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How can you get a dead book to be reborn?

下(↓)でDHCの出版事業撤退にともなって,DHC刊行の著作物が絶版になったら,他の出版社がすぐにそのまま受け入れるというのは原理的にできないということを書きました.今回はその部分をもう少し掘り下げてみます.

上に3つの本(↑)がありますが,これはもともと同じ本です.これは,同じコンテンツの本が2回出版社を乗り換えたという稀にみる成功例です.ただ,ここで気をつけたいのはタイトルが少しずつ変わっていることです.実は,別の出版社から本を出すときは,タイトルおよびデザインは替えなくてはいけないという約束事があります.なぜかというと,前に書いた記事でぼくは,今回の絶版に際して「著作権が著者に戻る」ように書いてしまいましたが,実は少し不正確です(すみません).というのは,著作権(テキストの所有権)というのは,常に著者(=テキストを書いた人)に帰属するからです.でも,版権(=著者が書いたテキスト(原稿)をデザインしたものの所有権)は出版社(版元)に「いちおう」属します.だから,元の版元に文句を云われると面倒なので通常デザインを変えます.上に「いちおう」と書いたように厳密には,版権は版をデザインしたデザイナーにも属するので連絡をとるのが面倒だということもあります(版権を買い取ることもできますが,結構な額になります).タイトルも通常出版社が決めるので,別の出版社から同じ本を出すときはタイトルが変わります.こういった,前の本の人気や実績が受け継ぎにくいようになっていることも復刊のハードルが高くなっている理由かもしれません.

デザインの組み直しはどれぐらいかかるのかというと1-2ヶ月かな,と思います.図表など文字以外のものが多くなると時間はかかります.そういう面では語学書は小説やエッセイのような文字だけのものよりも手間です.でも,その後の著者による校正などを入れたとしても,3ヶ月ぐらいで新しく本を出すための作業自体は終了するはずです.ただし,印刷所に送ってから書店に並ぶまでに1ヶ月ぐらいかかると思われるので,決済から4ヶ月ぐらい見るのが無難でしょう.ぼくの読みでは,今回最も人気があるDHC本でも,別の出版社から新しく本がでるのは今年中にというのは無理だと思います.年が明けてすぐ出ればかなり早いと見るべきでしょう.


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