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『独学大全』は全部読まずに、乗数効果を狙おう

『独学大全』(読書猿著)出版を機に、前著『問題解決大全』(フォレスト出版)を読み直している。果たして、前著を読んだことで、自分の問題解決力は高まったのか?を検証するために。

『問題解決大全』を読んだ際、自分の問題解決がリニアであることに気付かされた。リニアな問題解決とは、問題の原因に直線的に辿りつけるタイプのものである。一方、新たに学んだサーキュラーな問題解決は、いわゆる「鶏と卵」のように、因果関係がループしている状況を打破するために、問題の一部を変えることで、その効果がループを巡り問題解決に至る、という考え方である。実際に問題解決をリニアに捉えると、解決策が新たな問題を生む、ということに陥りがちだ。サーキュラーな問題解決手法の一つ「リフレーミング(事実を変えず意味を変える)」で紹介される「トム・ソーヤーのペンキ塗り」、「イエナ橋の弁護」といったエピソードは、その手法の理解を容易にしてくれる。

いつの間にか『問題解決大全』のPR文になりかけているので、冒頭の問いに戻ると、この本は確かに私の問題解決力向上につながった。ただ、それは読後に生じた様々な問題を解決するにあたり、この手法を活用したからだと思う。

今回の『独学大全』は、野球に喩えると、バットの振り方を教えてくる本だと思う。これほどバットの振り方を詳細に説明してくれる本はいまだかつてなかった。ただ、読者のなかには、読後にバットを振らずに終わる人もいると思う。それだけ、物理的にも精神的にも厚みのある本である。読後に、バットを持つだけでなく、実際にボールを打ってみて果たしてボールをとらえられるか、ボールを遠くに飛ばすことができるか、そして、その結果、実際の試合でチームの勝利(=人生の目標達成)に貢献できるかが大切だと思う。

そのためには、この本を全部読むことを目的とせず、まず読みながら、その手法を土台として、実際に独学を進めることが肝要だと思う。その土台は、独学の質・量ともに乗数効果をもたらす。すなわち、この本を活用することで、その独学の成果が「×α」で強化されると思う。『独学大全』を読むことが目的にならないよう、自戒も込めて頭を整理してみた。