ユリシーズを読む|013.お腹はすく|2021.03.22.

こんにちは。
会社員が隙間時間に『ユリシーズ』という小説を読む、というどこかで聞いたことがあるような記事を書いています。

*『ユリシーズ』とは、ジェイムス・ジョイスという作家による20世紀を代表するとんでもない小説です。
*でもまだ、『ユリシーズ』の前に読んでおくべきというギリシア神話『オデュッセイア』とやらに挑んでいるところです…。

『オデュッセイア』第七歌|お腹はすく

ナウシカアの後ろをついて、そのお城に向かっていたと思ったのだけども、なぜか、オデュッセウスは一人で歩いている。あとでわかるのだけども、ナウシカアと一緒に城に入って、王とかに悪い印象を与えないか心配したらしい。万全の備え。

ひとりでムキムキでなんか迫力あるおじさんが歩いてると、よそ者になれてない町のひとたちが驚くと思うので、アテネが気を利かせてオデュッセウスのまわりに濃い霧をたちこめます。
 え、いや、むしろぜったい目立つのでは、、、。濃い霧でよく見えない人が歩いてたら、注目の的ですよね。
 そして濃い霧をまとって王宮に入り、王の妃の膝にすがって、突然、霧のなかからあらわれる、という登場の仕方をします。冷静に考えるとかなりヤバい。
 でも、むしろ普通に客として受け入れられたオデュッセウス、王の前で、ここまできた過程としていろんな苦難を説明しようとしつつ、

しかし今は、しばし悩みを忘れて食事することをお許しいただきたい。じっさい、このいまいましい胃の腑より厚顔無恥なものはありますまい。いかに疲労困憊しておろうと、いかに悲しみを胸に抱いていようと、自分のことを忘れるでないぞと強引に迫ってきます。
ホメロス『オデュッセイア』上、松平千秋訳、岩波文庫、p.160

こういうぶっちゃけたところも素敵なギリシアの英雄です。お腹空きますよね、そりゃ。いや、なんかナウシカアからも施しをうけてたような。
 飲みかつ食らう。

第七歌はこうして割と平和に終わります。

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