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輝く社会の歯車

もうすぐ修士一年目が終わる。
この一年間は物凄く充実していた。
部活漬けだった四年間と比べて、新しい生活、新しい人、新しい経験と出会うことができた。
その中で学部時代との一番の違いは何か。
それは自分より一回りも二回りも上の大人との関わりが増えたことであった。

Iさん

この方が僕の人生にとっての返還点なのかもしれない、と割と真剣に思う。
他の建築大好き勢と比べて、自分の好きも情熱も知識も足りていないなと思っていた際にこの方と出会った。
自分は建築とは別の業界に進もうかとも考えていたが、その理由は単純に周りと比べて引け目を感じるから、であった。
その際にお会いしたIさんは、「大学というたった4年はこれからの建築人生において誤差でしかない。いくらでも挽回できる。」という言葉をくださった。
この方は大学院から建築を学んだという珍しい人であり、当時のその方は今の僕よりも”遅れている”人だった。
それでも現在成功されているのだから、そんな方から背中を押してくださったのは貴重な財産の一つ

Sさん

修士一年の夏は、様々な企業さんのインターンシップに参加した。
そこで社会人が実際に働いている姿を目にして、かなり考えさせられるものがあった。
そこで出会ったSさんの一言が凄く心に残っている。
「仕事において重要なのは『職に対する熱意』と『社会的意義』。」という一言だ。
自分はどうしても、お金を稼ぐということに対してあまり興味が持てなかった。
社会に対してどのような意義を果たせていると感じられるか、という視点は自分のキャリアを考えるうえで大きな財産となった。
そしてこの方を含めて、その企業さんで働かれている方々は、自分の仕事に対して誇りを持っていて、とても格好良かった。

Kさん

Kさんは秋ごろに出会った建築家の方。
この方の一言は、
「自分の周りにネガティブなことを発している人が多いときは、
当の自分がそうなっており、そういった人を引き寄せている」

というものであった。
周りは自分の平均値。
自分の状態は周りを通じて客観視できるし、人の振り見て我が振り直せという意味も内包している。
今でも周りの人間が悪い状態だなって思うときはこの言葉を反芻する。
そうすると大抵自分も同じかそれ以上に悪い状態にある。
この言葉も凄く大事な財産の一つ。


他にも色々な方と出会った。
そしてそれまで教師という立場以外の大人と関わる機会がなかった自分にとってこの一年間はハッとさせられることが多かった。
特に、「サラリーマンという社会の歯車になんかなりたくない」と思っていた自分にとって、錆びることなく、美しく熱く回り続ける歯車は新鮮でカッコよく映った。
そしてそれは家で決して愚痴をこぼさないサラリーマンの親父をも一層輝やかせて見せる財産となった。

これから残り一年間の学生生活。
そこから自分は社会の中で新参者として扱われる。
そこに対する若干の不安はありつつも、自分より一回りも二回りも大きい大人と仕事ができることに対して高揚を抑えられない。
とりあえず仕事よりも何よりも、自分からそんなカッコいい大人たちを飲みに誘いたいなって今は思う。


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