきました。
 
ここからはICレコーダーによる録音記録があります。
 
「まずこれ、死亡、あ、死体検案書、これ〇〇先生(司法解剖執刀医)に書いてもらいました。まずこれをお渡しします。これを役場の方に持って行っていただければ、おそらく火葬の手続き、除籍の手続き、埋葬の許可など出ますから」と説明しました。何度聞いても、相当緊張してどもり、声に力みがあるように聞こえます。
 
この時の録音をtwitterで公開していますので、添付します(声は変えて、個人情報は伏字、伏せ音にしてあります)。

この時に手渡された「死体検案書」を、いくつか個人情報を消して、そのまま提示します。
医師直筆の原本ではなく初めからコピーでした。

「偽者警察官」から手渡された「死体検案書」

「偽者警察官」から手渡された「死体検案書」

そして次に先ほどこの「警察官」からの電話で話があった司法解剖代(検案料)5万円の領収証を手渡され、その場で現金で5万円を支払いました。
「確かにお預かりしました」と警察官は話していました。
 
この領収証も、いくつか個人情報を消して提示します。

「偽者警察官」から手渡された「司法解剖代領収証」

「偽者警察官」から手渡された「司法解剖代領収証」

2つの書類は何が「おかしい」のか?

さてここで皆さんに質問です。

この2つの書類、何かおかしいと思いましたか?
 
皆さんはこの2つの書類を見て、次のどれに当てはまりますか?
①     おかしいかどうか全く分からない
②     おかしいとは思うが、何がおかしいかは分からない
③     明らかにおかしい。おかしい理由もはっきりと指摘できる。
 
ほとんどの読者の方は①ではないかと思います。

③の方は「さすが」という他ないです。素晴らしい!ブラボー!
②の方も素晴らしいと思います。何がおかしいかまでははっきり分からなくても「おかしい」と感じられる研ぎ澄まされた感性が素晴らしいです。
 
実は当時の僕たち家族は残念ながら①でした。ですからこの時、リアルタイムでこの「偽者警察官」の悪事・犯罪をその場で見破ることができませんでした。そこが何とも悔やまれます。

僕たち家族はその後、幾多の紆余曲折を経て1年余りをかけて、③にたどり着きました。
 
この2つの書類、つまり「死体検案書」と「司法解剖代領収証」はどちらも別の意味で「おかしい」のですが、その理由をここで皆さんにも考えていただきたいと思います。
 
これはもったい付けているわけではありません。先に答えを書いてしまうと、僕たちの思考過程が追体験できませんし、実際twitterでそのような書き方をしてみたら、逆に読者の理解を妨げる結果になりかねないことに気づいたためです。
 
これは受験数学の問題などと同じで、解答を見て解法をそのまま理解して暗記してもなかなか自分のものにならないのに対し、曲がりなりにも自分で考え苦労した後で解答を見ると身に付きやすいというのと同じ現象です(これは、「アハ体験」と呼ばれる脳科学的に重要な現象です)。
 
本来であれば、この2つの書類が「おかしい」かどうかという質問もこちらからしないで、ただこの2つの書類を提示して皆さんに考えていただく方がよいのかもしれないですが、そうすることの問題は「時間」です。「おかしい」という疑念を抱くまでにかなりの時間を要するという問題です。
 
この「おかしい」、「疑いの視点を持つ」というハードルは相当高く、僕たち家族の場合は、この2つの書類に疑いの視点を持つまでに、なんと8か月の時間を要してしまいました。ここではそのような時間をかける意味はないと思いますので、読者の皆さんは「この2つの書類はおかしい」というメタ情報が既に与えられた状態からスタートしていただきたいと思います。
 
この2つの書類の何がどうおかしいのかを少し考えていただいて、次の「未解決事件簿8」に進むと面白く読めると思います。

それでは次回、「未解決事件簿8」でお会いしましょう。

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