ICTの便利さがわからない教員は要らない

子どもたちに1人一台タブレット端末が配布され、授業で当たり前に使われるようになった昨今。
未だに担任教員のリテラシーの差によって学級ごとにタブレット端末の使用頻度に大きな違いが生じ、問題となっている。

ある学級では毎日毎時間活用され、またある学級では1週間充電保管庫に入りっぱなしで、全く活用されてない状況だ。

文科省により全教員に対して毎年行われる『学校における教育の情報化の実態等に関する調査』の令和4年度の結果によれば、

○ICTを活用した指導
○情報活用の基盤となる知識や態度についての指導
○教材研究・指導の準備・評価・校務などへのICTの活用

この3つについて、全国で概ね80%以上の教員が「できる」「ややできる」と回答している。

現場でICTの活用を積極的すすめている立場としては、全国の8割以上にこれらの能力が十分に備わっているとは到底思えない。

この調査が自己評価で行われていることを踏まえると、おそらく多くの教員はICTが何を指していて、『活用する』とはどのようなことなのかがわかっていないのだと思う。

「今まで手書きで書いていた通知表をExcelで作っているから私はICT活用している」と判断するような低レベルでは困ってしまう。

ICTの活用に後ろ向きな教員は、タブレット端末の活用を目の当たりにすると、必ず「便利だね〜」「すごいね〜」と感動のリアクションをすが、実際に学校の取り組みの中で活用を求められると、
「分かりづらい」「子どもには無理だ」「ICTを使わない方が教育効果が高い」「逆に時間がかかる」などとあれやこれやと言い訳をして、自分のやり方を貫こうとする。

こうなってくると、もはや教える気持ちも萎えてくる。
やる気のない人間に教える時間ほど無駄なものはない。

まずICTとは何か。

直訳すれば情報技術や情報通信技術ということだが、これらの技術は常に急速に進歩し続けており、アップデートされ続けている。
だから、このICTが示すものは、情報技術の中でもより最新のもの、なるべく新しいものを指している。
極端だが、今時Windows95のPC、ダイヤルアップの通信環境をICTとは言わないだろう。

だから、Officeソフトや大型モニター、実物投影機、プロジェクター、そんなものはICTとは言わない。

次に、『活用する』とはどのような状態か。
これは『効率化』と『コスト削減』の二つでのことである。

『効率化』というのは、『時間を生み出す』ということ。
今まで1時間かかっていた作業が5分で済み、55分、使える時間が生まれるということである。

『コスト削減』は『お金を生み出す』ということ。1番身近で言えば、ペーパーレス化などのことだ。プリントを作るための紙代やインク代が無くなれば、他にものにお金を使えるようになるということだ。

ICTの活用とはこの二つ意味以外にはない。
逆を言えば、この二つだけを意識して使えばいいということだ。

だから、ICTの活用の議論の中でよく出てくる、『教育効果の有無や高低』について言わせてもらえば、そもそもICTにそんなことを期待することがおかしい。
教育効果を生み出すのは教員であって、教材ではないのだから。

間違いなく便利なのは世の中が証明しているのだから、あれこれぐずくず言わずに活用して欲しいものだ。

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