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意識会議感想への感想

今回のツーソン意識会議をふりかえっての感想 (youtube.com)

 マイクロチューブリンにしても、脳の作用部位特定にしても、チャーマーズの分類ならイージー・プロブレムになるのですよね?それを脳の内に探るのは、物理学でダーク・マターやダーク・エネルギーを探求し、宇宙の内に「構成要素」エレメントを見出すのと同じだと思います。観点は、古代の「アトム」不可分なる物の流れにあると言えます。

 するとハード・プロブレムは、どのような観点で探求されるのか、ということですが、結局、それは「意識」と呼んでいる現象の作用、その定義になると思いますが、違いますか?

 conscientiaというラテン語がconsciousnessの由来らしいですが、中世では「共通して知る」のニュアンスから「良心」を表現していたとされ、トマス・アクィナスの文献でも人間の働き・作用を論じる際、感覚認識・知性認識そして意志という能力の論述が主になり、現代の「意識」とはほとんど言われません。

 近代以降、特にフロイト、ユングの精神分析あたりから、「無意識」という概念とその作用を、「意識」と対にして作業仮説を立てるようになり、そこから意識という概念用語も一般化してきた様に思います。

 ただ精神分析論では、あくまで作業仮説として、顕在化した人間の働き(現実適応・不適応、逃避、錯乱・・・・)を説明するために用いられたものであると思います。ユングは、深層心理として人類に普遍的にある「無意識」を探るとしてグノーシス研究をしました。また「潜在意識」に経験におけるトラウマ等があるともしました。こうした探究は、現代探求されている「意識」研究とは別のストラテジーを持ち、人間が表出する働きを説明する、あくまでも説明原理としての作業仮説であると思います。

 ならば今、問題にしているハード・プレブレムは、どのような意識現象を対象にし、その定義を与えようとしているのか?

 宇宙の歴史がある程度、解ってきた現状で、真空のエネルギーの時空形成の作用が、「運動」と表現されるような離散性を現し(粒子的な何かを指示できなければ、運動は不成立)、その離散性というネゲントロピーの逆説的な運動がエントロピー増大現象を拡散しつつ、いっそうの離散的性質を自己組織化という集合体形成の現象に顕現させて、物質の原子・分子・高分子・生体高分子・生物細胞・生物個体を発生させたと言えると思います。

 この自己組織化ネゲントロピー現象を形成する情報プールは、それ自体はエントロピー増大のエネルギー現象を展開している様に観えながら、いっそうの相転移現象を発生させて、レイヤーを積み重ねていくように思えます。その積層の様態は、マクロ・ミクロの方向に無限の可能条件を、自然の偶然性に任せた適応とされる事態を現します。

 ミクロの方向には分子担体情報が電子担体情報への進化を見せ、生物個体内に生存欲求を生み出し、それを動機にして、情報プールを編集する動的情報様態の積層化が発生したと思います。かなり短絡的ですが、ここに今、問題とする「意識」も発生したと思います。

 マクロの方向にも電子担体情報の変換に始まるコミュニケーション・ネットワーク形成が生じました。要は合図・注意喚起といった感覚媒介経由の情報伝達が発生進化し、生物個体脳作用を、社会脳作用へと拡張しました。これから茂木先生と池上先生が展開される(と期待される)「拡張脳科学」の研究領域です。ここでは個体生命は、情報プール(集合集積知)に対して、ブラフマン‐アートマン・モデルにおける様態を示します。するとこの観点で「意識」の連続性は、集合普遍的なものに観点が移ります。

 「意識」の作用が現に在るところと、それに基づく定義を成そうとすると、こうした思考法が為されるのではないかと思いますが、違うでしょうか?

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